厚労省専門家、オリ/パラ開催で都コロナ感染者急増、緊急宣言再発出予測ー実際は感染爆増か(ワクチン補強)

厚生労働省のアドバイザリーボード(専門家会議、座長・脇田隆字国立感染研所長)が6月16日、9都道府県の「緊急事態宣言」の解除にインドのデルタ株の影響を加えると、東京都内のコロナ感染者は急増、政府=菅政権東京オリンピック大会期間中に再び「緊急事態宣言」の再発出に追い込まれるシミュレーションを行っているが、シミュレーションには「最悪の事態」も想定している。実際はデルタ株の感染力、毒性の強さを過小に見積もっているので、現実的には感染の爆発的増大の可能性がほとんど確実だ。政府=菅義偉政権は「殺人政権」になる。

日本のコロナ感染者状況(追記予定)

2021年6月18日コロナ感染状況
複数のメディアによると6月18日金曜日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前週金曜日比18人増の337人、前週秘蔵は3日連続。死亡者数は2人、東京都基準の重症患者は42人になった。7日移動平均では389.0人になり、前週比では5月17日(100.7%)以来100%を上回る100.7%になった。東京都が参考として発表した17日の検査件数は6545件で、17日までの3日間の平均は7489.7件だった。
全国では午後23時59分の段階で、新規感染者数1623人、死亡者数48人、重症者数775人が確認されている。大阪府は新規感染者数が79人、死亡者数が17人になっている。

東京都は既にコロナ新規感染者の再拡大が始まった可能性がある。東京都での東京オリンピック/パラリンピック強行開催のための緊急事態宣言解除は早すぎた。ただし、季節要因とデルタ株要因によるものと推測されるため、「緊急事態宣言」では効果がない(後述)。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

厚労省アドバイザリーボードのコロナ感染爆発予測

読書家の清水有高氏が主催するYoutubeのチャンネル「一月万冊」で清水氏が朝日新聞出身のジャーナリスト・佐藤章氏との対談番組の中で明らかにした。厚労省のアドバイザリーボードは次のページの順にたどることができます。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00256.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00256.html#h2_free12https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000793713.pdf(国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木基所長らがまとめた報告書)。

この報告書群はパワーポイントで500頁規模の膨大なものだが、鈴木所長の報告書はこのうち120頁と最大規模。なお、アドバイザリーボードには政府のコロナ感染症対策本部分科会の尾身茂会長も関係している(https://www.mhlw.go.jp/content/000664812.pdfのメンバー表に記載)。

16日の報告については取り敢えず、共同通信が報道しているが、すべての報告書を読みこなしたうえでの報道ではなく、アドバイザリーボードが作成した報道用の資料をもとに記事を作成したものと思われる(https://news.yahoo.co.jp/articles/e8a4949ef41b190501c0c883af77ad861d983602)。引用させていただきたい。なお、東京新聞Webでも報道している(https://www.tokyo-np.co.jp/article/111008)。

厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織の会合が16日開かれ、感染力が強いインド株の影響が仮に小さかったとしても、7月からの東京五輪期間中に緊急事態宣言が再度必要になる可能性があるとの試算が示された。まとめた国立感染症研究所や京都大などのチームは、観客ありで開催すると無観客開催よりも感染者が累計で1万人増える可能性があると明らかにした。(以下略)

報告では、「インド株の影響が仮に小さかった」場合でも東京オリンピック/パラリンピック強行開催中に「緊急事態宣言」の発出に追い込まれるという予測も驚きだが、そのことを予測しておきながら、厚労省のアドバイザリーボードと連携を取っているコロナ感染症対策本部分科会(尾身茂会長)が体を張ってでも緊急事態宣言の解除を食い止めなかったことの方が驚きであり、まことに遺憾だ。政府のさまざまな専門家会議のアリバイ作りであり、責任を菅政権に押し付けることが狙いと思われる。

