首班指名選挙で立憲枝野代表と共産志位委員長に食い違いー背景に連合の神津里季生会長の「共産党排除宣言」か

先月9月16日に開かれた国会での首班指名選挙で、日本共産党の志位委員長が第1回投票としては22年ぶりに他党党首(野党第一党の枝野代表)に投票した。これは、志位員長の説明では次期総選挙で政権交代と野党連合政権を実現するため、衆参での投票前に「枝野氏から首班指名での協力要請があった」からだ。これに対して立憲民主党の枝野代表は9月30日の記者会見で「自公政権を倒すために最大限協力をお願いした。他の野党にも同じようなお願をした」と述べ、首班指名をお願いしたわけではないとしているようだ。しかし、最大限の協力をお願いしながら「首班指名をお願いしたわけではない」というのは論理矛盾であり、ある立憲幹部は「協力を要請したが、投票はお願いしていないなんて先方に失礼だ」と批判的だ。背後には、日本労働組合総連合回(神津里季生会長)が17日の中央執行委員会で正式決定した「次期衆院選に向けた基本方針」に、「連合は共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」と明記し、旧立憲民主と旧国民民主の合流新党「立憲民主党」に対して、共産党との関係見直しを迫った(月刊FACTAhttps://facta.co.jp/article/202010040.htmlによる)ことがあると推察される。

10月23日金曜日コロナ感染状況

10月23日金曜日の新型コロナウイルスの感染者は、東京都で前週16日金曜日の184人より2人多い186人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。東京都基準の重症者人数は前日比1人減の23日。東京新聞23日付1面の図によると、各日の感染者数は3日前に行われたPCR検査数によって決まるが、22日の感染者数が確認される19日分のPCR検査件数は5936件で、前週の15日分の感染者数が確認される12日分のPCR検査数が6436件と500件ほど少なかった。感染者数だけでなくPCR検査の速報値も公開すべきだろう。全国では午後18時45分の段階で740人の感染者と12人の死亡者が確認されている。東京都のモニタリング指標https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では7日移動平均での感染者数は157.9人、PCR検査数は4006.7件だから、陽性率は3.94%。東京都独自の計算方式では3.4%。感染経路不明率は57.64%。
東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、23日のデータは24日土曜日午前07時17分現在、公開されていませんでした。

本論に入る前に、NHKが10月22日19時04分にWebサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012676401000.html)で公開した記事によると、昨日10月22日夕刻に開かれた厚生労働省の専門家会合(脇田隆字座長)が、全国的には新型コロナウイルス感染者は「横ばいから微増傾向となっている」と判断したという。入院患者も「8月下旬以降減少傾向でしたが、今月14日の時点では、全国では前の週に比べて11.5%増えて3064人、特に東京都では28.7%増えて1146人、沖縄県では36.5%増えて160人となるなど、増加傾向に転じているとしています。さらに、重症患者も全国で直近では増加が見られ、下げ止まりの状況になっているとしています」とのことだ。

その理由として、脇田隆字座長は「感染が減少しない背景の1つには、首都圏から地方に流入していることがあると考えられ、首都圏での対応が重要だ」と発言したという。やはり、10月から東京都を「Go To Travel」の対象にしたことが響いている可能性がある。全国各地での新型コロナウイルス感染者の感染経路を追跡する必要がある。

野党側は8月4日本国憲法53条に基づく臨時国会の召集を要求したものの、完全に無視された。菅義偉氏を内閣総理大臣(首相)に指名した臨時国会も3日間だけで、首相の所信表明演説もなかった。安倍晋三、菅政権が国権の最高機関である国会を無視する態度は常軌を逸している。下図は東京新聞のWebサイト(https://www.tokyo-np.co.jp/article/47053)による自公与党政権の野党による臨時国会無視の一連の経緯だ。

