米国の連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が8月23日、米国北西部のワイオミング州北西部にあるジャクソンホール(避暑地)で、7月の失業率が「高かった」ことから、本格的な金融緩和を行う意思を表明した。しかし、本サイトでしばしば述べているように、米国経済はコストプッシュ・インフレを主因にスタグフレーションに陥っているので、不況対策としての政策金利引き下げで対処するのは不可能だ。主な狙いは、株式相場など有価証券バブルを助長することによって、ドル基軸通貨体制を維持し、米国経済を延命するだけのことだろう。しかし、そのようなバブルの維持がいつまでもつのか。
予想されている9月の米利下げは、バブル崩壊を防ぐため
米国でインフレ率が高まってきたのは、バイデン大統領・ハリス副大統領政権が就任した2021年、「地球温暖化説」を狂信・政策化して、国有地での石油や天然ガスの生産を禁じるという愚かなことを行ったためだ。これに、同政権がロシアをウクライナ侵攻に向けて誘導したことにより、2022年2月24日に始まった「特別軍事作戦」(ウクライナ戦争)に対して、ロシアを徹底的に経済制裁したことで、米側陣営で石油・天然ガスの供給が劇的に減り、インフレが加速した。
しかし、バイデン政権時代になって、同政権が行った超愚策の政策で深刻になった米側陣営のインフレは、石油・天然ガス・資源・穀物などの供給側の不足を主因に、コロナ禍やイスラエル・ハマス紛争に付随して生じたイエメンのフーシー派による紅海での米側陣営のタンカーの攻撃など流通網の目詰まりが起こり、供給側の生産物が少なくなり、その価格の異常な上昇が起こって続いているものだ。基本的な対策は、石油・天然ガス・資源・穀物の生産の大増産以外にはない。
これに対して、バイデン政権は「地球温暖化説」の盲信を止めず、ウクライナ戦を軍事・経済支援して戦争を継続化する一方、インフレの原因をFRBの責任にして金融を引き締めさせた。具体的には、連銀が資本市場で債権や株式など有価証券を買い上げる量的金融緩和政策(QE)を止めさせ、逆に、資本市場から資金を引き上げる量的金融引き締め政策(QT)を行わさせる一方、政策金利のフェデラルファンド・レート(FF金利、全米12の連邦準備銀行に預け入れる無利息の準備金=フェデラル・ファンド=が不足している銀行が、他銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利)を引き上げさせた。
米国では政府とFRBや連邦準備銀行などの金融システムは独立しているし、「独立を犯してはいけいない」(大統領選に担がれたハリス副大統領)などと言っているが、米国の金融システムは、政治から大きな圧力を受ける。下図は、https://jp.investing.com/economic-calendar/interest-rate-decision-168による。FF金利は現在、5.5%と極めて高い。
コストプッシュ・インフレ下で金融引き締めを行えば、米国内の民間非金融法人と家計部門の需要を過度に減殺することになる。需要のオーバー・キルになってしまう。その結果として、米国ではどんどん失業率が高まり始めた。下図は、https://jp.investing.com/economic-calendar/unemployment-rate-300によるものである。通常なら9月下旬に発表される8月の失業率など雇用統計は、今月は上旬に発表されると見られており、市場の予測値は4.2%である。
グーグルの生成AIシステムによると、不況の行き着く先であるリセッション(景気後退)について、「米国のリセッション(景気後退)の判断基準として、元米FRB(連邦準備制度理事会)エコノミストのクラウディア・サーム氏が提唱した『サーム・ルール』があります。このルールでは、失業率の3カ月移動平均が過去12カ月の最低値を0.5%ポイント上回るとリセッション入りと判断されます。米国では、全米経済研究所(NBER)がGDPや鉱工業生産などの各指標を参照して経済活動全体の実態を基にリセッションを認定しています」とそれなりの説明をしている。バイデン・ハリス政権の政策対応が根本的に誤っているので、リセッション入りはあり得る。
