危険な欧米のウクライナへの武器供与、ロシア攻撃への使用で核戦争の引き金にも(追記:米側陣営のインフレ状況)

本サイトではウクライナへの2022年2月の「特別軍事作戦」開始で始まったウクライナ戦争について、戦争の原因は米国とウクライナが行った東武ドンバス地方のロシア系住民に対する大量虐殺を含む大迫害にあるとし、ウクライナ戦争は軍事侵攻に正当性のあるロシア側の勝利で定まっているとしてきた。ロシア側の勝利・ウクライナ側の敗北は今年の春以降、ロシア側がキエフに次ぐウクライナ第二の都市、ハルキウを州都に持つハルキウ州に楽々と徹底的な打撃を与えており、これに対してウクライナの敗北を危惧した欧米諸国がウクライナに高性能な武器を供与し、ハルキウ州攻撃に使用されているロシア軍の基地攻撃を容認するに至ったことに既に証明されている。しかし、欧米製の高性能武器によるロシア側の軍事基地を中心とした対露攻撃は、当初はハルキウ州攻撃に使用される基地に限定されたとしても次第に拡大していき、ロシア側としても報復する権利を有する。メドページェフ前大統領は戦略核など核戦争に突入する恐れがあることを明言している。米国(バイデン政権)やドイツ、オランダなど欧米諸国はウクライナに自国が供与した武器でロシアの攻撃を容認するなら、全面的な核戦争に暗転する危険性を覚悟しておかねばならない。

ウクライナ敗北確定後に現実を認識せず、米側陣営がウクライナに対露攻撃させれば核戦争も

ロシア軍がキエフに次ぐウクライナ第二の都市・ハルキウを州都に持つハルキウ州を楽々と攻撃して占領していることは、さすがに米側陣営のメディアも報道せざるを得ないが、例えば、英国のBBC放送は、「ウクライナ軍、ハルキウ州の一部から撤退 ロシア軍の越境攻撃続く」とのタイトルで次のように伝えている(https://www.bbc.com/japanese/articles/c8vzvl4eedzo)。

ウクライナは、北東部ハルキウ州のロシアとの国境地帯にあるいくつかの村から部隊を撤退させた。ウクライナ軍が15日までに発表した。一帯ではロシア軍が攻撃を続けている。ウクライナ軍の報道官は、兵士たちが激しい攻撃を受けたとし、「命を守り、損失を避ける」ため、ハルキウ州のルキャンツィ、ヴォヴチャンスクの2地域から「より有利な位置」に部隊を移動したと説明した。ウクライナはこの2年間の戦争で、撤退を意味する場合にこうした表現を使っている。

ロシア軍の新たな越境侵攻で国境地帯の町や村が激しい攻撃にさらされるなか、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、予定されていた外国訪問をすべてキャンセルした。

米側陣営がウクライナへの武器供与と対露攻撃を認めなければ、ゼレンスキー大統領が呼びかけているパリでの和平会議はまったく頓珍漢な会議になってしまう。ゼレンスキー大統領の和平会議にはロシアや中国など非米側陣営主要国は参加せず、対米従属(隷属)国だけが参加し、①原発の安全性の確保➁黒海の航行自由化(食料安全保障)③ロシア・ウクライナ双方の全捕虜の帰還とロシアに「連行」された子どもたちの保護−が中心であり、終戦を帰結する和平案などと呼べるものではない(https://www.yomiuri.co.jp/world/20240523-OYT1T50017/)。政治・経済・軍事的に劣勢にある米側陣営だけが、「奇声」をあげるだけに終わるだけだろう。

余談だが、ゼレンスキー大統領の人気は5月20日に終わっており、憲法は改正しないまま戦時下(かつ戒厳令下)にあるという理由だけで、同大統領が大統領の座に居座っている。プーチン大統領は「戒厳令下での大統領の権限について『ウクライナの憲法では、議会の議長に引き継がれるべきだと書かれている』と述べ、ゼレンスキー大統領が大統領でいることを疑問視している。これに対して、ウクライナ側では「ウクライナの議会にあたる最高会議のステファンチュク議長は(5月)28日、SNSへの投稿でウクライナの憲法では次の大統領が就任するまで現職の大統領が執務にあたると定められていると指摘し、『条文の一部を抜き出して読むべきではない』と非難しました」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240529/k10014464941000.html)。

NHKの報道ではそれぞれどういう場合に前大統領が大統領のままに居座り、また、ウクライナ議会の議長が大統領を代行するのかが明確でない。ただし、国民の選挙の洗礼を得ていない大統領は大統領の資格はないと考えるのが普通であり、そういう国は民主主義国とは言えないだろう。ウクライナはソビエト連邦崩壊後に成立した非常に新しい国であり、民主主義の経験も全く浅い。ゼレンスキー大統領が大統領の座に居座り続けるなら、憲法に期限を定めた「非常事態条項」を追加し、国民の承認を受けるべきだが、選挙権・投票権を持つ国民が、全人口4千万人のうち、600万人以上も海外に脱出している現在、とても憲法改正国民投票などはできないだろう。だからといって、ゼレンスキー大統領が大統領に居座り続けるのでは、ウクライナは民主主義国家ではない。