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那覇地裁(山口和宏裁判長)はさる6月10日、「内閣は、臨時国会の召集決定について憲法上の義務を負う。召集しないという判断はできず、召集時期に関する裁量も大きくない」との判決を下している。また、自民党の憲法改革草案には、野党側から臨時国会の要求があった場合は20日以内に召集しなければならないと臨時国会召集までの時期を追記している。まさに、日本国憲法破壊、裁判所を無視した得て勝手な対応である。野党側にはここまでなめられているのかとの自覚に乏しいように思われる。森山裕自民党国対委員長と安住淳立憲国対院長の国対政治には決別しなければならない。国対委員長会談は会談の記録を取り、公開すべきだ。

11月26日から政府主導で開かれる臨時国会は12月5日までの5日間だが、最重要法案は日本の農家に壊滅的打撃を與える「種苗法改正法案」だが、これは絶対に阻止する必要がある。併せて、厚労省の専門家会合が指摘しているように、地方での感染者数、重症者数、入院患者数拡大に対して、欧州では晩秋の今日、第一波よりも感染力の強い第ニ波が襲来していることも踏まえ、感染経路を追跡するとともに、日本では第三波になるがその襲来に対する対策も立てるべきだ。政府は今年の通常国会第二次補正予算で措置した予備費10兆円(財政民主主義に反するが)をそのために充てるべきである。今後のコロナ感染状況によっては、第三次補正予算も必要になる。

前置きが長くなったが、本論に入らせて頂きたい。朝日デジタル10月1日付の「首相選挙、枝野氏から共産へのお願いあった?なかった?」と題する記事(https://digital.asahi.com/articles/ASN9Z77DKN9ZUTFK00S.html?iref=pc_ss_date)を引用させて頂く。写真は毎日新聞社のサイト(https://mainichi.jp/senkyo/articles/20191215/k00/00m/010/219000c)より。

立憲民主党の枝野幸男代表と日本共産党の志位和夫委員長
立憲民主党の枝野幸男代表と日本共産党の志位和夫委員長

9月16日の首相指名選挙では、立憲のほかに共産、国民民主、社民、れいわ新選組の各党と、一部の無所属議員が枝野氏に投票。枝野氏は衆院で134票、参院で78票を獲得した。共産が決選投票をのぞき、他党議員に投じたのは、1998年に旧民主党の菅直人代表(当時)に投じて以来、22年ぶりだった。共産、社民、れいわ新選組(船越靖彦参院銀、木村英子参院議員)が枝野代表を首班として衆参両議院で投票したのは、新生したばかりの野党第一党である立憲民主党とその代表である枝野氏に政権交代(奪還)への期待を込めてであった。

両議院で投票に先立つ前の9月16日午前、枝野代表と志位委員長は国会で会談し、志位院長は「政権交代を実現し、連携をさらに強めていくということで、(枝野氏から)首相指名での協力の要請があった」と記者団に説明。安倍・菅政権と続いた与党自公内閣(政権)は日本国憲法を破壊し、権力の私物化を行う悪政を続けてきているので、真正野党側が野党連合政権の樹立を目指して次期総選挙で野党共闘を行うことは当然である 。そのため、「『野党連合政権』を実現するという我が党の意思表示として、枝野さんに投票すると、その場で申し上げた」と付け加えたのことだ。

日本の経済を20年間に及ぶ長期デフレに追い込んだ原因が消費税増税の強硬であるが、旧立憲執行部(枝野ー福山哲郎勘定ー安住国対委員長)が、そのことの明確な認識を表明しなかったことから野党共闘に疑問を抱いていた山本太郎代表率いるれいわも、枝野代行が時限を区切った(コロナ禍収束まで)消費税率の5%以下(実質的には凍結、ゼロ%)への引き下げも主張し始めていたことから、参院で枝野代表に投票した。結局、9月16日の首相指名選挙では、立憲のほかに共産、国民民主、社民、れいわ新選組の各党と、一部の無所属議員が枝野氏に投票。枝野氏は衆院で134票(定数465人)、参院で78票(定数248人)を獲得した。

