トランプ氏はやはり大統領への返り咲きが濃厚ー選挙圧勝かリベラル独裁政党と化した民主党の不正選挙攻撃の阻止が条件

副大統領としては能力も実績もなかったカマラ・ハリス氏が、バイデン大統領の選挙戦からの撤退と引き換えに民主党の大統領候補として登場し始めてから、見る見るうちに「支持」を拡大し、米側陣営のメディアからは、「もしハリ」はもちろん、「ほぼハリ」とまで報道されるようになった。あまりの落差に非常な違和感を覚える人々もいるだろう。そのハリス人気がどうやら落ちてきたようだ。米国大統領選挙の賭け市場サイトであるポリマーケット(Polymarket)では、ハリス氏が正式に民主党の大統領候補になってからトランプ氏、ハリス氏の当選予想はそれぞれ50%、49%だったが、現在のところ、51%、48%とトランプ氏のリードが拡大し始めている。

バイデン氏引きずり下ろしとハリス氏「擁立」はイスラエルが黒幕か

その背景には、第一に、ハリス氏が中南米諸国からの不法移民の阻止に失敗し、米国民の雇用が奪われたほか、米国社会の治安が悪化したことがある(ハリス副大統領の実績はこれだけ。ただし、米国経済を極端に悪化させた=スタグフレーションに陥れた=張本人はバイデン大統領とハリス副大統領である)。第二に、初めて住宅を購入する国民に2万5000ドル(450億円程度)など必ずインフレを引き起こす異常な財政政策(異常なケインズ政策)を打ち出したことを指摘しなければならない。第三番目としては、「不当値上げ」をする企業を排除する、民間の医療保険はなくし、国家が医療保険制度を構築するといった市場経済の否定と、統制経済を志向する政治姿勢を露骨に示し始めたこともある。第四に、米国で強力なロビー活動を行い、米政界に強力な力を持っているイスラエルを、ガザ侵攻問題を理由に、批判し始めたことも強調しなければならない。

ハリス氏の「統制経済的な左派政策」(市場経済を否定したかつての古典的な「社会主義政策」)が次第に明らかになってきたのである。米側陣営のエスタブリッシュメントの一角を占めるメディアのご祝儀相場が終わっただけではなく、ハリス氏の政治姿勢(民主主義と自由、労働者を守ってきたとされる従来の民主党の政策姿勢ではなく、いわば、リベラル独裁主義=左派独裁主義=古典的なスターリン型社会主義)を掲げてきており、その異常な政策に不安を持つ米国民が多くなってきたことが、ポリマーケットでの劣勢化の理由である。

以下の図は、日本時間で9月4日、5日の午後(注:バイデン大統領がムキになって日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止すると言明したことは盛り込まれている)のポリマーケットのサイト(https://polymarket.com/elections)に掲載されている大統領選の賭け予想。現在では、「トランプ氏の再選」に賭ける勝負師の割合が50%を超えており、その差は次第に拡大しているようだ。エスタブリッシュメントの一角であるリベラル左派メディアの世論調査よりも当てになる。トランプ氏も買収に反対の意向だが、同氏の戦略目標は米国経済の再建だ。買収の阻止だけで終わることはないと予想している。

なお、日本製鉄がUSスチールを買収できなかった場合、数千人の組合員の雇用が危険にさらされ、本社(大統領選の最大の焦点州であるペンシルベニア州のピッツバーグにある)の移転や複数の製鉄所の閉鎖やを余儀なくされる可能性があるため、5億6500万ドル(現在の為替レートで)800億円の「違約金」を払わなければならないことになっているが、USスチール再建にかなり有利な買収事案(1株当たりの買取価格にはかなりのプレミアムがついていることなど)であるため、米国政府の買収阻止でも違約金を払わなければならないとすると、これは疑問だ。そもそも、買収阻止に経済合理性はない。実際、1株35ドルを上回っていた同社の株価は急落して、30ドルを割った。日本製鉄が大統領選の帰趨を読み誤った可能性がある。

