「首相」安倍晋三は自民党総裁に正式に選ばれた9月24日、「(日本経済は)デフレから目の前だ」として「アベノミクスは第二ステージに移る。目指すは1億総活躍社会だ」と述べ、①名目国内総生産(GDP)を600兆円にする②子育て支援強化③社会保障の充実(介護離職者ゼロ)ーを新しい「三本の矢」に挙げた。ところが、総務省が翌日25日発表した8月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.4と、日銀が量的・質的金融緩和を導入した13年4月以来、2年4カ月ぶりに前年同月比0.1%下落とマイナスに転じた。

日銀が当初の目標期限(2015年4月ころ、好意的に解釈して2015年度内)までの達成が無理となったため今年4月、「来年度前半(2016年4ー6月)には2%物価上昇率を達成する」と目標を延期したが、これも難しくなった。下図で今年3月までに物価上昇率が高かったのは消費税率引き上げ(消費税増税)のためで、基調的には前年同月比で横ばい(ゼロ%)状態が続いていたが、とうとうマイナスになった。なお、消費者物価上昇率が横ばい状態の7月、8月の家計の実質消費支出はそれぞれ前年同月比2・0%減、同0・2%減だった(総務省)。

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「マイナスとなったのは円安を背景に食料品などの値上がりは続いているが、原油安に伴うガソリンや電気などエネルギー価格の低下が物価を押し下げた」というのが公式の説明だが、原油価格は標準湯種のWTIで2014年6月(1バーレル=105・2ドル)から下がり始め、今年の1月(同47・6ドル)に底をつけ、その後は上昇に転じていた。ただし、8月には再び同42・9ドルと反落。もっとも、このスポット価格が日本の消費者物価(上昇率)に反映するにはタイムラグがある。

そもそも、経済再生担当大臣の甘利利明(今月末のTPP閣僚会合でで国益を放棄する予定)が「緩やかな回復基調が続いている」と言い訳しながらも、「消費や(円安にもかかわらず)輸出がいまひとつ」と認めているように内需喚起によらず、円安で物価上昇率を引き上げようなどというのは、東アジア諸国間で水平分業が確立されている今日(製品輸入が高水準の状況)、政策的には邪道である。

また、安倍が「1億総活躍社会社会」などと言って「1億総中流社会」と言わないのは、善意の国民を騙す詭弁に他ならない。日本国の経済社会に拡大している「格差を放置します」と言っているに等しい。こういう状況の下で、達成期限を明らかにせず、2014年には488兆円だった名目GDPを「600兆円にします」と言われても、来夏の参院選向けの国民を欺くキャンペーンでしかないことは明々白々だ。なお、ドルベースで見た日本の名目GDPは2012年の5兆9544億ドルから2014年には4兆6136億ドルに急減している。犯罪的円安誘導政策のためだ。かつて「経済大国」を謳っていたころと比べ、恥ずかしい限りだ。

日経平均も乱高下しながら、傾向的には下がっている。安倍は独立主権国家・日本国の首相ではなく、米国の植民地・日本の「植民地総督」でしかない。

【※追伸】
米国の格付け会社S&Pが先週の9月16日、本国債の格下げ(AAマイナス→A+)を発表し、日本経済は中国や韓国よりも悪いと判断された。アベノミクスは経済成長につながっていないと判断した。国民1人当たりの平均所得が減少している事、日本経済がデフレから脱却できていない事、そして巨額の財政赤字を抱えている事などが格下げの理由である。

 

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