予測は東京都(人口1390万人)を対象にしたものだが、前提条件を下図に示す。

厚生労働省アドバイザリーボードの予測
厚生労働省アドバイザリーボードの予測
厚生労働省アドバイザリーボードの予測
厚生労働省アドバイザリーボードの予測
厚生労働省アドバイザリーボードの予測
厚生労働省アドバイザリーボードの予測

 

ワクチンの効果については、先に述べた東京新聞Web(https://www.tokyo-np.co.jp/article/111008)が次のように報道している。

◆ワクチン神話に専門家は警鐘
専門家組織座長の脇田隆字感染研所長は「シミュレーションで1番関係するのは、デルタ株の影響と人流増加」と説明。東京の人流は昼夜ともに5週連続で増えており、専門家組織は「リバウンド(再拡大)に向かうことが強く懸念される」と結論付けた。実際、都の発表によると、20代の新規感染者数は6月中旬から増加傾向を見せている。
政府が「頼みの綱」とするワクチン接種への過度の期待にも、専門家はくぎを刺す。脇田氏は「宣言解除で対策が何もなくなれば、高齢者接種が100%完了してもそれ以下の年齢層の感染者は減らない。ワクチンは強力な武器だが、感染源と感染経路対策が緩むと、1人が何人に感染させるかを示す実効再生産数は上がる」と明言した。

ワクチン接種が日本よりもはるかに進んでいる英国でさえ、都市封鎖(ロックダウン)の再延長を余儀なくされている(https://digital.asahi.com/articles/ASP6H2PL6P6HUHBI004.html)。

(英国)政府によると、インド株は従来型より感染しやすいとみられ、最近では英国の新規感染者の9割超を占めている。14日の新規感染者の報告数は7742人で、先月前半の1千人~2千人台から増えている。英国では成人に占める1回目のワクチン接種率は約8割だが、2回目を終えた割合は約57%。政府は解除を遅らせる1カ月の間に2回目の接種率を6割台後半まで引き上げたい考えだ(注:17日の新規感染者数は4か月ぶりに1万人を超え、1万1007人になった=https://www.nkt-tv.co.jp/pc-news/news915eknxybut3vqb0mk.html=)。

日本でのワクチン接種は非常に遅れているから、菅政権が「大号令」を発してはいるが、基礎自治体が受けた厚労省の説明によると、第一回目のワクチン接種から抗体産生で免疫を獲得するまでには5週間、1カ月以上かかる。東京オリンピック/パラリンピック開催までにワクチン接種による集団免疫を獲得するには、現時点で既に国民の6〜7割が2回のワクチン接種を受けていなければならない。NHKのWebサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/)によると、2回のワクチン接種を受けた国民は812万4014人。子供人口は812万4014人だから接種対象者は1億人規模で、接種率は8.1%。オリ/パラ開催までに集団免疫を獲得することは最早、不可能だ。

千歩譲って1回だけ接種を受けた国民の割合は20%強でしかない。ただし、英国では接種を1回だけ受けた英国民はインドの二重変異株(デルタ株)に感染している。

次に、東京オリンピック/パラリンピック開催による東京都内の人流拡大予測、東京都外から都内への人流拡大予測については、菅首相が大イベント興行団体の国際オリンピック委員会と共謀して、有観客の規模を可能な限り最大限にしようと画策しているから、アドバイザリーボードの予測を超えるだろう。東京新聞Webでは次のような試算を報道している(https://www.tokyo-np.co.jp/article/109040)。

東京五輪の競技会場に、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言中の大規模イベント観客数条件を当てはめた場合、観客数が延べ約310万人になることが本紙の試算で分かった。(中略)

◆「5000人」を上限に試算
パラリンピックを含めた大会期間中、選手と海外からの大会関係者約9万3000人以外に、ボランティアら国内関係者延べ約30万人が出入りすることが分かっている。
国の基準では、緊急事態宣言中の大規模イベントは「収容人数の半分」か「5000人」の少ない方で開催され、プロ野球やサッカーJリーグは5000人が入場可能となっている。本紙はその条件を五輪に当てはめ、競技が行われる19日間の観客数を試算。国立競技場など収容1万人以上の24会場は5000人、その他の収容1万人未満の会場はそれぞれ半分の人数で設定し、各競技日程に応じて足した。