なお、米国の現在の政権は、バイデン大統領・ハリス副大統領を中心としたリベラル独裁左派政権である。ロバート・ケネディ・ジュニアが民主党から離脱した根本原因もそこにある。民主党の候補者選びにさえ、参加を拒否されたのである。そのリベラル独裁左派政権時代に、米国はインフレ下の不況であるスタグフレーションに陥った。同国は9日、製造業の景気指数(ISM)を発表したが、拡大・縮小の分岐点となる50は5カ月連続で下回り、これを嫌気したニューヨーク株式市場のダウ平均は大幅に値下がりした(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014571291000.html)。

3日のニューヨーク株式市場では、アメリカの景気の先行きに対する慎重な見方が再燃し、ダウ平均株価は一時、780ドルを超える大幅な値下がりとなりました。アメリカでは、今週、雇用統計をはじめ多くの経済指標の発表が予定されていますが、このうち、3日に発表された製造業の景況感についての指標が市場の予想を下回ったことで売り注文が広がる展開となりました。ダウ平均株価は一時、780ドルを超える値下がりとなり、終値は先週末と比べて626ドル15セント安い4万936ドル93セントとなりました。下落率は1.5%でした。

ハイテク関連銘柄が多いナスダックの株価指数は、3%を超える大幅な値下がりとなりました。市場関係者は「6日に雇用統計の発表を控え、投資家が神経質になる中で利益をいったん確定するための売り注文が出やすい状況だった。特にエヌビディアを筆頭に半導体関連の銘柄では下げ幅が大きくなり、株価全体を押し下げる結果となった」と話しています。

そもそも、現在の米国経済のスタグフレーション化はバイデン・ハリス政権の見事な失政による。バイデン・ハリス政権は第一に、地球温暖化説の嘘を大々的に掲げて、米国の国有地での石油や天然ガスの生産を止めた。このことが、コストプッシュ・インフレの始まりである。これについては、現代ビジネスでバイデン・ハリス政権がシェールガス(注:シェールと呼ばれる頁岩=けつがん=から搾取される天然ガスの一種)を効率的に採掘するフラッキング法を全面的に禁じたことを批判した元高知大学准教授の塩原俊彦氏が解説した「ハリスはこれにてオワコン!…最大の激戦州ペンシルべニアで大敗する必然」=https://news.yahoo.co.jp/articles/26a2eaf1240114ded22deb6134efd01db7f13ab5?page=1=がとても参考になる。スウィング・ステートのペンシルベニアは全米第二のシェールガス生産州で、そのことによる雇用も大規模だから、ハリス氏はペンシルベニア州で敗退するだろう。

民主党のカマラ・ハリス大統領候補を何が何でも大統領につけたい民主党系のマスメディアは、共和党のドナルド・トランプ大統領候補を猛烈に批判するキャンペーンを展開している。それでも、冷静に分析すると、「スウィングステート」と呼ばれる激戦州のなかには、すでに2020年11月の大統領選でジョー・バイデン候補が勝利したにもかかわらず、敗色濃厚な州がある。それは、ペンシルベニア州だ。(中略)

しかし、大統領選において、民主党の「ハリス-ウォルツ」は間違いなく苦戦するだろう。私には、ほぼ100%敗れるだろうと思われる。その最大の理由は、ハリスの政治姿勢にある。2020年の大統領選の民主党候補になるために2019年1月に出馬表明した彼女は、同年9月、CNNの気候変動危機に関するタウンホールで、「フラッキング(水圧破砕法)禁止に賛成なのは間違いない」と発言した。さらにハリスは、司法長官としてカリフォルニア州でのフラッキングを阻止する努力を支援したとのべた。2016年の上院議員候補として、彼女はフラッキングに懐疑的であるとのべていた。そう、筋金入りの環境保護主義者として振る舞っていたハリスは、「シェールガス」(頁岩に含まれたガス)と呼ばれる天然ガスを採掘するための新しい手法として注目されていたフラッキングが、地下水の汚染、大気汚染、騒音など環境に影響を及ぼす可能性があることから、反対の姿勢をとりつづけてきたのだ。

