生活の党の小沢一郎共同代表が、日韓中首脳会談が三年ぶりに開かれたことに際し、2015年11月2日「強固な日韓関係こそ東アジア、世界平和の要」と題する談話を発表した。重要な談話と思われるので、以下引用させていただきたい。

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強固な日韓関係こそ東アジア、世界平和の要(談話)

生活の党と山本太郎となかまたち
代表 小沢一郎


日韓中で協力して東アジアに平和を

日中韓首脳会談が11月1日、3年半ぶりに行われたのに続き、日韓首脳会談が2日、両国で現政権に交代してから初めて開催されました。21世紀の東アジア地域が政治、経済、安全保障と、あらゆる面で非常に不安定な要因を抱えている中、日中韓の連携協力は自明の理です。それにもかかわらず、今日まで日韓首脳会談を開けなかったというのは政治的に不正常であり、両国民の利益に反するものでありました。

今後の東アジアにおいて、中国問題は、世界が直面する最大の懸案事項です。特に隣国である韓国、日本はもちろん、国際社会に大きな影響が出ることは間違いありません。そのためにも、中国の政治・経済状況にきちんと目を向け、日韓が連携して中国社会を何とかソフトランディングさせることが必要だと思います。そして、中国を民主化の方向に持っていくことが実現できれば、東アジアだけでなくて、国際社会も平和に共存していくことができるはずです。

そのためにも、民主主義と自由経済という基本的な価値を共有する日韓両国が、東アジア地域の中核となり、あるゆる面で交流を深め、協力を進めていくべきです。強固な日韓関係を築き上げた上で、民主化された中国が加わり、日韓中が完全な協力態勢をつくることができたなら、今まで3ヵ国が人類史で築いてきた以上の大きな歴史的役割を果たすことができる、と私は確信しています。

日韓二千年の歴史の積み重ねは隣人としての貴重な財産

日韓関係を考える場合、両国間の二千年におよぶ友好協力の歴史を踏まえ改善のあり方を構築していくべきです。特に今年は、韓国と日本が国交を正常化して半世紀になります。国交正常化当時、両国間の人的往来は年間1万人ほどでしたが、今や年間500万人へと飛躍的に増えています。このような両国関係の背景には、両国間に二千年以上の人や文化の交流の積み重ねがあったことを忘れてはなりません。

古代王朝時代には、日本と朝鮮半島との間では通訳なしに会話ができたと言われています。言葉すらほとんど一緒だったわけです。また、日本の大和朝廷から新羅や百済の役職に就いた人もいますし、逆に朝鮮半島から来た人が大和朝廷で重要な役割を果たすこともよくありました。つまり両国は渾然一体の関係であったと言えます。そして時代が下り江戸時代には、徳川幕府による鎖国政策がとられていたにもかかわらず、唯一の外交使節として朝鮮通信使は12回も来日しています。

このように、韓国と日本は本来、民族的、文化的、政治的、経済的にも、あらゆる面で最も身近な隣人として交流していたのです。ところが現在の日韓関係は、今日まで首脳会談を開けないほど不正常な状態が続いてきました。これを正すためには、日韓両国がお互いに傲慢さや偏見を捨て、謙虚に誠意をもって友好協力関係の発展に努めるべきだと思います。

大きな視点に立って、日韓関係の改善を

ナチスドイツに占領されていたフランスも、現在はドイツと非常に仲良くしています。かつて覇権争いをしてきたイギリスとフランスも、今では英仏海峡トンネルを掘ってユーロスターで繋がっています。こうした仏独や英仏の関係に倣い、21世紀の日本も大きな視点に立って日韓関係を考えれば、必ず良い方向に向かっていくはずです。

そのためにも日本は、歴史的事実を冷静に見つめ、謝るべきは謝り、正すべきは正すという姿勢を示すことが、真の信頼関係を構築する上で重要です。その一方で、韓国においても過去の事実にとらわれて、反日的な教育・宣伝をすることを止めなければなりません。そのような中から両国は困難な問題を乗り越え、もっと力を合わせていくのが自然な姿であり、日本人も韓国人の大部分もそれを望んでいるのではないでしょうか。

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1990年に訪日した盧泰愚(のてう)大統領が国会で演説した際、「来る世紀には東京を出発した日本の青年が海底トンネルを通過して、ソウルの親友と一緒に北京、モスクワ、パリ、ロンドンへと大陸を結び世界をひとつに繋ぐ友情旅行を楽しむ時代を共に創造しましょう」と訴えました。私はこれに大変な感銘を受けました。今こそ、民族的、文化的、言語的にも最も近い隣国である韓国と日本は、このような夢を実現するためにお互いに力を尽くすべき時だと確信しております。

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これに関して、日本共産党の志位和夫委員長がソウルでの記者会見で次のように語っている。
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日本の運動と、韓国・中国などの国民との提携、連合は可能か?