ちなみに、AFP(フランスの通信社)=時事の配信記事によると、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の支持率が、2022年2月にロシアによる侵攻が始まって以降初めて60%を割り込んだ。ウクライナのキーウ国際社会学研究所が(6月)7日に公表した5月実施の世論調査で明らかになった。ゼレンスキー氏はこの1年間、昨年夏の反転攻勢の失敗や、動員をめぐる賛否、高官が関与した汚職スキャンダルなど、さまざまな困難に直面してきた。支持率は、侵攻直後の2022年5月は90%だったが、2024年5月には59%にまで低下した」(https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/world/afpbb-3523347.html)」という。

また、毎日新聞によると、「戦争による疲弊が深まる中、ゼレンスキー政権は国内での支持率低下に直面している。キーウ国際社会学研究所によると、ゼレンスキー氏の支持率は2022年12月の84%から62%(23年12月)まで下落した。政府への信頼度に至っては52%から26%へと大きく落ち込んでいる」(https://mainichi.jp/articles/20240223/k00/00m/030/193000c#:~:text=%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%82%A6%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6,%E3%81%A8%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%8F%E8%90%BD%E3%81%A1%E8%BE%BC%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82)」。

はっきり言って、ウクライナは民主主義国家とは程遠く、汚職と利権獲得にまみれた国家で、ウクライナを「民主主義」の名において支援する米国のバイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏も、オバマ政権下のバイデン副大統領の時代に行ったウクライナによる利権獲得のための汚職などで起訴された。バイデン大統領はハンター・バイデン氏が有罪になっても恩赦しないと言っているが、当然のことで、バイデン大統領もウクライナのマイダン暴力クーデター(2014年2月)でビクトリア・ヌーランド国務次官補(バイデン大統領時代には国務時間に昇格し、影の国務長官になっていたがこのほど、国務次官の退任を余儀なくされた)を実務指導者にさせた疑いが強い。

話をもとに戻して、非民主主義国家のウクライナを必死に支援する(供与兵器で対露攻撃をさせる)ことで、国際情勢は非常に危険な状態になる。プーチン大統領は、経済政策を担当してきたベロウソフ第1副首相を国防相に抜擢、次期大統領に当てる意向のようだが、ショイグ前国防相は安全保障会議の書記に任命しており、降格ではない。ペロゾフ氏はロシアきってのインテリ(政策に強く、ロシアの伝統的文芸にも通じている)であり(イラン大使などを歴任し現在、東アジア共同体研究所の孫崎享氏による=https://www.youtube.com/watch?v=ghnohXaBcTM&t=3163s=)、政権の基盤を将来にわたって固めるつもりだ。だから、メドベージェフ前大統領が再度、ロシアの大統領になることはないが、政権の中枢におり、その発言は政権中枢の意思も示していると思わなければならない。

メドベージェフ前大統領は、ロイター通信の「ウクライナへの戦術核使用、脅しではない=ロシア前大統領」と題する配信記事の中で、次のように発言している(https://jp.reuters.com/world/ukraine/4KZNE3VXMNPVXBYGHZN2Y6N22Q-2024-05-31/)。

[モスクワ 31日 ロイター] – ロシアの前大統領で安全保障会議副議長のメドベージェフ氏は31日、ロシアがウクライナに対して戦術核兵器を使用する可能性に言及したのは脅しではないと述べ、西側との全面戦争に発展する可能性を示唆した。ロシアと西側との対立は最悪のシナリオに沿って進展しており、最終段階への移行(注:戦術核の使用から始まる全面的な核戦争)は否定できないと警告した。その上で「ロシアはウクライナが使用する全ての長距離兵器は北大西洋条約機構(NATO)によって直接管理されているとみなしている。これは軍事支援ではなく戦争への参加だ。このような行為は戦争を誘発しかねない」と述べた。

これに関して、プーチン大統領は、ロシア第二の年であり、同大統領の出身地であるサンクトペテルブルク(旧レニングラード)で開かれた「国際経済フォーラム」(実質は非ベイ陣営側の国際経済会議)で次のように語っている。

ロシアのプーチン大統領は7日、第2の都市サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」の全体会合で演説したあと、司会者の質疑に応じました。この中で、アメリカなどが自国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可するなど、ウクライナへの関与を強めていることに対し、プーチン大統領は「軍事的な圧力を受ける国などにわれわれも兵器を供与する権利は保持している」と述べ、欧米諸国と対立する国に対してロシアが兵器を供与するという報復措置に言及しました。

