昨日7月8日に今年最大の下げ幅を記録した日経平均が本日9日に下げ止まらない。所謂、景気も良くないのに公的資金(公的年金積立金、郵貯・簡保資金)を使ってアベノミクスの最後のよりどころである「官製相場」が破綻、公的資金でも暴落を食い止められなくなり、官製相場の暴落が始まった証拠である。

今回の日経平均の暴落は、①ギリシャ債務問題に際して国際通貨基金(IMF)が押し付けた緊縮財政政策を同国民が拒否したことが直接のきっかけで、これに、②今年6月12日以降の中国・上海株、シンセン株の大暴落が加わったことがある。いずれも、新自由主義の根幹である緊縮財政政策(ギリシャ国民が拒否)、「量的金融緩和政策」と称する「ペーパー・マネーの大量の増刷」(中国の株価暴落の真因、日本の量的金融緩和による日銀マネーが中国ないし米国に大量に押し寄せていると推察される。その結果の、円暴落、元高・ドル高)がある。

ただし、日経平均暴落の要因は、日本国内に主原因がある。第一に、2014年度の経済成長率(国内総生産=GDP=上昇率は)は名目こそ前年度比1.6%増だったが、これは消費税増税による一時的な物価上昇のため(悪い物価上昇)。それでも、民間需要は0.2%のマイナス成長で、民間の家計消費支出は1.2%の大幅なマイナスp成長。

消費税増税による欺瞞的な物価上昇率の影響を除いた実質経済成長率は前年度比0.9%のマイナス成長。うち、民間需要は2.2%の大幅減で、民間化系最終消費支出となると3.3%もの極端に大幅なマイナス成長である。消費税増税がいかに、日本の経済を撃墜したかがわかる。こういう状況では、日経平均が上昇するはずがない。それが上昇してきたのは、公的年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と郵貯・簡保による国民の資産の株式市場への投入(日経平均の押上げ)という「官製相場」によるものだ。しかし、さすがにここにきて公的資金による相場維持は不可能になりつつある。その大量の含み損に対して、誰が責任を取るのか。

また、ペーパーマネーを世界中にばら撒いた、黒岩日銀も共犯者だ。特に、「アベクロノミックス」の最大の売り物であった「物価上昇率を安定的に2%へと押し上げる」という政策は完全に破綻している。時事通信社によると、今年5月の物価上昇率は次の通りである。

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総務省が26日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.4となり、前年同月比0.1%上昇した。上昇は24カ月連続。ただ、食料品などが値上がりする一方、原油安に伴いガソリンなどのエネルギー価格は下がっており、物価の伸び率は低迷している。

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4月は0.3%上昇だったが、電気料金など一部で残っていた消費税増税の影響(日銀試算で0.3%)を除くと横ばい。5月は前年同月比で見た増税の影響が全てなくなっているため、4月に比べ実質的に伸びた。

項目別では、エネルギーが6.0%下落。電気代が上がった一方、ガソリンや灯油などの石油製品は大きく値下がりした。生鮮食品を除く食料品は1.6%上昇。家庭用耐久財は1.1%の下落だったが、増税以降不振が続いていたエアコンなどの新商品の販売が持ち直し、下げ幅は4月(3.1%)から縮小した。宿泊料や外国パック旅行は上昇した。=========================================================

日銀の岩田規久男副総裁は2013年3月に就任した際、「2年以内に消費者物価上昇率を安定的に2%以内に引き上げることができなければ、(いさぎよく)副総裁の座を辞任する」と豪語したが、2年を4カ月過ぎても、いまだに副総裁の位置にしがみついている。こういう輩を「学商」と呼ぶ。

 5月19日、岩田規久男日銀副総裁は、参院財政金融委員会で昨年5月以降の消費者物価の鈍化について、消費税率引き上げに伴う消費の低迷と原油価格の急落を背景に指摘した。写真は、岩田日銀副総裁、2013年3月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

実体経済が良くならないのに、「良い物価上昇が安定的に続くはずはない」。ちなみに、岩田規久男氏も新自由主義者で、今や共産主義に代わって新自由(放任)主義という妖怪(新悪魔)が世界を破壊しつくしつつある。その「新悪魔」の手先になっているのが、安倍晋三カルト政権である。

新自由主義の危険性をいち早く見抜き、その克服策を提言してきた政治・経済アナリストの菊池英博氏によると、「日経平均は1万5000円まで下げる。(アベノミクスの破綻が今や誰の目にも明らかになった今、)安倍内閣は早期に退陣すべきだ」とのことだが、もっともである。

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