緊急事態宣言の解除は不可-最大の対策は安倍政権の退陣

NHKサイトに2020年4月28日22時51分時点で投稿された記事によると、「28日はこれまでに東京都で112人など、29の都道府県で合わせて282人の感染の発表がありました。亡くなった人は、徳島県で初の死者が出たほか、大阪府で4人など、全国で合わせて19人が発表されました」。東京都で3日ぶりに100人を超えた。世界保健機構(WHO)が勧告した「徹底した検査と隔離」が初動対策の根本だが、オリンピック利権を最優先させた政府=安倍内閣は、開催強行に最大の力を費やすめ、PCR検査抑制策を取り、的を外れた「集団感染対策(クラスター対策)」に固執した。逆に、自らの初動対策の誤りを認めず、確かで迅速な生活支援、事業継続・存続支援を行わないで、営業自粛・休業要請・自宅待機要請(事実上の強制)を行うなど、支離滅裂な「感染症対策」を行っている。29日の衆院予算委員会で、改正インフル特措法の改正に言及するなど「火事場泥棒」の公算も大きい。最大のコロナ対策は、政府=安倍政権の退陣以外にない。

世界保健機構(WHO)が示したように、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症に対する初動対策は「検査・検査・検査と陽性患者の隔離」である。集団免疫の獲得を期待したスウエーデン(人口は東京都内の1000万人程度だが、それでもジョンホプキンズ大学の29日午後1時32分の時点で、感染者数は東京都の4059人超を大幅に上回る1万9621人で、致死率12.0%で世界平均の7.0%に比べると非常に高い)を除く世界の各国で、WHOの勧告に従わなかった国は日本だけだ。

日本は、旧大日本帝国の陸海軍病院に前身を持ち、厚生労働省が傘下に置いた国立感染症研究所などが政府=安倍政権-厚労相・厚労省-国立感染症研究所-地方衛生研究所のラインで徹底的にPCR検査を妨害してきた。PCR検査を、➀検査相談の基準は37.5度以上の高熱が4日以上続き、強い倦怠感が続いている患者に限定した②かかりつけ医が検査が必要だと判断しても、保健所に設置した帰国・接触者センター相談室の許可がなければ検査を受けられない③検査機関を1万1000の全国医療機関うち非公開の「帰国・接触者外来」を持つ860程度の医療関係機関に絞った。このため、2月、3月の段階では1日2000人程度の患者しかPCR検査を受けられなかった。

最近では、民間の医療機関に検査を依頼するようになったため、若干増えているが1日あたり6000人から8000人を前後しているだけで、韓国の1日2万人からは程遠い。厚労省がサイトで明らかにしているPCR検査数は次の順で調べることが出来る。厚労省トップページ→新型コロナウイルス感染症について、こちらをご覧ください→国内の発生状況のページーに入り、○PCR検査に関する参考資料の中の「国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況」をマウスで右クリックすると、PDFファイルが表示される。こちらに日別、検査機関ごとに詳細な検査人数状況が記載されている。最後の部分を画面キャプチャして掲載すると下表のようになる。

厚生労働省が発表した機関別の1日あたりPCR検査の推移

※注意
検疫所とは厚労省健康局管轄で主に空港や船舶が出入国する港で人の検疫を行う機関。国立感染研究所や大学、医療機関でのPCR検査は土日祝祭日には少なくなる傾向がある。地方衛生研究所や保健所でもその傾向が見られる。最近は、民間検査会社の検査が日曜日を除いて徐々に増えている。NHKなどの電波、朝日デジタルなどのネットメディアでは、感染確認者数を「厚労省の関係者によれば」として伝えるだけで、検査を行った検査機関ごとの感染確認者を公表しない。だから、国民は一喜一憂する羽目になる。また、厚労省の検査機関ごとの検査人数の公表がこのインターネット時代、非常に遅すぎる。

3月6日から4月25日までの概数は22万6080人で1日あたりに換算すると、5383人ほどしかない。最近は国内外(米国が在日大使館を通して日本はPCR検査数が少ないから、新型コロナウイルス感染者の実態が掴めておらず、短期での対日米国人の帰国を勧告した)でのPCR検査数の少なさを批判する声が相次いだため、3月の終わりから民間検査会社に委託するようになり、こちらが最近、1日あたり2000人以上の検査を行っている。

それでも、1日あたりの検査人数は高々8000人程度であり、民間検査会社への委託を除くと6000人程度に過ぎない。人口は日本よりはるかに少ないのに、韓国のPCR検査数の1日当たり2万人程度と比べればはるかに少ない。PCR検査数を増やせば増やすほど陽性と判定される患者数は多くなるから、厚労省を中心に発表される公式統計は実態を掴めていない。WHO事務局上級顧問で英国キングスカレッジ・ロンドン教授の渋谷健司氏は、日本の新型コロナウイルス感染者は公式発表の10倍はあると推定している。

こうした状況から、29日の衆院予算委員会では与野党から安倍首相に対する非難の声が上がった。朝日デジタルが2020年4月29日7時30分に投稿した記事によると、「首相は2月29日の記者会見で『医者が必要と考える場合にはすべての患者がPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保する』と断言した。4月6日には『1日2万件』の検査能力を目標に掲げた。しかし、そうした目標には達していない」

このため、隠れ自公勢力とされる立憲民主党の枝野幸男代表ですら、「検査能力と実績の開きを挙げ、検査を受ける要件の厳しさを疑問視。『37・5度以上の熱が4日以上続く』とされる相談・受診の目安の変更を求めた。しかし、加藤勝信厚生労働相は『必ず受診をしてほしいという目安だ。柔軟に判断するように、との通知も出した』と述べるにとどめた」。加藤厚労相の通達が同省のサイトに掲載されているか調べているが今のところ不明で、検査基準は昔のままだ。

