「日本の財政再建の正しい道筋」と「経済再生の秘策」(その01)―はじめに

日本金融財政研究所所長の菊池英博氏が、2010年7月に自費出版された政策提言書「『日本の財政再建の正しい道筋』」と『経済再生の秘策』」を同氏の快諾を得て、本サイトへの転載を開始します。アベクロノミクスは、この政策提言書の誤ったパクリであり、結果として同氏の政策提言が正しいことの逆説的な証明になっています。なお、菊池氏は週刊文春が行ったエコノミストの格付けで「トリプルA」の最高ランクを取得している。米国のポチでしかない(いや、ポチでも相手にしてくれるが、相手にさえしてくれない)安倍晋三首相に公僕としての意識があるならまず、本書の購読から始めるべきである。

2010 年 07 月 01 日

は じ め に

kikuchi

私は、1995 年に政府与党(自民党)が財政危機を唱え始めたときから、日本国内では日本の財政構造と財政の実態が正しく理解されていないのではないかと考えてきた。今でもこの考えは全く変わっていない。

私は毎年のように ニューヨークやワシントン、ロンドン、フランクフルトなどを訪問し、友人(一部は政府の要人)に面談し、意見交換をしている。
彼らは「日本が財政危機ではない、政策を間違えているから、経済が停滞し、税収が上がらないのだ。
日本は自分のカネ(own finance)でしっかりした景気対策をすれば、財政赤字など吹き飛んでしまう」と思っている。またドイツの友人は「日本は海外にばかりカネを貸しているが、自国に成長は考えていないのか」と訝っている。マレーシアのマハテイール元首相も同じ考えだ。

まさに日本は財政危機ではなく、政策危機である。2010 年 6 月に開催された 20 カ国・地域(G20)首脳会合で採択された先進国の赤字削減目標で、日本が例外となったことについて、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、日本の財政状況について、「差し迫ったリスクは全く見受けられない」と語っている(時事通信社発信)。日本は間違った財政認識から財政呪縛に陥り、「10 年ゼロ成長」「長期デフレ」に陥っており、出口が見えていない。

日本は依然として世界第二位の経済大国である。日本が経済成長を復活することが、世界経済にも有益であり、海外の首脳も、機会あるたびに、日本に内需の拡大を忠告している。日本政府はグロ-バルな視点で日本のデフレ問題を真摯に考え、対策を実行することが求められている。日本の内需拡大が世界経済に大きく貢献するのだ。

しかし、最近の日本では、「入口戦略」(デフレ脱却政策)なしで、「出口戦略」(財政再建策)が優先しているように見受けられる。果たしてこれでよいのだろうか。

こうした疑問の原点は「日本の財政事情と経済の実態が正しく理解されていない」ことからきていると考え、この小冊子を執筆したものである。この小冊子が 日本の財政事情を正しく理解して頂き、デフレ脱却、税収が増加する経済体質を構築して行くうえで一助となれば、幸いである。

(この小冊子は非売品である。本文と図表の著作権は著者にある。しかし、出所を明記していただければ どこでお使いいただいても結構ですし、本文と図表の内容を汲み取って活用することは、何ら著作権に違反しません。ひろく国民に伝えていただきたい。)
以上

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