激戦7州のうちでも、米国西部のペンシルベニア州は選挙人数が最大で、この州で勝利すれば、大統領選挙を制覇することができる。次の図は、8月20日放映の「【米大統領選】ハリス氏躍進にトランプ氏の反撃は?」から画面キャプチャしたものだ。

第二に、バイデン・ハリス政権が、ロシアがウクライナに侵攻せざるを得ないように仕向けて、世界的にも石油・天然ガスなど資源・エネルギーの大規模な不足をもたらしたことが、コストプッシュ・インフレに輪をかけたことによる。世界の諸国民、特に、米国民は、バイデン・ハリス政権が米国の経済悪化(スタグフレーション化)に直接の責任を負っていることに目覚める必要がある。そのハリス氏(注:バイデン大統領は大統領職から事実上引退している)に、衰退しているとは言え、ともかくも世界最大の政治・経済・軍事大国である米国の舵取りをする政治姿勢、大政治家としての能力を持っているとはとても思われない。身銭を切って米国民らが参加するポリー・マーケットではトランプ氏とハリス氏の格差がだんだん開いていくだろう(注:メディアの世論調査は、標本数が少なかったり、民主党支持層に偏っていたりするから、あまり当てにならない)。

大統領としての資質がない、超大国をリードする政治家としての風格に欠けるカマラ・ハリス氏を予備選挙もなく民主党の正式の大統領候補にすれば、こうなることは分かりきっていたことだ。ところで、嫌がるバイデン氏を選挙から撤退させ、ハリス氏を大統領候補にした黒幕は誰なのか。バイデン氏が撤退を決意したのは、ナンシー・ペロシー元下院議長やクリントン、オバマ元大統領でもなく、民主党の大口の資産家が、バイデン大統領の認知症の症状を悲観して、選挙戦を続行することのできる資金援助を断ったからだ。現実的に、資金がなければ選挙活動は出来ない。

国際情勢解説者の田中宇氏が「トランプ返り咲きの周辺<1>」と題して3日に解説・公開した分析記事(https://tanakanews.com/240903trump.htm、=無料記事=によると、「民主党の上層部でバイデンを引きずり下ろしてハリスに差し替えるクーデターをやった黒幕はイスラエルかもしれない。イスラエルが、トランプを勝たせるために、民主党上層部や大口献金者のシオニストを動かし、バイデンを降ろしてハリスに差し替えたのでないか」ということである。

米国の政治を支配する上層部は、①米国単独覇権体制維持派(軍産複合体やその傘下にあり、フェイク・ニュースを絶妙のタイミングで報道するリベラル・メディア)②米国単独覇権体制の維持が、衰退してきた米国経済の重荷になることを懸念し、世界を多極化(欧州を中心に、米側陣営を弱体化する)したい隠れ多極派(能力的に軍産複合体を上回る資本家層)③シオニストーからなるようだ。田中氏によると、この上層部で暗闘が繰り広げられているが、隠れ多極派とシオニストが手を結んで、新たな世界秩序を構築しようとしており、中露を盟主とするBRICSも両勢力と関係を深めているらしい。

なお、米国上層部の暗闘を背景に、ドイツの州議会選挙では、「国民のための選択肢(AfD)」が東部2州で躍進、テューリンゲン州では第1党になった。フランスでは国民議会選挙で中道右派が惨敗、左翼連合と右派の国民連合が議席を大幅に伸ばし、マクロン大統領も暫定内閣を続けざるを得ず、政界は真っ暗闇の状態だ。英国は保守党が経済の悪化で惨敗し、労働党が大躍進して政権の座についたものの、保守党時代の経済不振は癒えたと言い難く、治安の乱れも深まっている。米国と同様、欧州も今後、衰退していく。欧米のウクライナを支援する政治、経済、軍事力は毀損されていくだろう。

汚い手法がしつこく行われてきた経緯から考えて、今年の大統領選でも最大限の選挙不正が繰り返される可能性がある。トランプは、米諜報界に入り込んでいるイスラエルの希望を全部聞くことで、イスラエルの力を借りて選挙不正を乗り越えて返り咲こうとしている。イスラエルは米諜報界の動きを全把握できるようではあるが、トランプの敵たちとも相互乗り入れしているので、米国の選挙不正を阻止・暴露できる力があるのか怪しい。トランプは2018年からイスラエルにすり寄っているが、2020年と2022年に民主党側に選挙不正を完全犯罪としてやられてしまっている。(当時のイスラエルはまだトランプに懐疑的で十分な協力をしなかったとか?)トランプのエルサレム首都宣言の意図