一方、インフレ率の推移は下図のようになっている(https://jp.statista.com/statistics/1357282/unadjusted-monthly-inflation-rate-in-the-us)。このところ、下げ渋っていることが分かる。つまり、インフレ圧力はまだ根強いのだ。だから、タカ派のボーマンFRB理事のように、インフレ圧力が根強いため、FFレートの引き下げには慎重な理事も厳然として存在する。これは、バイデン・ハリス政権の完全に間違った経済政策のため、米国経済が事実上、スタグフレーションに陥っていることを示す。
ロイター通信の「米FRB9月0.25%利下げ、その後大幅利下げの観測 PCE価格受け」との報道(https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/RHSDPBVTRNLKDELXYK4IKWVVGI-2024-08-30/)によると、米国の金利情勢の今後の動向は、次のようになるとの予想だ。
米商務省が発表した7月の個人消費支出(PCE)価格指数を受け、連邦準備理事会(FRB)は9月にまず0.25%ポイントの利下げを決定し、その後の会合で0.5%ポイントの大幅利下げを実施するとの見方が金融市場で強まった。市場が見込む年内の合計の利下げ幅は引き続き1.0%ポイント。商務省発表の7月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.5%上昇と、伸び率は前月から変わなかった。 もっと見るネイションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「このところの物価情勢で、FRBのインフレ対策の終了が視野に入っていることが裏付けられている」とし、9月17─18日の次回会合での利下げは確実になったと指摘。「インフレ沈静化が進む中、労働市場が急激に悪化すれば、その先の会合で一段と積極的な利下げを行う余地が生まれる可能性がある」と述べた。労働市場の健全性を見極めようと、9月6日に労働省が発表する8月の雇用統計が注目されている。
ただし、米国の金融政策当局がいくら利下げを行ったとしても、バイデン・ハリス政権の経済政策が根本から間違っているから、不況はもちろん、スタグフレーションは全く克服できないだろう。もう、11月5日の大統領選挙の直後に次期トランプ政権の政権移行チームが発足するので、任期は限られているが。そのうえ、バイデン・ハリス政権は自国の経済の現実・実態から国民の目をそらす。例えば第一に、米国は「統計値改定」と称して、現実の経済情勢を偽る。少し古いが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏の「米雇用者数が年次改定で下方修正:来年の確報値公表を見据えFRBの政策判断に影響も」(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0824)によると、米国の雇用者数は下方修正され続けてきた。
米労働省は23日に、年次ベンチマーク(基準)改定に基づいて、2023年3月分までの1年間の雇用者数を修正した(速報値)。この改定により、1年間の雇用者増加数は、合計で30.6万人程度下方修正された。この1年間、雇用者は月33万7,000人のペースで増えていたが、改定によりこれが約31万人になったことになる。事前には年間50万人程度の雇用者数の下方修正が予想されていたため、実際の修正幅はそれを下回ったが、それでも改定前の数字は実態を相応に過大評価していたことは確かである。
雇用者数が最も大きく下方修正されたのは、運輸、倉庫とプロフェッショナル・ビジネスサービスの分野だった。他方、小売・卸売業では上方修正がなされた。この改定は、ほぼすべての雇用者をカバーする州の失業保険料支払いのデータによる四半期雇用・賃金調査(Quarterly Census of Employment and Wages)に基づくものだ。
雇用者数の修正はこれで終わりではない。来年2月に発表される確報値ではさらに下方修正される可能性がある。雇用統計の事業所調査には、新たに生まれた企業による新規雇用は反映されない。また、事業閉鎖に伴う雇用者減少も反映されない面がある。そこで、労働省は、事業者調査に基づく雇用者増加数に、新たに生まれた企業による新規雇用者増加数と事業閉鎖に伴う雇用者減少数を暫定的に推計して、オリジナルデータに調整を施している。
