ウクライナ戦争、ロシア側の勝利で年内にも終戦かー米側陣営、ウクライナ支援の武器・弾薬が払底・金融危機に直面

国際情勢解説者の田中宇氏が本日30日公開した論考によると、ウクライナを支援してきた米側陣営はウクライナ支援の武器・弾薬が払底しているうえ、大規模な金融危機に直面することこから、ゼレンスキー大統領が年内にも中国の示した12項目の停戦案(終戦案)に従って中国に停戦(事実上の終戦)の仲介を頼らざるを得なくなるという。中露の結束を中心とした日米側陣営の結束による事実上のロシアの勝利であり、米英領国の覇権体制の終焉と世界の多極化=統一文明=の見える形での始まりである。




ワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下のCNN(Cable News Network)グローバルが所有する米国のケーブルテレビおよび衛星放送向けのニュースチャンネルである同国のCNNの日本語版は29日午後20時11分、ウクライナのゼレンスキー大統領が中国の習近平主席のウクライナ訪問を呼びかけたことを報道している(https://www.cnn.co.jp/world/35201899.html)。

ウクライナのゼレンスキー大統領が中国の習近平(シーチンピン)国家主席を、ウクライナへ正式に招いた。AP通信が29日に報じたインタビューで語った。ゼレンスキー氏はこの中で、「私たちはここで習氏と会う用意がある。会談を希望する」と語った。「全面戦争」以前は同氏と接触があったものの、この1年以上は連絡を取っていないと述べた。習氏はロシアのプーチン大統領と近い関係にあり、ロシアがウクライナ侵攻を始めてからさらに経済的、政治的なつながりを深めてきた。


習氏が今月ロシアを公式訪問し、両首脳は幅広い連携を確認したが、ウクライナ侵攻をめぐる突破口は開けていない。ゼレンスキー氏はインタビューの中で、東部バフムートで続くロシアとの激戦にも言及。ウクライナが負ければ、プーチン氏は欧米や国内、中国、イランに勝利を売り込み、さらに攻勢を強めるだろうと危機感を示した。

ただし、中国政府からの公式な発表はない。なお、毎日新聞社のサイトは次のように報じている(https://mainichi.jp/articles/20230330/k00/00m/030/002000c)。

ロシアが侵攻するウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの戦況について、米シンクタンク「戦争研究所」は28日、ロシアが市内の約65%を制圧したとの分析を明らかにした。ロシアの民間軍事会社ワグネルが市北部の工業地帯を占領し、中心部や西部に向けて少しずつ前進しているという。

バフムトは州内の主要都市への幹線道路が交差する要衝で、半年以上にわたり激戦が続いている。ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、AP通信のインタビューで、バフムトが陥落すればロシアが「勝利」をアピールし、ウクライナに妥協を迫ってくると指摘し、徹底抗戦の必要性を強調した。

この報道記事で出てくる「シンクタンク『戦争研究所』」というのは、2014年02月14日、ウクライナの首都キエフでマイダン暴力クーデターを主導して正統なヤヌコヴィッチ政権を潰し、ウクライナに米国の傀儡政権を樹立したビクトリア・ヌーランド国務次官補(現在、プリンケン国務長官に次ぐ国務省第二の地位である国務次官)傘下の「シンクタンク」である。その後、民主党のバイデン政権が発足した2021年01月20日以降、ウクライナの米国傀儡・ゼレンスキー政権はウクライナ東部のドンバス地方に住むロシア系住民の大量虐殺を強化した。

ロシアの「特別軍事作戦」を誘引したのは、米国民主党のバイデン政権とその傀儡政権であるゼレンスキー政権だ。こうした事情から、ヌーランド国務次官傘下の「戦争研究所」は初めからロシア劣勢・敗北の情報ばかり垂れ流してきたのを、米側陣営(日本を含む)のメディアがいつも引用するものだから、米側陣営の諸国民(日本国民を含む)はウクライナ勝利・ロシア敗北を信じ込まされてきた。その「戦争研究所」でさえ、ロシアがバフムトを制圧しつつあることを報じざるを得なくなっているというのが、ウクライナ戦争の偽らざる戦況だ。米国をはじめとする米側陣営のウクライナ戦況に関する報道は常に、その妥当性を疑ってかかる必要がある。