東京新聞によるオリンピック開脚の推計
東京新聞によるオリンピック開脚の推計

五輪の観客を巡り、東京都医師会の尾崎治夫会長は5月27日の記者会見で言及。プロ野球などが全国で分散開催されるのに対し、大会は連日42もの会場で行われることや、25会場が都内に集中することなどを踏まえ「今の状態であれば無観客開催が最低限の話」と述べた。さらに、観客を入れた場合は熱中症の恐れが生じるため、医療従事者の負担が増えるとも指摘した。

緊急事態宣言下でのイベントの観客上限は5000人として計算している。まん延防止等特別措置では上限が引きあげられる。菅政権は最大1万人に増やしたい意向だ。だから、実際には310万人を上回る公算が大きい。このうち、東京都内での人流拡大、東京都外の首都圏からの人流拡大がどの程度になるかは試算していないが、少なくともアドバイザリーボードの最大の人流拡大のケースを現実的と見ておいた方が良い。なお、尾身会長ら「専門家有志」は政府と東京オリンピック/パラリンピック組織委員会に「東京オリンピック/パラリンピックは無観客が望ましい」との提言を出したが、菅政権からの諮問はないため、政権に対する高速力はない。アリバイ作りにしかならないだろう(https://www.tokyo-np.co.jp/article/111311)。最終決定は来週21日月曜日の予定らしい(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210618/k10013092351000.html)。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は18日、東京五輪・パラリンピックについて「無観客開催は、会場内の感染拡大リスクが最も低く、望ましい開催方法である」とした提言を大会組織委員会に提出した。観客を入れる場合は他の大規模イベントの上限よりも厳しく制限する必要性を指摘し、拡大の予兆があれば無観客に切り替えることを求めた。政府にも提出した後、尾身氏が記者会見し説明する。

次にインドで発見された日本人を含むアジア人のコロナに対する歴史的な獲得免疫(交差免疫、Factor X)を無力化するデルタ株について、アドバイザリーボードは感染力が最大で従来株英国で発見された変異株(アルファ株)の1.5倍、病原力2倍(重症化力=毒性)と仮定しているが、これはかなり甘い。世界的には感染力は1.8倍、重症化力もかなり強いというのが各国の有力な専門家の標準的見方だ。現代の「緒方洪庵」と称されるNPO法人・医療ガバナンス研究所の石昌弘理事長・医師は日刊ゲンダイで次のように述べている(https://news.yahoo.co.jp/articles/78daf05df8d915f9cf812c47066b7867ca3be178)。

インド株の問題は、ファクターXをかいくぐる可能性があることだ。ファクターXとは、第1波で厳しい措置を取らなかった日本の感染者や死者数が少なかったことから提唱された。日本人の遺伝的要因、衛生意識、BCG接種、何らかのウイルス感染との交差反応が関係するとされている。

実は、ファクターXが存在するのは日本だけではない。昨年12月~2月、アジアの1日当たりの新規感染者は欧米よりはるかに少なかった。最も多いマレーシアでさえ、人口100万人当たり147人だ。ちなみに日本は51人で第2位。欧米は違う。主要先進7カ国(G7)で最も少ないカナダでも255人。コロナ感染は欧米とアジアでは全く別の病気だ。インド株の流行で事態は一変しそうだ。

医療ガバナンス研究所の山下えりか研究員が、ゲノムデータベース(GISAID)を用いて、6月2日現在、各国の過去1カ月の登録例に占めるインド株の割合を調べたところ、ネパール100%、シンガポール82%、インド60%、オーストラリア53%、ベトナム50%、バングラデシュ31%、パキスタン13%、日本7%だった。もちろん、この数字は報告バイアスの影響があるが、アジアで感染が拡大しているのは間違いなさそうだ。

