「日本一新運動」の原点(282)戦争法案廃案の死角⑰ー日米安保条約にも違反

日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

〇安全保障法制関連法案を廃案にする〝死角〟がありますよ!17

安保法制国会の会期はいよいよ残り18日となった。祝祭日、土日を除けば9日間となる。しかし、イザとなればなりふり構わぬ安倍自公政権は、祝祭土日なんか無視して突っ走るだろう。永田町周辺では安保法制関連法案は成立確実との雰囲気だ。ドッコイ、そうはいかない。安保法制反対の声は日ごとに大きくなっている。自民党地方議員が離党して反対運動に立ち上がる、地方議会では「慎重審議・今国会での採決見送り決議」等が報道され、創価学会有志が池田会長の教えに従うと署名活動を始める等、何が起きてもおかしくない世の中だし、激動の時代なのだ。

私と故郷を共にするジョン万次郎の遺言は、「決して諦めてはいけない」ということであった。幕末、過酷な運命の中で生き抜いた人間のことばだ。安保法案を廃案にする〝死角〟はまだまだいくらでもある。

(新憲法施行記念国民歌『われらの日本』を国会前で十万人合唱の音霊作戦をやろう!)

昭和22年5月3日、新憲法施行記念国民歌『われらの日本』が発表された。小学校6年生だった私は声変わりの時期で、合唱のなかにはいると全員がおかしくなるので、先生から「指揮をやれ」といわれた思い出がある。

  われらの日本

 平和のひかり  天に満ち 
 正義のちから  地にわくや
 われら自由の  民として 
 新たなる日を  望みつつ
 世界の前に   今ぞ起つ

 歴史はひらく  朝の戸に
 はるけくつづく かの一路
 われらひとしく 信愛の
 手に手つなぎて 進みゆく
 世紀の声を   まさに聞け
 
 そよ風さくら  春さけば
 野山の千草   秋薫る
 われらおのおの いざここに
 清くあかるく  護るべし
 祖国よ家よ   若くあれ    

(作詞:土岐善磨 作曲:信時潔、PDF版に譜面あり)

早急にこの新憲法施行記念国民歌を、護憲のため活動する人に知らせるよう、会員の皆さんにお願いする。再び国会前に10万人が結集し、心をを込めて合唱すれば、国会に潜む立憲政治を冒涜し、憲法を蔑ろにする『悪霊』どもを浄化し、国会議事堂に憲法の理念を蘇らせることができる。これを憲法再生「音霊」作戦と名づけよう。

(山口繁・元最高裁長官の見識に敬意を表したい!)

9月3日(木)付の朝日新聞(朝刊)は、元最高裁長官・山口繁氏とのインタビュー記事を報道した。日を置いて共同通信が同氏へのインタビュー記事を掲載し、「集団的自衛権行使は違憲」と表明したことが明らかになった。終盤を迎えた安保法制の国会審議に衝撃を与えた。

山口氏は平成9年から12年まで最高裁長官に就任していた。この時期、私は参議院議員で、法曹関係者から司法改革をやるので法務委員会に所属してくれと要望され、12年間の参議院議員生活中、11年間法務委員であった。そんな関係で面識もあり、意見を交換したこともあった。

集団的自衛権行使を中心とする安保法制問題は、憲法学者等の学識経験者を始め、歴代内閣法制局長官や裁判官経験者が違憲論を主張し、国民も、各界各層を超えて安倍政治の危険性について認識を深めるようになった。

率直に言って私が生きてきた衆議院事務局33年、参議院議員12年の45年間というものは、憲法の中で暮らしていたようなものである。それは国会の権限や運営などの手続きは、憲法の中に実定法として明記されているからである。国会法や議事規則などは憲法関連法規といわれ重要な事項を規定している。さらに、「統治行為論」といって、国会での政治運営については、司法が取り扱わない慣行が確立している。

従って、憲法学者も司法関係者も、国会に関して議論することを避ける傾向があった。国会事務局・法制局という職場は、議長や委員長や議員が憲法を遵守するよう苦労して補佐するところだ。今回の「アベ安保法制」の違憲問題で、憲法学者たちがこれだけ議論を起こしてくれたことは、わが国の戦後史で画期的なことである。今後も大いに憲政・立憲問題で大いに議論して貰いたい。

この機会に憲法や政治学者などの先生方の安保法制違憲について一言感想を申し上げておきたい。昨年7月の集団的自衛権行使を容認する「解釈改憲」が、違憲であること、また、本年4月の新ガイドラインが国内法も整備されないまま日米担当閣僚で決定されたことである。憲法と日米安保条約に違反したものであることが基本問題である。それ故に、安保法制関連法案として国会に提出することが違憲であるといえる。

この議論が国会でも有識者間でもあまり行われていない。安倍政権が提出した11件の安保法制条文で違憲が疑わしい部分を質すことも大事なことだ。しかしこれだけでは安倍政権のペースに入ることで、官僚はこの部分を違憲ではないと屁理屈メモをつくっている。その点、山口繁・元最高裁長官はさすがである。

憲法が集団的自衛権行使を禁止し専守防衛に徹することで、第9条は骨肉化し規範化しており、政府の解釈で変えることはできないと断じている。また、日米安保条約を改定せずして日本の集団的自衛権行使はあり得ないことも論じている。この法理で国会議員は安倍自公政権を追及すべきだ。8月26日の「緊急集会」の小沢一郎さんを招いた「ぶっ壊せ!アベ安保法制」で指摘したことと同じ主張である。ただし、第9条の立案・制定過程での、「集団的自衛権排除」の歴史を山口氏は承知していないようだ。

(しんぶん 赤旗 日曜版も変わったものだ!)

9月8日(火)午後2時、東京文化会館四階中会議室に顔を出した。故・染谷正圀さんを偲ぶ会呼び掛け人の会議に参加するためだった。染谷さんとは、故吉岡吉典参議院議員とのご縁でずいぶんとお世話になった。特に、日本一新の会の創立期からの維持会員として、党派を超えて人間同志として親しくさせてもらっていた。辺野古新基地反対運動で活躍中に死去し、残念でならなかった。懇談中に、しんぶん赤旗日曜版編集部から「次号で7月のインタビューを記事にする。自宅にゲラのファックスを送った」との電話・・・。染谷さんは、彼の世からも私を見守ってくれているのかと思いながら帰宅した。
 
日曜版のゲラを見ると、7月21日のインタビューの内容を、9月の状況で調整していて私の主張がまったく生かされていない。「野党が安保法制の本質を追及していない。部分的な技術論と解釈論を続けていると安倍首相のペースとなる」と警告しておいたが、赤旗まで他の野党に気を遣っていた。そこでゲラに手を入れ
「野党は基本問題で追及不足だ」と返送した。間を置かず担当者から「表現を丸めたい」とのこと。共産党も変わったものだ。

(「平成の日本の政治改革の原点」は休みました)

 

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