さて、中国の習近平国家主席は今月、ロシアのモスクワを訪問してプーチン大統領と会談、改めて①各国の主権尊重②冷戦思考の排除③停戦、戦闘の終了④和平対話の始動⑤人道危機の解決⑥民間人と捕虜の保護⑦原子力発電所の安全確保⑧戦略的リスクの減少⑨食糧の国外輸送の保障⑩一方的制裁の停止⑪産業チェーン・サプライチェーンの安定確保⑫戦後復興の推進ーの12項目からなる停戦案(終戦案)を示し、プーチン大統領も真剣に考慮すると応じている。この停戦案(終戦案)は元来、ゼレンスキー大統領が受け入れることはできないものだ。何故なら、冷戦思考の排除と国連安保理の決議に基づかないロシアに対する一方的な経済制裁の停止を含んでいるからだ。

今回、ウクライナのゼレンスキー大統領が中国の習近平国家主席のウクライナ訪問を提唱したことは、CNNの報道記事、ヌーランド国務次官傘下の「戦争研究所」の指摘にもあるように、ゼレンスキー大統領がウクライナ東部・ドネツク州要衝バフムトでの敗戦を認めざるを得なくなってきているこ、そして、ウクライナ側全体の敗戦を認めざるを得なくなっていることを示すものだ。ロシア側は昨年2月の「特別軍事作戦」開始後、ウクライナの制空権を握り、維持し続けている。制空権を握れば、米側陣営諸国がウクライナに供与する軍事兵器は片っ端から破壊されるのは当たり前だ。

これについて、田中氏は本日30日公開の「ウクライナで兵器を浪費し尽くし和平を余儀なくされる米国側」(https://tanakanews.com/230330ukrain.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm)のリード文で次のように分析・解説している。

米欧から全力で軍事支援されてきたウクライナは、支援された兵器や弾薬を思い切り使い続けてしまい、米欧が兵器工場を全力で操業しても武器弾薬が底をつき、米欧自身の防衛力が低下してウクライナを軍事支援できなくなっている。ゼレンスキーは「米欧が追加で武器弾薬を送ってこない限り、戦闘を続けられないし、ロシアに勝てない。中国の和平仲裁に乗らざるを得なくなる」と言い出し、ウクライナ戦争は武器弾薬不足から停戦状態や和平に向かう道(米覇権低下と中露の台頭)が始まっている。ハンガリーやオーストリアに続いて、ブルガリアがウクライナ支援をやめて中立(隠れ親露)に転じると宣言した。欧州は内部分裂が進んでいる。独仏は国民の反政府感情が高まってゼネストが続き、欧州は政治的にも軍事的にもウクライナ戦争を続けられなくなった。フランスのマクロン大統領は間もなく中国を訪問し、習近平のウクライナ停戦案に賛成する。ブラジルはBRICS全体でウクライナ停戦和平を進めようと中国に提案している。習近平のウクライナ和平策は、意外に早く現実になっていく。まだ2年ぐらい続きそうだと思っていたウクライナ戦争が、今年中に停戦和平するかもしれない。その前にEUとNATOが機能不全に陥り、米欧金融システムとドル基軸体制=米国覇権が崩壊する。

習近平国家主席・プーチン大統領会談は、中露を中心にBRICS、サウジアラビアを明主とする中東産油国、サウジと「仲直りした」イランを含む上海協力機構、ベトナムなどASEAN諸国、これまで英米両覇権国の謀略で「発展途上国」にされ続けてきた南半球のアジア・アフリカ・中南米諸国など非米側陣営が豊富な資源・貴金属(金)・穀物などを武器に通貨資源本位制の新たな通貨システムを構築して、非米側陣営として「世界の多極化」の推進を加速させてきたことを象徴するものだ。

一方で、G7諸国を中心とする米側陣営は足並みの乱れが本格化している。繰り返しになるが、根拠を引用しているので再掲させていただきたい。

米欧は全力でウクライナを軍事支援してきたが、ウクライナは米欧から支援された兵器や弾薬を思い切り使い続けてしまい、米欧が兵器工場を全力で操業しても武器弾薬が底をつき、米欧自身の防衛力が低下して、もうウクライナを軍事支援できなくなっている。ゼレンスキーは「米欧が追加で武器弾薬を送ってこない限り、戦闘を続けられないし、ロシアに勝てない。中国の和平仲裁に乗らざるを得なくなる」と言い出し、ウクライナ戦争は武器弾薬不足から停戦状態や和平に向かう道(米覇権低下と中露の台頭)が始まっている。Zelensky Says No Counteroffensive Until the West Sends More Weapons) (Zelensky Invites China’s Xi To Visit Ukraine As US Rebuffs ‘Alternate’ Peace Plan