山下研究員の調査によれば、インド株の割合は、ポルトガル12%、イスラエル10%、ノルウェー6%、ルーマニア、スペイン、アイルランド4%と欧州で増加中だ。幸い、インド株に対してワクチンは一定の効果がありそうだ。5月10日、米エモリー大学の研究者は、ファイザーとモデルナ製のワクチンを接種した人の血液を用いた研究で、通常株と比較してインド株は6.8倍抵抗性を示すが、臨床的には有効と報告している。(以下略)

【追記6月18日午後14時30分】サイト管理者(筆者)は「新型コロナワクチン一本足打法」には与しない。高齢者は新型ワクチン接種のメリットがあると思われるが、遺伝子レベルのワクチンであり、しかも、人為的にヒトの体内に残り続けるため、抗体を産生し続けるために、副作用が伴うようだ。代表的なものとして抗体依存性感染増強(ADE)というものがある。これは、「本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進。その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させてしまうという現象」(https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/30/06749/)だ。新型ワクチンがこの副作用を引き起こす懸念が拭えない。

新潟大学の岡田正彦名誉教授(医学博士)が新型ワクチンの問題点について情報発信を続けておられる(http://okada-masahiko.sakura.ne.jp/)。中国人女性医学者のシー・ジェンリー女史が米国から6000万円相当の資金提供を受けて、コウモリのコロナウイルスの遺伝子改造捜査を行ったとの疑惑を紹介している。米国を支配するディープステート(闇の帝国:軍産複合体と他国籍金融資本・企業)がコロナウイルス中国犯人説を流しているが、実は米国も「関与」しているということになる。今回のコロナ・パンデミックにはコロナウイルス犯人説やファイザーの最高経営責任者(CEO)の自社保有株売却(中長期的に副作用がなければ、保有株は持っていたほうが有利になるはず)など不可解なことが多い。

それはともかく、中年層以下の国民の皆様は十二分に健闘して接種を享けるか否かを健闘していただきたい。そうは言っても、医学に携わったことのない国民には自己判断は容易ではない。これについては、「感染症利権ムラ」に所属しない臨床医師として国民の生命と健康を守ることを転職とされている医学者の専門家の先生方に査読していただいて、論評をお願いし、国民への正しい啓蒙をお願いしたいところだ。また、厚生労働省などは、ワクチン接種を希望しない国民に対する偏見や差別をなくすよう、国民に注意を喚起べきだ。なお、厚労省による新型コロナワクチン接種後の副反応をまとめたサイトはhttps://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html。ページの更新が遅いが、5月30日までに接種後死亡された方は医療機関報告事例で重篤者1260人、死亡者122人。「死亡補償金制度」はあるが、実際には機能していない。

なお、塩野義製薬などでは国産のワクチンや治療薬(特効薬)を開発している(https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/informations-for-id/covid19-initiative.html)。また、富山大学の仁井見英樹准教授らの研究グループが開発した「スーパー中和抗体」がコロナ感染症(Covid-19)治療の「特効薬」として期待されているという(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/290670)。本来は安全かつ有効な治療薬開発が主体(仮に、副作用が出たとしても範囲は限られる)で、ワクチン(接種被害は接種を受けた全国民に及ぶ)は第三相の正式な治験を踏まえた上で提供するというのが筋だろう。

論考を元に戻すと、デルタ株の威力は相当なものだ。アドバイザリーボードはデルタ株の感染力、重症化力過小評価していると言わざるを得ない。また、日本では7%がデルタ株との推計であるが、日本の変異株の遺伝子解析は数日から1周間程度かかる。佐藤氏によると、「感染症利権ムラ」で構成される日本の検査体制では、本当の遺伝子解析の専門家がいないことと(地方衛生研究所が行うスクーリーニングシステム=暫定的な調査=を含む)PCR検査システム、遺伝子解析装置が時代遅れのためだ。日本の「専門家会議」と称する御用学者集団はPCR検査を徹底的に抑制し、遺伝子解析技術でも時代遅れだ。欧州諸国ではその日のうちに数時間で検査結果が判明する。日本でも最先端のPCR検査システム、東大医科学研究所のスーパーコンピューターを使えば、ゲノム解析は実際には短時間で可能だという。