何四半期も後になってより正確な納税データが入手可能になった時点で初めて正式な数字が明らかになる。労働省は、今回の速報値に続き、来年2月に納税データに基づく確報値を公表する。こうした創廃業に伴う雇用の純増数の推計による雇用増加は、今年5月までの12か月間で、雇用者増加数全体の43%と過去最高水準に達した。しかし、金融引き締めの影響で、経営環境が悪化する現局面では、新規の企業設立による雇用者増加数の推計値は過大評価、事業所閉鎖による雇用喪失数の推計値は、過小評価されている可能性がある。その場合、創廃業に伴う雇用の純増数の推計値で調整した雇用者増加数は、実態よりも上振れることになる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、今まで大幅な利上げを実施してきたが、予想を上回る雇用増加を示した雇用統計に後押しされた面があったことは否めない。しかし、その雇用統計の速報値は、実態を反映していなかった可能性がある。現在、FRBは利上げ打ち止めの局面に近づいているとみられるが、その微妙な局面で政策判断に影響を与える不確定要素が増えた形だ。
実際は、木内氏の予測どおりになったが、米国の金融当局はバイデン・ハリス政権の傘下にあって、米国民に経済の実態をよく見せるための一種の情報操作を行ってきた可能性が強い。これについて、国際情勢解説者の田中宇氏は8月28日に投稿・公開された「不況・インフレ・非ドル化の中でバブル維持(https://tanakanews.com/240828dollar.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)」の中で、次のように指摘している。
米経済は前から(コロナ以降)不況なのだが、当局とマスコミが雇用統計など経済指標の出し方や評価の仕方を歪曲し続け、経済は悪くないと言い続けてきた。良い統計を出した後、翌月に目立たないように前月分を下方修正するとか。前年同月比が悪くても前月比の数字が良ければそれを喧伝するとか。その手の歪曲をやってきた。(US Living Standards In Grave Danger)(ニセ現実だらけになった世界)
実体経済は不況だが、株や債券の相場は連銀簿外裏資金の注入などでバブル膨張が維持され、史上最高値を更新し続けている。市民の大半を占める貧乏人は失業とインフレで苦しんでいるが、米国(米欧)を支配するエスタブ・金持ちたちは、金融投資で儲け続けている。貧乏人を苦しめる不況は無視され、金持ちを富ませる株や債券の最高値更新が裏金バブル膨張によって続く。そのための経済歪曲だった。貧富格差が拡大している。文句を言う人々は、全体主義化した欧米リベラル当局から極右のレッテルを貼られて弾圧される。(金融システムの詐欺激化)
第二の問題点として、米国の経済の実態が悪くなってきているにもかかわらず、株式相場など資本市場ではダウ平均が4万ドルを突破するなど、生成AI(人工知能)などの一部の業種に限らず、市場全体として基調的に高値が続いてきたことが指摘できる。これは、米金融当局がバイデン・ハリス政権(民主党政権)の意図通りに資本市場をバブル化してきたことの表れと見られる。田中氏は、バイデン・ハリス政権や議会に押されて、金融機関から通貨発行による金融商品の買い入れ(量的金融緩和政策=QE=)を止め、総資産額を9兆ドルから7兆ドルに圧縮してきたが、「連銀(注:連邦準備銀行)が簿外で造幣(注:通貨発行)する裏資金や、米国債を大量発行した資金を金融システムに注入して、株や債券のバブル・最高値を維持している」。
米国の金融政策は、FRB(パウエル議長を含め7人の理事)や全米12の連邦準備銀行から輪番制で4名の総裁が選ばれて(注:ニューヨーク連邦準備銀行総裁はその枠外で副議長を務める)、合計12人の委員で構成される連邦公開市場委員会(FOMC)で決められる(https://www.oanda.jp/lab-education/beginners/fundamentals_analysis/fomc_commentary/)。