ハンガリーやオーストリアに続いて、ブルガリアがウクライナ支援をやめて中立(隠れ親露)に転じると宣言した。欧州は内部分裂が進んでいる。独仏は国民の反政府感情が高まってゼネストが続き、欧州は政治的にも軍事的にもウクライナ戦争を続けられなくなった。フランスのマクロン大統領は間もなく中国を訪問し、習近平のウクライナ停戦案に賛成する。ブラジルはBRICS全体でウクライナ停戦和平を進めようと中国に提案している。習近平のウクライナ和平策は、意外に早く現実になっていく。まだ2年ぐらい続きそうだと思っていたウクライナ戦争が、今年中に停戦和平するかもしれない。その前にEUとNATOが機能不全に陥り、米欧金融システムとドル基軸体制=米国覇権が崩壊する。Bulgaria Refuses To Send Weapons To Ukraine, Joins Hungary & Austria’s Neutral Stance) (France Willing To Work With China On ‘Peaceful Solution’ For Ukraine

G7諸国を中心とした米側陣営の金融危機については、最近では日刊ゲンダイが、「クレディ・スイス発行2.2兆円が突然紙クズに…激震続く世界市場「危ない債券」35兆円の行方」と題して米側陣営の全般的な金融危機の到来について言及・報道し始めた(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/320744)。

経営危機に陥ったスイス金融大手「クレディ・スイス」の救済から10日。スイス政府が巨額の公的資金を投入し、同業のUBSに買収される形で危機を脱したように見えるが、金融市場の“激震”は止まらない。救済合併に当たり、クレディ・スイスが発行した「AT1債」(注:返済順位の低い劣後債の一種、原則的に自己資本に組み入れられる)約160億スイスフラン(約2.2兆円)分が「価値ゼロ」に。突然、紙くずとなったAT1市場に警戒が強まっているのだ。(中略)

AT1債の世界の市場規模は約2750億ドル(約35兆円)に上る。クレディ・スイスの2.2兆円分の“紙切れ化”に市場は敏感に反応している。AT1債の世界全体の平均的な動きを示す指標(米インターコンチネンタル取引所)によると、3月初旬まで7~8%台だった利回りは、一時10%台に上昇した(債券価格は暴落)。加えて、償還可能日に支払いを見送る銀行も出てきており、債権者がビビるのも無理はない。

ロシアに制空権を握られては、ウクライナに軍事兵器を供与しても破壊されるだけであり、「ドブに水を捨てる」ようなものだ。しかも、ウクライナが供与された軍事兵器の「代金」を支払うのかどうか不明だ。ウクライナに支払い能力はないだろう。これに、米側陣営では今後、本格的な金融破綻が起きる。これは、QE(Quantitative Easing=量的金融緩和政策=)という形で、政府と中央銀行の持つ通貨発行権を悪用してドルを刷り続けてきた(大乱発)してきたことが本当の原因だ。

ケインズ経済学の泰斗であり、ノーベル経済学商を受賞したジェームズ・トービンがケネディ大統領に語ったところによると、インフレ率2%が通貨発行の上限だ(注:基本的にインフレ率は通貨の発行量によって決まる)。しかし現在、対露経済制裁の跳ね返りで資源価格(コモディティ価格)が上昇するコストプッシュ・インフレで、インフレ率は米国では6%、英国では10%という有様だ。日本も2%を上回る3〜4%と高い。令和五年度予算では物価対策が計上された。

QEでは中央銀行が金融機関に的を絞って各国の通貨を刷り、投下しているため、証券価格(株式価格と債券価格)の値上がり(金利は低下)という形になっているが、①資産効果②過剰流動性というインフレのマグマの蓄積ーで本格的なインフレを引き起こす可能性は常に存在している。

このため、米国の中央銀行システムは保有証券を売却して、市場からドル紙幣を引き上げるQT(Quantitative Tightening=量的金融引締め政策=)を行ってきたが、スイスのクレディスイスの事実上の金融破綻(金融当局による公的資金の供与を背景としたUBSの強制合併)で、QTの継続も難しくなっている。残された唯一の解決策は、ロシアの勝利でウクライナ戦争を終わらせる以外にない。そして、戦後世界で世界の覇権国として君臨してきた米英両国は、覇権国としてふるまうことを止めることだ。

そして、非米側陣営が構築する新たな政治・経済・金融・軍事システムに「仲間入り」するしかない。そうして、「統一文明」の形成に向けて歩むしかないことに気づかねばならない。その際、諸国民を統合する新たな宗教・思想・理念が欧米文明の中心であったキリスト教の内部から出現してこなければならない。


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