日経新聞社は同社のサイトで「世界株安でも底堅い日本株 ドル高など3つの支え」と主張しているが、これは善良な投資家をだます類の「論説」である。
見出しは、「06月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて世界の主要な株式相場が調整するなか、日本株の底堅さが目立つ。21日はアジア株が総じて下落する中で日経平均株価が2%近く上げ、際立つ値動きとなった。米国が量的金融緩和を縮小する背景である米景気の回復が、中長期的には日本株に追い風との見方も相場を支える。新興国からのマネー流出とは、表裏一体の動きになっている。」というものだが、米景気拡大、金利上昇→円安とおそらく「成長戦略」が対米輸出の増加を通じて平均株価を上昇させるというものた。
しかし、米景気拡大と円安による対米輸出増大→内需拡大というシナリオは高度成長期の時代のもので、すでに歴史の遺物となっている。何よりも、世界最大の財政赤字、経常赤字、対外純債務国である米国にはもはや、世界経済を牽引する力などはありはしない。国際社会に責任を持つ誠実な一国家として、節度ある経済政策を展開しなければならない。要するに、海外からの借金は借りた国に返すべきである。話はそれるがと言っても、返さないだろうから、ドルが高い時期に米国債を売るべきである。米国は世界最大の対外純債務国として、節度のある経済運営を行わなければならない状況なのである。また、「第三の矢」の本質は消費税大増税の強行が真の狙いで、景気の腰が折れるだけだ。
むしろ、次の国際政治・経済の柱となる東アジア共同体にマネーが流れ込むだろうし、そのような環境を構築する必要がある。日経は事実が「社論」に合わなくなると、「相対的に信用が高い円」との記述をしばしば行うが、円相場はアベクロノミクスの長期金利低下誘導策の失敗もあり、次第に行き過ぎた円安の修正過程に入っている。三本の矢は日本に向かい、日本の経済社会を破壊する凶器になりつつある。即刻、経済政策を財政出動主導、金融フォロー(支援)、LERN(常温核反応)による新エネルギー開発、コンピューターの正統基本ソフトであるUnix系統のLinuxを中核とした情報産業の再編成を中心とした成長戦略の実現に向けて、大転換すべきである。