生活の党の憲法改正の方向性のポイントは何か。

我々は、国際貢献の規定を明確に位置付けるとともに、統治機構に関する規定の中には実態に合わない不備な点があるため、改正する必要があると考えている。例えば、以下のような点である。

○ 国連の平和維持活動に自衛隊が参加する根拠となる規定の整備

    • 民主的統制の適切な確保の観点からの行政に対する監視機能の強化(会計検査院を改組して行政監視機能も併せて、国会の附属機関として行政監視院を置くこと、いわゆる「少数者調査権」を規定すること、国会の事務組織(各議院の事務局・法制局)による資料提出要求権等の権限を強化すること等)
    • 二院制の維持及び両議院の役割分担の明確化
    • 衆議院解散の手続及びその実体的要件の規定の整備
    • 国と地方の役割分担及び地方公共団体の権限の明確化
    • 緊急事態の際、民主的統制を確保し対処するための規定の整備

現行憲法においては、テロ、災害も含めた緊急事態の下で国家の統治機構が機能不全に陥った場合の規定が空白である。したがって、内閣による緊急事態宣言の根拠規定その他の緊急事態の際、民主的統制を確保し対処するための規定は必要であるとともに、内閣総理大臣を含む全国務大臣が欠けたときも含めた臨時代理についての憲法上の規定も必要である。

【補足】
予備的調査…衆議院のみの制度で、委員会がその議決により、審査又は調査のために必要な調査(予備的調査)を衆議院の調査局長又は法制局長に命ずることができる制度。議員40人以上の要請があれば、委員会は、予備的調査の命令を発しなければならない。省庁の協力を得て実施するが、強制力はない。衆議院規則第56条の2及び第56条の3。

今後の憲法論議について(憲法論議をどう位置付けるか。今後の憲法論議はどうあるべきか。

1. 元首は、歴史的には統治権の一部を担う者とされてきたが、現在では、「元首」は様々な性格を有する存在として理解されるようになっている。日本国憲法のもとでの天皇を元首として位置付けるかどうかについては、その権能、性格を踏まえて判断する必要があるが、国民主権のもとで、象徴としての意義を有する存在とするのであれば、ことさらに天皇を元首として規定する必然性には乏しいものと考える。

2. なお、象徴という用語は、異質のものとの間の関係で成り立つ言葉である(同質のものとの関係である「代表」とは異なる。)。日本国及び日本国民統合の象徴であると規定されていることよりすると、主権者たる日本国民とは異なる存在であり、余人をもって天皇となることはできないのであるから、事実上万世一系の血統により天皇が決められていくということになる。

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