真正野党が共闘して激戦区を中心に100小選挙区で統一候補を立てれば、確かな理念・政策・野党連合政権構想を打ち出し、全有権者の投票率(50%程度)を大幅に引き上げれば、政権奪還は到達が十分可能な距離にある。ところが、枝野氏は9月30日の記者会見で、共産に首班指名選挙の協力を求めた理由を問われると、「私は(志位氏に)自公政権を倒すために最大限連携し、協力をしていきたい、というお願いをした。他の野党にも同じように、同じような言葉でお願いしている」と答え、指名選挙で自分に投票するよう協力を求めたわけではないと述べた。しかし。首班指名の衆参両議院での投票前に、仮に枝野代表がこうした発言をしたとしても、「自公政権を倒すために最大限連携し、協力をしていきたい、というお願いをした」ということであれば、言葉巧みであったとしても当然、実質的には首班指名選挙で枝野代表自身に投票をお願いしたことになる。

自分に投票するよう求めたわけではないと述べた」という箇所は発言を示す引用記号=「」では書かれておらず、朝日新聞記者の主観が入っている。ただし、実質的にはそのごとくの発言の趣旨だろう。朝日デジタルはこれについては、立憲幹部から「協力を要請したが、投票はお願いしていないなんて先方に失礼だ」との批判があったことを伝えている。記事では、「共産は立憲に対し、共産を含めた野党連合政権の合意を求めている。これに対し、支持母体の連合などに『共産アレルギー』がある立憲としては、共産との共闘は選挙協力にとどめたいのが本音だ。首相指名で共産に大きな「借り」を作ってしまったとなるのは都合が悪いようだ」とある。

日本労働組合総連合(連合本部)Wikipediaより
日本労働組合総連合(連合本部)Wikipediaより

この「共産アレルギー」を持ち出して、野党分断を図っているのが神津里季生会長率いる連合だ。月刊FACTAのオンラインサイト「神津連合が『共産党排除』宣言! 解散・総選挙に備え『6産別』再合流の布石」(号外速報、9月18日午前07時00分公開)によると、「連合は共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」――。連合は9月17日の中央執行委員会で正式決定した「次期衆院選に向けた基本方針」に、こう明記し、旧立憲民主と旧国民民主の合流新党『立憲民主党』に対して、共産党との関係見直しを迫った」とある。「基本方針」は確認できなかったが、連合が「共産アレルギー」の震源地になっていることは連合の政策を見ても明らかだ。枝野代表も神津会長に押されているように見える。

連合は旧総評系と旧同盟系の産別労組が合体したもので、旧同盟系の「6産別労働組合(電力総連、自動車総連、電機連合、UAゼンセン、JAM(ものづくり産業別労働組合)、基幹労連)」(会員数約400万人)が連合の意思決定に主導的な役割を果たしている。6産別労組以外の労組の組合員は約300万人である。この6産別主導の連合が、日本共産党を排除して野党の分断を図ってきた。しかし、日本共産党を野党共闘の中核政党として共闘に取り組まなければ、総選挙で野党側が政権を奪還することはできない。また、後に述べるように日本共産党を野党共闘に加えても、民主主義体制・市場経済制資本主義体制が崩壊するわけでもない。むしろ、「公助と共生主義」かより強化される。

これは、自公与党政権が横暴な憲法破壊の政権運営を行ってきた理由を見れば、明らかだ。総選挙比例ブロックでの有効投票数をみると、全有権者に占める自民党の得票率は17%程度しかない。既に2000年以前から、自民党は単独では政権を掌握できなくなっている。だから、「自民党・社会党・新党さきがけ」とか「自民・自由党」で連立政権を作り、政権を掌握してきたが、自由党(小沢一郎代表)の支持層が厚くはないことと、理念・政策がことなるため、連立の相手を創価学会員という強力な支持基盤を持つ公明党に切り替え、自公連立政権を基本的に継続してきた。この公明党の全有権者に占める得票率は6〜8%程度だから、合計して全有権者の25%程度が自公政権を支持しているだけのことだ。しかし、この自公の支持者のうち、自民党の国会議員の多くが、「地盤・看板・カバン」を持った家業としての国会議員を受け継ぐ「世襲政治家(政治屋)」であるため、必ず選挙に行く。

