遮二無二物価を上げようとするアベノミクス(アベクロノミクス)の成否のポイントのひとつは、賃金の上昇だ。すでに、円安・ドル高による生産、生活必需品関連の輸入品(資源・エネルギーや産業のコメである半導体、食料品など)の物価の上昇で、国内の物価は上がってきており、物価の上昇を上回る賃金の上昇がなければ、4月からの消費大増税も加わり、スタグフレーションに陥る(悪い物価上昇)。しかし、実際には2013年の賃金は下がっている。厚生労働省が発表した昨年の現金給与総額(月間)は前年と変わらず、最も重要な所定内給与は前年比0.6%減の241,250円だった。

全体像は次の図の通り。

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残業手当てやボーナスが多少増えても、賃金水準下落の大勢に代わりはない。国内総生産統計に雇用者総報酬というのがあるが、これの推移は数のようになっている。

laborcost

2013年度全体でどうなるか、要注目だ。ただし、財務省が新自由主義路線を強化して以来、日本だけが賃金や国内総生産が減少している現象(下図、デフレ不況)を改善させることは、新自由主義路線を強化している安倍晋三政権の下では絶望的だ。

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要するに、アベノミクス(アベクロノミクス)の下ではデフレ不況の脱却は困難どころか、消費税大増税を柱とした超緊縮財政によりスタグフレーションに陥ることは確実である。最悪の事態は、ハイパースタグフレーションの招来である。

※安倍晋三政権は外交的にも失敗している。いわゆる、ウクライナ問題で明確になった、欧米とロシアの双方に媚を売る「コウモリ外交」だ。いわゆる、似非右翼路線(一般的に、極右路線。天皇家の出自を考察すれば、真の右翼路線は東アジア諸国の友好関係の強化、安定の確率と平和を望むはずである)でも、米国に不信感を与えている。米国は中国が大量に保有している自国の国債を売却されると国家が破産するから、中国にゴマをすらざるを得ない。

ただし、安倍政権を選択したのは主権者国民である。日本の経済社会の衰退、外交的孤立化の責任は、われわれ国民にあることを気づかざるを得ない。

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