平成の時代が終わり、令和の時代が幕開けたが、景気後退が鮮明になりつつある中、「消費税率引き上げ」凍結を「名目」に夏の衆参同時選挙の可能性が高まっている。「れいわ新選組」に透けて見える理念・政策の一致による真性野党の結集に拍車をかけ、政権交代を実現して令和元年に花を添えなければならない。
平成最後の月の4月の26日、3月の鉱工業生産指数が発表され、季節調整済指数101.9、前月比マイナス0.9%と、予測指数とは裏腹に2か月ぶりの前月比低下になった。この結果、四半期ベースでみると2019年第1四半期の指数値は、前期比2.6%減の102.3となり、2018年第1四半期の指数値103.5や、自然災害の影響もあった同年第3四半期の指数値103.6を下回り、2017年第1四半期の指数値101.3以来の水準に低下した。
この1-3月期のGDP統計が5月20日に発表されるが、1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナスに転落する可能性がある。場合によっては2018年度全体の実質GDP成長率がマイナスに転落する可能性も否定できない情勢だ。
元号が平成から令和に変わった(朝日新聞4月2620日付け一面によると、「令和」の引用者は万葉集研究の第一人者とされる国文学者・中西進氏であるが、自称『愛国主義者(ただし、日本会議なみ)』である安倍晋三首相は現天皇陛下が皇太子だった4月に皇太子に対して候補を示しており、天皇陛下の政治利用という憲法違反行為を行っている)ため、お祭りムード一色だが、そんな政治・経済情勢ではないのである。はっきり言って、平成時代は福島第二原子力発電所の崩壊という未曾有の危機に見舞われ、地下鉄サリン事件という宗教を装った異常な団体によって無差別大量テロも行われたとんでもない時代だったが、それは表面上のことである。
米ソ冷戦が終結したものの、ケインズ経済学を無効と決めつけた新古典派新自由主義が幅をきかし、かつ、その理論的誤り・政策的失敗がリーマンショックという形で顕(あらわ)になったまれに見る経済政策破綻の時代である。上の財務省の統計グラフが如実に示しているように、経済成長が事実上なかっため税収は30年も経ったのにほとんどかわらず、しかも、担税力のあるところに課税の力点をおく応能主義の原則を破って、消費税率の引き上げに次ぐ引き上げを重ねる一方、所得課税の原則である累進税制の破壊と法人税の減税を継続的に行ってきたため、貧富の差が著しく拡大してきた。こういう経済情勢の中で、10月からの消費税率の10%への引き上げは日本経済を破壊する。
ということで、安倍内閣は「経済情勢の悪化を防ぐための消費税増税延期」を大義名分に、衆議院の解散・総選挙に持ち込むだろう。もっとも、これは真性野党結成の前に解散・総選挙を打っておかないと、政権を失うとの危機意識からである。この危機意識自体は妥当である。そのための起爆力になりそうなのが、山本太郎衆院議員が結成した政治団体「れいわ新選組」である。この政治団体は主として、➀消費税廃止②最低賃金の時給1500円への引き上げ③原子力発電所の即時撤廃-を掲げている。最大の注目点は、理念(共生共栄友愛主義)とその実現のためのの政策で一致して真性野党の結集を目指すというところにある。
野党には、維新など自民党の補完勢力や同党に同調する「ゆ党議員」が多く存在し、これが真性野党の結集を妨げている。二大政党を前提とした小選挙区制を採用し、政権交代可能な選挙制度にしたのだから、野党が理念・政策で一致しなければ、国民の支持が25%しかなくても、70%以上の議席を確保できる。これが、安倍政権に好き勝手にやらせている「議会制民主主義の根拠」である。このため、山本衆院議員は真性野党の結集を目指して「れいわ新選組」を結成したものと見られる。
ただし、いずれの看板政策も過度的な補完措置が必要である。原発依存の地方への脱原発経済への転換のための特別措置や最低賃金引き上げのための補助措置である。ただしこれは、➀所得税の破壊された累進課税性の再構築、法人税増税と莫大な内部留保活用促進策など、税制構造の見直し②利権を目当てにした裁量的財政支出の廃止と景気対策・社会保障支出(プログラム的支出)の拡大など財政政策の改革-などで十分賄える。何よりも、「共生共栄友愛」の理念に基づき、その理念を実現するための政策で一致した真性野党の結集・統一政党の結成こそが、「令和」の時代を平和の時代に革新する起爆剤になる。
なお、平成最後の政界再編として小沢一郎党首の自由党(6人)を吸収する形で国民民主党(玉木雄一郎代表)と同党が合併したが、小沢氏は真性野党結集が持論である。小沢氏と山本氏が同一の目標に対して、別々の役割を担っていると考えたい。