 問い 今の日本の動きというのは、戦後かつてない新しい国民運動であるとおっしゃいましたが、そうした運動と、韓国や中国などの国民との提携というか、連合というのは可能ですか。そういう可能性はありますか。

 志位 先ほどお話ししたように、戦争法を廃止するかどうかという問題は、何よりも日本国民が決めていくべき問題です。

 同時に、もっと広く、この地域の平和と安定を築いていくという共通の目標のために、さまざまな国際的な協力や連帯ということはありうるし、大いに追求したいと思います。私たちは、戦争法に対する抜本的な平和的対案として、「北東アジア平和協力構想」(別項)を提唱しています。いかにして北東アジアに平和、協力、友好を築くかについて、韓国や中国など関係各国の政府・政党・国民と、広く対話を行い、一致点で協力をすすめたいと願っています。関係各国の国民と国民との間でも、こうしたテーマでのさまざまな意見交換や可能な協力・提携を行うことは、たいへんに大切だと考えています。

 「北東アジア平和協力構想」 (1)域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する、(2)北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる、(3)領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ、(4)日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる。

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いずれにしても、国際紛争解決の最終手段は「戦争」ではない。
ここで、前項と重複するが重要なことなので、再掲させていただきたい。

【※追記2015年11月03日17時】

①辺野古基地建設反対闘争に勝利する必要条件は、沖縄県、翁長知事主導で福岡高裁に提訴することである。これが何故か、遅れに遅れ、同知事はなすべき順序を誤った。辺野古に基地を作らせないとすれば、このことを十二分に反省する必要がある。ただし、日本の裁判システムも米国に従属している(砂川裁判、ロッキード裁判など)ので十分な期待は持てない。もっとも、翁長知事が最速で提訴に 踏み切った場合なら、時間稼ぎはできるとだろう。少なくとも、来年の参院選(安倍政権は野党が理念・政策を中心にして結束することがないうちに、衆参同時選挙を目論んでいると思われる。この状態を根本から覆す必要がある)の一人区で全勝すれば、与野党逆転になり、辺野古基地建設阻止はもちろん、日本の政治刷新のスタートになり得る。

②サイト管理者は民主党にも再三にわたって、分党(「戦争と弱肉強食の」自公側と、「平和と
共生」の政権獲得を目指す確かな野党側に分かれること)を納税する主権者国民として要望している。しかし、連合赤軍派が執行部を握っている民主党と混迷を極める維新の党には全く期待できない。なお、維新の党はぶざまな分裂闘争を展開しているが、マスコミは米国CIAで政界引退を表明した橋下徹市長を未だに持ち上げている。大阪府知事、大阪市長選支援のためである。

③このため、日本共産党志位和夫中央委員会常任幹部会委員長が提唱した戦争法廃止と7・1閣議決定の取り消しを目的とした「国民連合政権構想」を活用する必要がある。しかし、日本共産党に対するアレルギーは強いことは確かである。2004年綱領を見ると同党は「社会主義段階においても市場経済原理は否定しない、その反対にスターリン主義で問題になった官僚主義は徹底的に否定する」旨明記されている。この「市場経済原理」の尊重は、共産主義の最大のテーゼであり、綱領にも一貫して貫かれてきている「生産手段の公有 化」とは相容れないだろう。具体的には、市場経済原理を維持するには近代資本主義社会において成立した株式制度の維持・発展が必要である。中国、ロシアも株式市場を創設・維持・発展させてきており、経済に競争原理と経済体制の効率化を取り入れてきている。

④最終的には日本共産党から「株式制度の維持発展・株式市場の透明化(バブル発生の防止)」の約束をとりつけ、併せて暴力革命とプロレタリアート独裁の永久放棄を公約させることが肝要かと思わる。なお、カール・マルクスは19世紀の後半、ロシア革命を目指したメンシェビキ党のヴェラ・ザ・スーリッチとの往復書簡で「ロシアのような遅れた(資本主義)国では、共産主義は出来ない」と回答した経緯がある。その結果として、ロシア革命(スターリン主義)は、ロシアの農村共同体を基盤とした「古代化社会主義革命=古代王朝の再現」であった(林道義著「スターリニズムの歴史的根源」)。

⑤「生産手段の公有化」の意味するものは、宇沢弘文先生が唱道されておられた「社会的共通資本」(教育・医療・年金など社会保障制度、自然環 境、外部経済効果の大きい社会資本=旧来の社会的共通資本に加えてインターネット網含む=)の整備・充実による経済社会の安定的成長であろう。

⑥サイト管理者自体は、米国が日本を支配し、植民地化できる法的根拠は日米安保条約、とりわけその中に明記されている日米行政官僚が国民の知らないところで形成した「日米地位協定」と見ている。これを抜本的に廃止する必要があり、その点では日本共産党と一致するが、そのためには腐敗した国際連合の再定立が不可欠である。こうした枠組みの中で、21世紀をリードする革命地帯として「東アジア共同体」の位置づけがある(マックス・ウェーバーが歴史社会学で定式化した「辺境革命論」)。

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