今回のFOMCでは、リセッション(景気後退)を招かないようにするためだとの見方が強いが、景気の悪化を金融当局のせいにするのは間違っている。単なる政策金利の引き下げでは、景気の悪化から後退もしくは恐慌に至る流れをふせげない。また、コスト・プッシュ・インフレを根本原因とするインフレの完全な解決にももちろん、ならない。結局のところは、資本市場でのバブル崩壊を阻止するためだろう。田中氏も次のように指摘しておられる。
連銀など米当局は今回、実体経済の悪さを隠蔽してきたこれまでの策をやめて、雇用統計を大幅に下方修正して実態に近づけ、それを受けて連銀パウエルが利下げの必要性を言い出した。米経済が最近悪化したのでなく、前からやってきた米経済の悪化隠蔽策を今回やめた。米当局と連銀はおそらく、利下げをするために隠蔽をやめた。なぜ利下げが必要になったのか。2つの可能性が考えられる。(“I Feel That A Recession Is Going To Hit The US” – Dallas, Richmond, & Philly Fed Surveys Slump)
一つは、大統領選挙前なので、民主党政権が連銀に利下げさせ、実体経済を改善して有権者を喜ばせようと思ったのでないか。米連銀内で、実体経済の悪化を指摘する声が急に増えている。もう一つは、株や債券のバブル崩壊的な暴落が懸念されるので、利下げによって資金を緩和して暴落を先送りしたのでないか。8月始めの米日株価の一時的な暴落以来、米金融市場が不安定になっていると、いろんな金融筋が指摘している。
(‘Dubious About A Soft Landing’: JPMorgan Chase CEO Jamie Dimon Warns Of Possibility Of Stagflation)私の見立てでは、後者の可能性の方が大きい。前者であるとしたら、それはハリスの民主党を有利にする策であり、トランプが猛反対する。トランプはパウエルに対し、選挙前に民主党を利する利下げをしないでくれたら、自分が当選した後も、2026年の任期満了まで連銀議長を続投させてやると約束したと言われている。パウエルが9月に利下げするとしたら、その目的は実体経済の改善でなく、金融バブルの回避だろう。そうでなければトランプに復讐されてしまう。トランプは、自分の政権になったら、任期末までバブル膨張を維持して株高を演出し続け、経済政策の成功を自慢したい。金融崩壊回避の利下げなら、トランプも賛成する。(日米協調で円キャリー取引を潰した理由)
ただし、今回の大統領選挙の前に政策金利を引き下げてバブル崩壊を回避しても、米国経済の宿痾(注: かねてから患っていていつまでも治らない病気)は根治できない。それで非米側陣営が、米側陣営の国際決済システムは信用ならないとして、新しい国際決済システムを構築しているわけだが、米国の株式・債券市場のバブルもいつまでも続かないだろう。なお、今回確実されている政策金利の利下げで、バブル崩壊が回避され、金融・資本・為替市場が必ずしも安定化することが保証されているわけでもない。不安定化は継続するだろう。
米国経済が崩壊し、ドル基軸通貨体制が過去のものになるには、膨大な経常赤字で垂れ流したドルを米国に還流するシステムが維持できなくなる時で、そうした事態が訪れる事態としては第一に、異常な財政政策=異常なケインズ政策(注:ケインズ派の泰斗であるトービンは、ケネディ大統領に対して2%程度までの財政出動なら許容できると説明した)=によって、米国の軍産複合体や非金融法人、国民に通貨(ドルの造幣)を大規模に発行して、過剰流動性が表面化し、大規模なインフレが生じる場合だろう(注:米国以外の貿易黒字国にとっては、インフレでドルの価値が極端に失われるような事態になれば、稼いだドルを米国資本市場に投資する理由がなくなる)。ハリス氏は、初めて家を持つ国民に2万5000ドルを支給するとか初めて子供が生まれた家庭に6千ドルの税額控除を行うなどの思いつきのバラマキ政策を公約にしている。これは、必ず過剰流動性をもたらし、ドルの価値をさらに貶める(https://www.bbc.com/japanese/articles/c75ndpzedkqo)。