また、公明党は創価学会という宗教組織を母胎とした事実上の宗教政党であるため、支持者は必ず投票に行く。自公併せて全有権者(選挙権が18歳に引き下げられたため1億人程度)の25%しか自公政権を指示していないが。総選挙の際の投票率を低くすれば、野党側が国民に対して説得力と実現可能な連合政権構想を提示して共闘体制を組み、「無党派層」と称される政治不信層、政治無関心層の信頼を得ない限り、総選挙では全有権者の25%の支持率しかない自公両党が必ず勝つことになり、衆参両院議院では自公勢力が民意とかけ離れた圧倒的多数の議席を獲得することになる。

これを正して民意を反映した政権を樹立するためには、公明党の支持母体である創価学会員と同規模の党員・シンパ層が存在する日本共産党を野党共闘の中核政党として取り込む必要がある。そうして、従来の対米隷属政策を廃した独立国家日本を創出するためのインパクトのある理念・政策・野党連合政府構想を国民の前に提示して、投票率を大幅に引き上げてこそ政権を奪還することができる。日本共産党を野党共闘のある意味中核に据えることについては、立憲の小沢一郎衆院議院、中村喜四郎衆院議員ら重鎮のほか、ベテラン、中堅、若手議員にも多い。

この野党共闘を陰に陽に妨げているのが、連合である。連合の主力勢力をなす6産別は旧同盟系であり、これは米国の対日工作としてCIAの支援によって設立されたと見られる民社党の支持母体である。欧州では、1959年11月、バート・ゴーデスベルク(現在ボンの一部)で開催された社会民主党大会で「階級闘争」を否定したバート・ゴーデスベルク綱領(1959年から1989年までの綱領、ドイツ再統一直前の1989年の党大会ではベルリン綱領)が採択され、同党が国民政党になり、保守党と社会民主党の二大政党制が築かれた。いずれも、政権交代による政権運営の実績がある。

ところが日本では、①欧州流の二大政党制を嫌う米国のCIAの工作で民社党が創立された②労農派の「一段階革命説(明治維新をブルジョア民主主義革命と位置づけたので、次は社会主義革命の段階とする説)」を基礎理論に持つ社会党が、理論と現実が合わなくなったので裏で自民党と取引・妥協をする「55年体制」を築いた③「自社さ」政権の形成に力を貸し、その後の野党勢力の分裂につながった④日本共産党は講座派理論を基礎とするニ段階革命論を下に、戦後日本に必要なものは「民主主義革命路線」であると主張したが、弁証法的唯物論・史的唯物論・資本論を「教義」とするレーニン・スターリン主義の影響は免れず、階級政党から国民政党への脱皮ができなかったーことなどから、欧州で樹立された国民政党としての「社会民主党」は形成されなかった。現在の社民党は、その理論的基礎がどうにも不明瞭だ。

ただし、日本共産党は「暴力革命路線」は捨て、国会を基盤にした議会制民主主義路線を採用するようになった。ただし、今年1月に採択された新綱領でも社会主義・共産主義という目標は捨てていないが、共産主義の要である「生産手段の社会化」については、それが何を意味するのか明確な説明がない。日本国憲法は第29条第1項(主条項)で「財産権は、これを侵してはならない」、第2項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める」、第3項で「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」としているから、同党の綱領で明確に提示しない限り、市場経済体制をもとにした株主資本主義制度を認めている日本国憲法とは相入れなくなってしまう。

しかし、日本共産党の綱領は改定されるにつれて、「社会民主主義」へと実質的に変貌しているように見える。日本共産党が公開している野党連合政権に臨む日本共産党の立場ー政治的相違点にどう対応するか(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-27/2020032703_01_0.html)から、野党連合政権についての日本共産党の主な主張を引用させて頂く。