また、ロシアが核兵器を使用する可能性について「国の主権と領土の一体性に対し脅威が生じた場合は可能性があるが、そのようなケースが起きたとは考えていないし、必要性もない」と述べました。ただ「世界や周辺で何が起きているか注視している。核ドクトリンに何らかの変更を加える可能性を排除するものではない」とも述べ核兵器の使用条件が変更される可能性をちらつかせました。

当面は、米側陣営から圧力を受けている非米陣営側の諸国に軍事兵器を供与し、支援すると発言しているようだが、戦術核を使った核戦争の準備を進めていることも示唆している。現在は、NHKの取材に対して、「ハルキウ州の州都ハルキウ市のテレホフ市長は、現在のハルキウ市内の状況について『侵攻開始以来続いてきたロシアの攻撃が、ことしに入ってさらに激しさを増している。今となってはエネルギーのインフラが完全に破壊され、非常に厳しい状況だ』と訴えたhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20240608/k10014474031000.html)

国際情勢解説者の田中宇氏は、「米覇権潰しを宣言した中露」(有料記事、https://tanakanews.com/240602cnru.php)で今のところ、「ウクライナでは、欧米諸国が『送った兵器でロシア本土まで攻撃して良いよ』『いやダメだ』『いや(米国に加圧されたので)やっぱり良いよ』『いやいや、バイデンは良いと言ったけど、側近はダメだと言っている』と揺れている」との見方で、ウクライナ側が一度、インターネットに流した対露攻撃のビデオは削除されたようだ。田中氏はあくまでも、(注:英国から戦間中に譲り受けた)米国単独覇権体制は同国の経済破綻とともに終焉し、核戦争に至ることはなく、多極型の世界が到来するとの見方だ。

田中氏の指摘するように、米側陣営も現実を直視せざるを得なくなる時が来るだろう。ただし、現実を直視せず、非民主主義国家のウクライナを民主主義国家と言い張って、無茶な軍事兵器の供与を続けることも有り得ない話ではない。サイト管理者は米側陣営が現実に目覚めて、ウクライナの敗北でウクライナ戦争を終戦に導かなければ、何らかの核戦争は有り得るとの見方をせざるを得なくなってきた。

底堅い動きを続けていた金地金相場が再び上昇し始めた

三菱マテリアルによると、一度軟化しながらも、底堅い動きを続けていた金地金相場が再び上昇し始めた(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。

欧州中央銀行(ECB=European Central Bank=)が6月7日、「ユーロ圏のインフレ率の低下傾向などを受け、0.25%の利下げ」を行った。「4年9カ月ぶり」だ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240606/k10014473261000.html)。ユーロ圏の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べた伸び率がこのところは2%台(前年同月比2.4%上昇)と、一時10%を超えていたおととしの水準から低下し、景気への影響の懸念も高まっていたことから、今回の会合で利下げに踏み切った形」だが、食料やエネルギーを除くコア・インフレ率は2.9%と高い。2023年12月の国別インフレ率は下図のようになっている。統一基準消費者物価指数(欧州全体ベースの消費者物価指数)の前年同月比上昇率は低下しているが、トルコを筆頭に各国のインフレ率は高い。

米欧日のインフレ率の低下は食料・エネルギー価格のある程度の落ち着きによるものだが、今回の米側陣営のインフレはコストプッシュ・インフレが主因だから、①米側陣営が非米側陣営に対する制裁を続ける➁非米側陣営が食糧・エネルギー価格の生産・米側陣営への輸出に支障をきたす−などでインフレが再燃する公算が大きい。ECBの今回の利下げは、要するに景気抑制への懸念から行ったものだ。ECBのラガルド総裁も「ヨーロッパ中央銀行が金融引き締めを緩和する段階に入ったかどうか問われたのに対し、『その可能性は高いが、データに左右されるものでありスピードや時間は非常に不確かだ』と述べ、今後の利下げについては確約できるものではないという考えを示し」、(正しい道を歩んでいるとは思うが)「今後数か月の間、その方向性を常に確認するため更なるデータや分析が必要だ」と、金融市場に確信を与える発言はできていない。

米国も年初はインフレ率が低下するとして連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和に踏み切るとの見方が大勢を占めていたが、インフレ率の2%台前半への落ち着きが確認されず、金融緩和政策への転換は棚上げのままだ。2024年6月7日の朝方発表された米雇用統計は予想以上に力強い内容になり、経済の底堅さ(というより物価と賃金の上昇の悪循環)を示すことになった。コストプッシュ・インフレにデマンドプル・インフレが相乗する形になっている。ただし、インフレは米国民の実質購買力を奪い、2%程度のインフレ率に抑制できなければ不況(デフレ)をもたらす。本当に内需が強いのかは不明で、実のところはスタグフレーションに陥っている公算が大きい。

米側陣営のインフレ率の「妥当な低下」には期待できないのが実情であることをしっかりと認識しておくべきだ。国際情勢耐乱の際は、金地金の相場が経済の現状をもっとも正しく伝える。

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