第二は、大インフレによる極端な金融引き締めを採らざるを得なくなり、経済成長・経済発展の見込みがなくなる場合が考えられる。第三としては、一国の経済情勢は結局のところ、国民の心理に依存するから、米国経済がスタグフレーションの状態にあり、実態は極めて悪いことが米国民の自覚することになるとか、第一や第二の経済情勢に気づいて、米国民の心理が突然悪化し、株式市場や債券市場などの有価証券市場が大暴落、長期恐慌に至る時が考えられる。米国民の心理が突然悪化する場合としてはさらに、ロシアゲート事件をでっち上げるなどしたオバマ、バイデン氏ら大統領経験者やヒラリー・クリントン元国務長官ら政権首脳部が逮捕されて、大手メディアのフェイク報道が国民全体に明らかになった場合なども考えられる。
トランプ氏は大統領に返り咲いたら、「地球温暖化」の妄想とは決別して経済の供給能力を大幅に拡大することや国民の精神的大覚醒(アタナシウス派キリスト教の大改革が中心となる)を目指し、メディア改革・将来のバイデン前大統領ら民主党を非民主主義独裁政党にした民主党幹部を逮捕して、裁判にかけることが必要だ。なお、ハリス氏に対して次元の低い個人攻撃をしても全く意味はない。米国民に対して今日の苦境の原因がバイデン・ハリス政権にあることを知らせれば良いだけだ。
なお、現代ビジネスは在米ジャーナリストの岩田太郎氏が「アメリカ大統領選に異変が…!大人気ハリスに『防戦一方のトランプ』が、実は虎視眈々と狙う『選挙最終盤の大逆転劇」と題する記事を報道(https://news.yahoo.co.jp/articles/6be382ce00a33696e6b45035cc11688f29cc38b9)。その中で、「米国の有権者にとり、大統領選で最も重要な争点は経済だ」として、次のように述べている。
それは、バイデン氏撤退後も変わっていない。8月9~13日にABCニュースとワシントン・ポスト紙がイプソスに委託して2336人を対象に行った全米世論調査(複数回答)では、89%が「経済が大事」だと答え、86%が「インフレは重要」だとしている。さらに同調査では、全体でハリス氏の支持率が50%、トランプ氏が45%と大きくハリス優勢であるにもかかわらず、経済とインフレの取り扱いについては、いずれも2017~2021年の在職実績のあるトランプ前大統領がハリス氏に9ポイントの差をつけて「より信頼できる」との結果が出ている。
翻って、8月1~5日に実施された英フィナンシャル・タイムズ紙とミシガン大学の共同世論調査では、42%が「ハリス氏は経済でより信頼できる」と回答し、41%のトランプ氏を上回った。この時点でハリス候補は経済政策を明らかにしていなかったのに、なぜ回答者はハリス氏がトランプ氏より信頼できると思ったのだろうか。(中略)
米マンモス大学が6月に実施した全米世論調査(上図)によれば、家計の状況が「安定している」と答えた回答者(灰色の線)の割合がパンデミックの始まったばかりの2020年3月の61%から45%まで低下したのに対して、「苦しい」とした人々(赤色の線)の割合は26%から46%にまで増えて、逆転している。(中略)
実際に、世界最大規模の世論調査会社であるイプソスでは、現在の状況を「勢いのハリスと争点のトランプ」と表現した。イプソスによれば、今回の選挙が純粋に「雰囲気」に基づいていたとしたら、勝利は完全にハリス氏側にあるという。しかし、「経済」や「インフレ」の争点においては、トランプ氏がハリス氏を大きくリードしている。イプソスは、「選挙においては、主要な争点に強い候補者が85%の確率で勝利する」と指摘している。
米側陣営のメディアの報道が、ハリス氏の当選に有利な報道ばかりしていることに疑問を呈し、最終的には、「こうした現実を勘案すると、ハリス候補の現在の勢いは11月5日の投票日までに大きく衰え、トランプ候補が争点とする『経済』と『インフレ』が有権者の主要な関心事になっていくと思われる」としている。ハリス氏に対するご祝儀相場は次第になくなり、米国民の目はバイデン・ハリス政権が自国の経済を悪化させたことに目を向ける展開になるだろう。
金価格は1トロイオンス=2500ドルを突破してきた
米側陣営のマーケットで決まってはいるが、金地金が1トロイオンス=2000ドルを突破してきた(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。ドルは戦後、ブレトン・ウッズ体制が始まった時は1トロイオンス=35ドルだった。