とはいえ今回、民主党候補は現職のバイデンから、さらに不人気なハリスに差し替えられている。選挙不正をやれる得票差には限度がある。僅差ならくつがえす不正をやれるが、得票差が10-15%以上になれるとやりにくい。もしかすると、民主党の上層部でバイデンを引きずり下ろしてハリスに差し替えるクーデターをやった黒幕はイスラエルかもしれない。イスラエルが、トランプを勝たせるために、民主党上層部や大口献金者のシオニストを動かし、バイデンを降ろしてハリスに差し替えたのでないか。Tucker warning: Desperate deep state will throw entire world into chaos to stop President Trump…Inside the tension in Harris’ “Frankenstein” team)(中略)

ただし、次のような問題がある。

トランプはリベ全(注:リベラル全体主義)と果敢に戦う英雄になっている。マスコミやリベラルがトランプを攻撃するほど、全体主義化したリベラルの極悪性に気づいて憎むようになった保守系の人々は、トランプ支持を強める。(ただし)郵送投票や、違法移民が投票できるID無確認など、民主党側が選挙不正をやれる環境の多くは手つかずに残っており、共和党側が裁判などで制度の修正を求めても、判事が民主党系なので却下されている。ハリスとトランプの人気の差と、選挙不正でやれる範囲のどちらが大きいかによって、選挙結果が決まる。Biden-Harris Admin Busted Using Secret Rule To ‘Trump-Proof’ DOJThe Policy Desperation Of Kamala Harris

トランプ氏がハリス氏に対して、圧勝に近い形で勝利しなければ、2020年の大統領選挙によってリベラル全体主義の民主党によって政権を維持される可能性が残っている。そうした勝利ができるか否かは、今後の経過ー9月6日の米国の雇用統計、10日の大統領候補公開討論会、9月半ばの連邦公開市場委員会(FOMC)、金融・資本・為替市場の動向ーなどによって決まる。なお、11月5日の大統領選挙直前の10月、トランプ陣営に「決定的な隠し玉」が用意されているかもしれない。

なお、トランプ氏とハリス氏との大統領選挙討論会問題で、ハリス氏がメモ帳と机・椅子を準備することの許可を求めていたと言う。まんざら、フェイク・ニュースではないだろう(https://www.youtube.com/watch?v=zOQrmW6PyWg)。

ぜレンスキー大統領、大幅内閣改造か

ぜレンスキー大統領は近く、内閣の大幅改造を行う予定だ(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-04/SJA0VGT1UM0W00?srnd=cojp-v2)。ぜレンスキー政権の腐敗一掃が目的との報道もある。その一方で、「ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、日本時間の3日夜、SNSに投稿し、ウクライナ中部のポルタワで、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、これまでに41人が死亡し、180人以上がけがをしたと明らかにしました。2発の弾道ミサイルによって教育機関と病院が狙われたとしていて、現場では、救助活動が続けられているということです。ウクライナでは2日もロシアによるミサイルなどの攻撃を受け、首都キーウでは、民間の施設で多くの被害が出たほか、東部ハルキウなど各地で被害が相次いでいます」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240903/k10014571121000.html)。

ぜレンスキー大統領の任期は今年5月末で終わっている。大統領を続ける憲法的根拠は不明。同大統領から退陣してはどうか。戦争を継続するだけでは、ウクライナの国民には大変な悲劇が待っているだけだ。また、ロシア側の軍事力を分散させ、停戦を有利に進めることが狙いというクルスク州侵攻は成果を得られていないようだ。そのためには、欧米(日本も含む)がもっと軍事的援助を行うことが必要だと繰り返し述べているが、欧米ともに政治・経済的に疲弊し、社会秩序も乱れている。同大統領のホンネは早く、停戦・終戦したいのだろう。

 

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