だから、7%というのは「感染症利権ムラ」による遺伝子解析が杜撰なため、かなり低く見積もらざるを得なくなってしまった結果の数字だろう。しかも、日本では英国型のアルファ株が関西圏で広まったこととは異なり、デルタ株は首都圏で市中感染が始まっている。以上のことで、アドバイザリボードの最悪のシナリオでさえ、現実的ではないと思われるが、取り敢えず最悪のシナリオを下図に示す。

アドバイザリーボードの推計
アドバイザリーボードの推計
アドバイザリーボードの推計
アドバイザリーボードの推計

 

オリンピック開始前に計測不能になっている。「緊急事態宣言」の再発出は不可避だ。なお、死亡者数の推計がない。重症化して亡くなられた方や自宅療養などで治療を受けられず亡くなられた方の感染者数に対する割合から死亡者数の推計もできるはずだ。それを敢えて掲載しないのは、アドバイザリボードが東京オリンピック/パラリンピック強行開催による国民の犠牲(死亡)を容認しているからだ。次に緊急事態宣言を発出した場合のシミュレーション図を示す。

アドバイザリーボードの推計
アドバイザリーボードの推計

アドバイザリーボードの推計
アドバイザリーボードの推計

累積感染者の数は推計不可能になっている。この予測だけでも驚くべき内容だ。アドバイザリーボードのある自称専門家は「これは遊びだ」と言って、国民の目を現実から目をそらしている(https://www.tokyo-np.co.jp/article/111008)。

専門家の独自性を保ちながら、政府にも受け入れられ、提言に参加する全員が納得できる内容が求められる。あるメンバーは「こういうのは作文だから。どうとでも読めて、皆が納得できるよう(政府とも)協力してやるのが1番いい」と話す。このメンバーによると、提言は大筋で完成した。尾身氏は菅義偉首相に手渡し、説明することにこだわっているという。

これでは、真の専門家ではなく、科学者・医学者として「国民の生命と健康を守ること」を最大の使命とする責任感と自負を放棄した「似非専門家」ではないか。なお、「緊急事態宣言」の発出で新規感染者数が減少するわけではない。佐藤氏によると、医療ガバナンス学会の和田眞紀夫医師から上理事長・医師が得た情報として、コロナ感染の波は季節性要因(夏場に小流行、冬場に大流行)で基本的な波動を描くが、米国と日本では「三峰」を描くという。第4波は5月中旬までにピーク(山)をつけた。サイト管理者(筆者)としてはこれまで、5月中旬が「今年の夏場」と書かせていただいたが、早すぎるのではないかという迷いはあった。米国と日本では「三峰」を描くという和田医師の指摘から納得できた。これに人流の拡大から、変異株要因がコロナ波の形成要因になる。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

さて、6月の中旬以降から第二の峰への胎動、つまり、第5波が始まったようだ。上の表が示すように、最近の東京都の7日移動平均での1日の新規感染者数の前週比率が反転上昇し始めたことが、その表れだろう。これに首都圏では7月以降、デルタ株の市中感染が本格化する。季節要因、変異株要因が感染を拡大する方向で同時に作動する。菅首相は国民に「パン(自民党から補正予算編成のご都合主義が出ている)とサーカス(オリンピック)」を与えれば、解散・総選挙に勝てるだろうと「危険な賭け」に出ている(https://digital.asahi.com/articles/ASP6K77LZP6KUTFK00Y.html?iref=comtop_7_01)。

4月下旬に始まった緊急事態宣言の解除が決まった。だが、首都・東京はここに来て新規感染者数が下げ止まり、専門家から「第5波」への警鐘が鳴る。菅政権は、宣言解除で東京五輪に向けた祝祭ムードを高めるねらいだが、感染再拡大(リバウンド)を加速させるリスクも抱え込んだことになる(中略)。

