京都市長選挙で立憲、国民の正体が明らかになる(追記)

昨日1月19日に京都市長選挙が公示され、2月2日に投開票になる。野党であるはずの立憲民主党と国民民主党が自公両党の支持候補である門川大作候補の応援に回ったことで、両党の正体が自公の補完勢力であることが明らかになり、「野党共闘」の欺瞞性と政策転換のために政権奪取を狙う真の野党の結集が前面に出てくるだろう。

2018年4月の京都府知事選では自民・民進・公明・立憲・希望推薦の西脇隆俊氏が402,672票を獲得、日本共産党が単独で推薦した弁護士の福山和人氏が317,617票を得て、85,055票差で西脇氏が当選した。もし、立憲と国民が、福山候補を支持・応援していたなら、福山氏が当選した可能性がある。85,055票の半数以上が福山氏を支持すれば、逆転するからであり、民進(国民の前身)、立憲が野党共闘の立場から安倍晋三政権の支持を受ける西脇氏ではなく、福山氏を支持・応援していれば、その可能性はあり得たはずである。

京都市長選で自公側に回った立憲の福山哲郎幹事長と国民の前原誠司氏。自公の押す門川大作候補を支援

ところが、民進、立憲はそうしなかった。立憲、国民は国会の各種委員会で確かに安倍政権は批判するが、それは桜を見る会疑獄などスキャンダルに限られる。消費税や原発、日米FTAなど日本の将来に極めて重大な影響を与える政策に関しては論争をいどまない。これは、支持母体が御用組合で、日本経団連とともに安倍政権を支持する連合であるからであり、いどめないのである。

まず、国民は、➀安倍政権が呪文のように唱える「税と社会保障の一体的改革」、つまり消費税増税の容認②基本的に原発再稼働-などを主張している。立憲も、今回の消費税増税については様子見であり、国民の生活を苦しめ、日本の経済社会の格差を拡大してきた最も根本的な原因である消費税増税についてのスタンスがはっきりしない。同党は消費税についての論争から逃げており、さらに言えば、消費税率の引き下げにも事実上反対している。

税理士の団体である「不公平税制を正す会」による消費税累計増収額と法人3税、所得・住民税の累計現就学

税理士の団体である「不公平税制を正す会」によると、消費税が導入された1989年度から2019年度までの31年間の税収推移を見ると消費税収累計が397兆円であるのに対し、国税である法人税と地方税である法人住民税、法人事業税の法人3税減収累計額が298兆円、高所得層に有利な累進制の緩和による所得税・住民税減収が275兆円。つまり、消費税収累計額397兆円に対して法人3税および所得税・住民税減収累計額合計値は573兆円に達する。言い換えると、消費税の増税は法人3税と高所得層の減税のための財源として使われてきたのであり、社会保障の充実には全く関係がない。

立憲、国民の両党はまた、公職選挙法違反と政治資金規正法違反の疑いが濃厚な桜を見る会疑獄のドサクサに紛れて、日本に圧倒的に不利な日米FTAの国会批准にこっそり協力した。令和新選組の山本太郎代表はこの立憲、国民の対応に激しく反発している。

なお、立憲の幹事長である福山哲郎氏と国民の重鎮の前原誠司氏はいずれも、京都府内が選挙区である。スキャンダルまみれになったため、安倍政権による早期の解散・総選挙が再浮上している。この総選挙で両氏が自公から協力を得る密約が交わされているのではないかと勘ぐる向きも少くない。

今最も必要なのは、スキャンダルでしか動いてこなかった日本の戦後政治を転換するための、政策論争であり、具体的には冷戦の終結移行、世界の政治の潮流になったグローバリズムと称する新自由放任主義の根本的問題点を指摘し、超克することのできる新たな政策を提示することである。その意味で、これまでの「野党共闘」ではなく、政策連合の形成が重要なのである。

この政策の抜本転換に力を注いでいるのが令和新選組であり、日本共産党である。日本共産党も党綱領の改定を行ったが、中国を「社会主義を目指す新しい探求」を始めた国ではなく覇権主義国家として捉え直したことが最大の特徴で、国際情勢について新たな展開を強調している。ただし、「市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の必然的な法則である」との内容には具体的な記述が見られない。いわゆる共産主義は「生産手段の社会化」が最重要の目標だが、この「生産手段の社会化」が現実的に何を指すのか、現実の株式資本主義制度を踏まえて具体的な内容を示すべきである。また、同党の民主集中制が日本の一党独裁制につながるとの懸念も根強い。これらについて、同党は明確な説明をすべきであろう。このほか、スターリン主義を正当化した➀資本論②弁証法的唯物論③史的唯物論(唯物史観)に対する同党の見解も明確にすべきである。

そのためにも、共通政策による政策連合形成が必要であり、政策による確かな野党の共闘の中で、日本共産党はこれらの問題についてひとつひとつ丁寧に説明すべきであり、修正すべきところは果敢に修正すべきである。こうしたことを考慮して、政策転換のために政権奪取を狙う確かな野党の共闘が必要であり、今回の京都市長選挙は地方自治体の選挙ではあるが、野党を確かな野党と守旧派にすぎない自公補完勢力に分ける重要な選挙になる。京都市民には、これまでのしがらみにとらわれず、是非とも国民主権、地方自治を守るため、投票所に足を運んでもらいたい。

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