【第三章(国民の権利及び義務)関係】

新しい人権規定の必要性は何か(13条の総則規定で読めないのか、人権のインフレを招くのではないか。

単時代の要請に対応してその保障の必要性が特に認められるようになった人権については、明文で憲法に規定していくことが適当である。憲法13条は、本来、その保障すべき内容が条文から直ちに導かれるような、具体的な基本的人権を規定した条文ではなく、人権保障の究極の根拠となるべき抽象的条文であり、個別の人権の保障根拠としての13条の意義を過度に重要視すると、13条の意義をかえって矮小化するものとなる。
現行でも、歴史的経緯から様々な権利(公務員の選定罷免権、請願権、表現の自由、身体の拘束及び苦役からの自由等)が個別に規定されている。環境保全の必要性、知る権利、プライバシー権は、現代社会において特に憲法の明文による保障の必要性を打ち出すのに適切なものであると考えられる。

政教分離原則の例外を憲法上明記する必要性はないのか。

政教分離が大前提であり、この点の原則が憲法に明記されていれば足りる。その例外的な場合を正面から明記する必要はない。例外的な判断基準については、判例の積み重ねが存在しており、それに依れば足りる。

【第四章(国会)関係】

衆参の役割分担の方向性及び選挙制度についてどう考えるか。

衆参が同等の権限を有しており、共に同様の選挙により選ばれる現状が、必然的に衆参の違いをなくし、本来の二院制が目指している衆参の機能分担ができなくなっている。したがって、両院に求められる役割・性格を理念として憲法に明記して機能分担を図るとともに、以下のような点について憲法改正を含めて検討することとする。

    • 内閣総理大臣は衆議院議員から選ぶこととし、議会と内閣の関係を整理する。
    • 法律の制定に関し、「衆議院で可決され、参議院で否決された法律案は、衆議院で過半数で再び可決されたときは、法律となる。」として、衆議院の優越を強化する。
    • 参議院の決算審査機能・行政監視機能を重視して必要な権限を強化するとともに、中長期的課題に対する提言機能を強化するため補佐機構の拡充その他の施策を講ずる。
    • 参議院議員の選挙制度は、上記の参議院の役割を考慮したものとする。
    • 参議院について、国民代表の性格を維持しつつ、地方代表としての性格をも併せ持つ議院として位置づけ、選挙制度もこれにふさわしいものとする。

 

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