主要政治的争点 日本共産党の立場 連合政権としての対応
自衛隊について 憲法9条にてらして自衛隊は違憲だと考えるとともに、憲法と自衛隊の矛盾の解決は、国民の合意で一歩一歩、段階的にすすめ、将来、国民の圧倒的多数の合意が成熟した段階=国民の圧倒的多数が自衛隊がなくても日本の平和と安全を守ることができると考えるようになる段階で、9条の完全実施に向けての本格的な措置に着手。 現在の焦眉の課題は自衛隊の存在が合憲か違憲かでなく、憲法9条のもとで自衛隊の海外派兵を許していいのかどうかにある。連合政権としては、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回、安保法制廃止にとりくみます。海外での武力行使につながる仕組みを廃止するーこれが連合政権が最優先でとりくむべき課題。
日米安保条約について 日本の政治の異常なアメリカ言いなりの根源には、日米安保条約があると考えており、国民多数の合意で、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって日米安保条約を廃棄し、対等平等の立場にもとづく日米友好条約を締結することをめざす。 安保条約については「維持・継続」する対応をとります。「維持・継続」とは、安保法制廃止を前提として、第一に、これまでの条約と法律の枠内で対応する、第二に、現状からの改悪はやらない、第三に、政権として廃棄をめざす措置はとらない。連合政権として日米関係でとりくむべき改革は、すでに野党間で合意となっている日米地位協定の改定、沖縄県・名護市の新基地建設の中止など。
天皇の制度について 憲法の前文を含め全条項を守ることを党綱領で明らかにしており、天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限条項の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正することを、中心課題として重視する。 日本国憲法の条項と精神を順守するという立場で対応する。たとえば天皇による閣僚の認証は、憲法に定められた「国事行為」の一つであり、現行通りに対応する。天皇とその制度を政治利用することを、きびしく慎む。
消費税について 基本的には廃止と見られる。 消費税を緊急に(高々)5%(以下)に減税し、富裕層や大企業への不公平税制の是正と応分の負担を求めることによって財源をまかなうという提案を行っている。消費税の減税は、新型コロナによる暮らしと経済への深刻な打撃が加わるもと、いっそう切実な課題となっている。消費税5%への減税が野党共通の政策となるよう、最大限の努力をする。

これを見る限り、日本共産党が野党共闘に加わることによって、自由と民主主義が破壊されるリスクは存在しない。神津連合がことさら日本共産党を排除しているのは、野党の分断を図るためである。これに惑わされてはいけない。立憲の枝野代表ー福山哲郎幹事長ー安住淳国対委員長ら執行部は、「消費税率は時限を区切ってゼロ%にしても総選挙の争点にはしない」、「消費税は(コロナ禍終了後には)必要だ」といった日本経済の分析に対する無知・欠如、「日米同盟を基軸とする」といったこれまでの自民党と大差のない「外交政策」めいたものを掲げたとしても、政治不信層、政治無関心層からなる「無党派層」の心の琴線に触れることはない。旧同盟系の産別労組とは手を切り、日本共産党の綱領・政策から大きなヒントを得るべきである。

ただし、日本共産党の現在の政策提言ではまだ不十分なところがある。日本経済が20年に及ぶ長期デフレ不況に陥ったのは、①消費税増税強硬を含む緊縮財政路線(プライマリー・バランス=一般歳出を税収の範囲内に抑える)②利権支出の比重の拡大③PFI(Private Finance Initiative)と称する「民営化路線(民で出来ることは民で)」ーが中心である。

その真逆の政策が必要とされている。それらを挙げると、①コロナ禍対策を踏まえた積極財政への転換と消費税減税を柱とした不公平税制の見直し②財政支出における最量的支出(利権支出につながる)の抜本的見直し③公共投資・公共サービスの充実(官でしなければならないことは官でする)⑤最低賃金の大幅引き上げ(企業は内部留保と呼ばれる決算剰余金を潤沢に蓄えている)⑥初等・中等・高等教育の無償化と奨学金徳政令の実施(超少子化を防がなければ将来の日本が危惧される。そのために、絶対的に必要な条件)ーなどになると思われる。もはや、資本論では現代経済を分析できないので、「生産手段の社会化(スターリン主義では国有化と主張、文字通り市場経済を無視しての国有企業ばかりになったため企業が成長、発展できず、ソ連経済は内部から崩壊した)」問題も含め経済政策に明るいところがないことが「共産主義」の難点であろう。



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