首相周辺は「首相はワクチンの効果で感染状況が改善し、経済が好転する楽観シナリオを信じている」。17日の記者会見でも「ワクチンの接種は直近1週間で730万回、平均すると1日100万回を超えている」などと強調し、ワクチンへの期待感を全面的ににじませた。そんな首相に政権内からは、「楽観論が過ぎる。首相は何でもベストシナリオで進むと思い込んでいる節がある」(自民党中堅議員)と危惧する声が上がる。ある閣僚は「五輪に関連して大規模なクラスターでも発生すれば、首相の責任問題になる」と話す。(以下略)

菅首相のギャンブルは失敗に終わるだろう。試金石は6月25日公示、7月4日投開票の国政選挙並みの東京都議選だ。失脚が確定している二階俊博幹事長という後ろ盾を失った小池百合子都知事は、今回の緊急事態宣言解除事案では全く主導権を握ることが出来なかった。最高顧問を務める都議会与党の「都民ファースト」は草刈り場になる。真正野党は共通政策を明確にして正面から堂々と政策論争を挑まなければならない。ただし、野党第一党の立憲民主党・枝野幸男代表は日本共産党を排除し始めている。御用組合でしかない日本労働組合総連合会(連合)の圧力を受けてのものだ。迷走ぶりはあまりにもひどい。

これに対して、佐藤氏は「救国内閣」構想をかかげ、シャドウキャビネットを公表するべきだとして、立民の中でも最大の政治力を持っている小沢一郎衆院議員を副総理にすることを提唱している。そして、①政治を国民の手に取り戻し、本来の官僚の能力を生かしつつ政治主導の行政を行うための「国家戦略局」の設置(民主党政権時代に創設・機能化に失敗した。佐藤氏の著書「政治家・小沢一郎」に詳しい)②原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を目指した「原子力改革政策」(いきなり原発稼働停止にすると東京電力など電力会社の資産が負債になり、経営破綻する)の立案③従来の「感染症利権ムラ」のメンバーからなる「似非専門家会議」を廃し、政権から独立した日本版疾病予防センター(CDC=Centers for Disease Control and Prevention=)を組織化して、医師としての倫理と能力に優れた真の専門家を結集する➃消費税率5%の引き下げは枝野代表が新書「枝野ビジョン」で公表しているはずだが、ぶれないで強力な経済対策を打ち出すーことを提言している。

小沢衆院議員には、副総理として「国家戦略局の創設・機能化」と「原子力改革政策」を担当していただくというのが、佐藤氏の提案だ。また、連合にも影響力を持っているうえ、日本共産党とのパイプを持ち、れいわ新選組の山本太郎代表にも影響力を有している。連合傘下の国民民主党は、秋までの総選挙では東京都比例ブロックで単独一位と破格の扱いを受けていたが、不倫(不倫相手の配偶者は自死=自殺している)と議院パスの不正利用が発覚し、山尾志桜里衆院議員が今期限りで衆院議員から引退するため、党内に混乱が生じていると思われる。当然、玉木雄一郎代表は責任を問われなければならない。最終的には全議員が、自民党に入党して、消滅するだろうし、消滅すべきだ。

こうした骨太の提言・公約を行わない限り、今の枝野体表ー福山哲郎幹事長ラインでは政権を国民の手に取り戻すことは不可能だろう。なお、日本共産党は枝野代表にはっきりと進言するべきだし、「共産主義」そのものを止揚しなければならない。衆院解散・総選挙で挙国一致内閣が出来なければ、自民党内の反主流派(ドリル事件はあったが竹下派で経済産業大臣を務めた小渕優子衆院議員らの名前が上がっている)に期待するしかないが、まことに情けない話だ。日本の政治・経済・社会の混乱は戦後の政治史上、最も極まるだろう。その場合は、日本は先進国から転落する。


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