旭出市ダルによるとまた、「与党も苦言を呈した。自民党の田村憲久・元厚労相は『検査数が圧倒的に日本は少ない。何としても態勢を整えて欲しい』、公明党の斉藤鉄夫幹事長も『国民の安心感につながるPCR検査態勢の拡大が必要だ』と求めた」という。鳴り物入りで地方自治体と地方医師会の協力で設置が決まったPCRセンターの状況も、その後ほとんど皆無だ。

PCR等検査と抗体検査、CT検査の大規模実施によって、膨大な情報を得られるほか、検査で陽性と判定された患者や、陰性と判定されても抗体検査やCT検査で疑わしい患者は症状に応じて適切な医療施設に隔離できる。基本を怠ってきた政府=安倍政権は、WHOに逆らってきたことやたらい回しにされてきた国民、その結果、新型コロナウイルスへの感染が分からないまま、自宅や路傍で不審死を遂げざるを得なかった故人に対して、謝罪と追悼すべきだ。そのうえで、実際の検査数増加に向けて取り組むということが、人道的にあるべき姿であり、政治責任者がまず行うことだ。

ただし、政府=安倍政権にその意思は見られない。むしろ、「非常事態宣言」の発出を利用して、自らの政治責任を国民に対する「休業要請・自宅待機要請(事実上の強制)」に責任転嫁している。そのうえで、29日の衆院予算委員会で私権を制限する改正インフル特措法の再改正を表明している。これは、小池百合子東京都知事率いる東京都も同じだ。オリンピック利権の獲得を最優先して、政府=安倍政権と東京都、東京オリンピック組織委員会は同じ過ちを繰り返してきた。東京オリンピックの来年夏への延期が正式に決定して以降、東京都を中心に大都市圏での感染確認者が急増してきた。これも、怪しむに足りる状況だ。

国内にどれだけの新型コロナウイルス感染患者が存在するのか実態が不明だから、5月6日までとされる緊急事態宣言の取り下げは不可能だ。安倍首相はまた、国民に対する約束を破り、騙したことになる。そして、改正インフル特措法の再「改正」をあらわにする。「5月6日」と言明したのは、それが、狙いだったのだろう。しかし、新型コロナウイルス感染症専門家会議が政府=安倍政権に勧告してきた「集団感染(クラスター)」対策は、➀感染経路の追えない市中感染が急増していること②医療機関の院内感染、高齢者養護施設の施設内感染、家族のひとりが感染したことによる家庭内感染が「集団感染」の根本であることを隠し続けていること③厳しいPCR検査抑制方針が路上死や屋内での不審死をもたらしていること-などから、完全に破綻している。

この対策を抜本的に変えない限り、非常事態宣言を続ければ、日本国民や日本の経済社会はいずれ、大きな災難に見舞われることになる。朝日デジタルは2020年4月28日22時30分に投稿した「日常再開のロードマップ、まだ4分の1 日本の現在地は」と題する投稿記事で、制限の解除にはリスクが伴うとし、米疾病対策センター(CDC)元所長のトーマス・フリーデン氏が「外出制限は戦略的退却であって、ウイルスと闘うことではない。外に出て経済活動を再開させるには、ウイルスを箱に閉じ込める必要がある」と指摘したうえで、同氏の提言として、➀新たな感染者を察知できる検査の拡充②感染者の徹底隔離③感染者との接触者を探し出す人員の確保▽接触者を14日間検疫する態勢の確立-を指摘した。

そのうえで、フリーデン氏の警告として、「一つでも欠ければ、ウイルスは逃げだし、また爆発的に広まる。増加傾向が見られたらすぐに『蛇口』を閉め、直ちに外出制限を再開することになる」となるとの発言を記述している。朝日デジタルによると、非常事態宣言発出から終息に向かう経路は次のような段階になる。

しかし、朝日デジタルの記事では世界中の新型コロナウイルス(変異ウイルス含む)に対する自粛・隔離の結果として、世界各国の生産が縮小、サプライチェーンの破壊も発生して、日本を含む世界経済、日本経済が大恐慌入りする重大な恐れついては、言及がない。朝日新聞社が財務省のコントロールで、「日本財政危機説」に頑なに固執しているからだ。最も懸念されるのは、食糧自給率が極端に低い食糧・食料危機だ。れいわ新選組の山本太郎代表が、➀真水で100兆円の財政出動②消費税率のゼロ%への引き下げ-などを主張するのもこのためだ。とくに、消費税の強行増税のためにコロナ禍がなかった昨年の第4・四半期の実質成長率が年率換算でマイナス7.1%だったこと、また安倍首相が「リーマン・ショック級の事態が生じない限り、消費税増税は行う」と再々発言していたことを踏まえれば、取り敢えず税率ゼロ%に引き下げるべきだ。

立憲や国民など野党と称する政党が、消費税率の引き下げに何ら言及しないのをみても、両党がやはり利権極大化の新自由(放任)主義を「基礎理念」とする自公補完勢力に過ぎないことを示している。

4月29日の週議員予算委員会で改正インフル特措法の改正に言及する安倍首相

新自由(放任)主義の日本版に過ぎないアベノミクスの失敗・破綻は、正常な感覚の持ち主である国民なら、識者だけでなく誰の目に見ても明らかだ。今の政府=安倍政権では、オリンピック利権など各種「利権の獲得が第一」の新自由(放任)主義に固執している。これは、作戦の誤りを認めることが出来なかった、太平洋戦争中の無謀なインパール作戦の現代版を推進しているに過ぎない。現在の大国難を乗り切る最善・最良の方法は、政府=安倍政権には退いてもらい、「検査利権獲得が第一」の専門家会議の総入れ替えを行うことである。

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