欧州各国、冬入り間近にコロナ第二波襲来ーWHO「追加措置要請」、日本も油断大敵

欧州各国で冬入り間近にコロナ第二波が襲来、世界保健機構(WHO)が追加措置を要請した。日本では東京都が今週、前週よりも総じて新規感染者が低く、警戒が緩みがちだが、菅義偉政権が観光客を除いて全世界からの入国を許可したこともあり、11月の晩秋以降に備えて対策が必要だ。基本的には「ウィズ・コロナ(With Corona)」では感染再拡大と経済活動引き締め・経済悪化の悪循環を繰り返すだけであり、「ウィザウト・コロナ(Without corona)」感染震源地(エピセンター)を特定して、地域(区市町村)により大規模PCR検査体制、PCR検査と抗体検査の併用など地域ごとの対策を取るべきだ。

10月22日の新型コロナ感染状況

10月22日木曜日の新型コロナ官状況は、東京では前出15日木曜日の15日の284人より99人減症の185人だった。木曜日の200人以下は9月24日の194人以来。東京都基準の重症者は前日比変わらずの24人。全国では午後23時59分の段階で617人の感染者と11人の死亡が確認された。東京都のモニタリングhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/指標では7日移動平均での感染者数は157.6人、PCR検査数は4064.9件だから、陽性率は3.88%。東京都独自の計算方式では3.5%。感染経路不明率は57.68%。東京では完成経路不明率だけが前日比上昇しているが、全国レベルでは感染者数の増加と死亡者の増加が気になるところだ。22日の夕刻開かれた厚生労働省の専門家会議(脇田隆字座長)では、全国的に「全国的にはほぼ横ばいから微増となり、入院患者は増加に転じている」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012676401000.html)と捉えている。
10月から東京都を「Go To Travel」の適用対象にしたことが影響している可能性がある。
東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、10月21日時点の実効再生産数は東京都が前日比0.04人減少の0.96人、全国が同0.01人増加の1.03人だった。

NHKのWebサイトが10月16日午前7時08分に報道した「WHO 欧州のコロナ再拡大を懸念『今こそ追加の規制措置を』」と題する報道によると、WHOヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は15日(現地時間、日本時間16日)の記者会見で、「ヨーロッパでの感染状況の悪化を非常に懸念している。日々確認される感染者の数も入院する人の数も増えている」としたうえで「今こそ追加の規制措置を講じるときだ」と述べたという。

日経新聞社がサイトで10月20日に公開・報道した「欧州感染者、第1波の3倍 移動緩和で再拡大、景気に二番底懸念」(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65180720Z11C20A0MM8000/)と題する記事によると、「新型コロナウイルスの感染者数の拡大が過去最悪のペースになっている。直近で新規感染者数が過去最多を更新した国・地域は49カ国に達した。欧州連合(EU)と英国の新規感染者合計は今春の「第1波」の3倍を超え、景気が二番底を迎える懸念も出てきた」という。

NHKのWebサイトが10月23日午前4時49分に公開した「新型コロナ ヨーロッパ各国 今春上回る水準で“再拡大”」の公開・投稿記事(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012674981000.html?utm_int=news_contents_news-main_002)では最近の欧州の状況を各国ごとにまとめているので、引用させて頂きたい。

国名 新型コロナウイルス感染第二波の状況
ドイツ 1日当たりの感染者数が7000人を超える日が相次いでいるドイツでは、21日、感染対策を担うシュパーン保健相が検査で陽性だったことが明らかになりました。かぜのような症状があり、自宅で療養しているという。
英国 イギリスでは21日、1日当たりの感染者数が2万6000人を超えて過去最多を更新した。首都ロンドンがあるイングランドでは、今月14日から地域の感染状況に応じた規制が導入されていて、パブやバーの営業を事実上禁止するといった最も厳しい規制が課される地域が増えている。
フランス フランスでは、1日当たりの感染者数が3万人を超える日が出たほか、重症化する人も増え、医療機関への負担が増しているとして、今月17日から首都パリなど9つの地域で夜間の外出禁止に踏み切った。
スペイン 21日、ヨーロッパで初めて感染者が100万人を超えたスペインでは、首都マドリードや北東部サラゴサなど感染状況が深刻な50余りの自治体で、通勤などを除いて自治体をまたぐ移動が禁止されている。また、バルセロナのある北東部カタルーニャ州では、レストランやバーの営業を原則として禁止している。
チェコスロバキア この2週間の10万人当たりの新規感染者数がヨーロッパで最も多いチェコは、政府が22日から2週間近くにわたって、食料品店や薬局などを除くほとんどの商店を閉鎖するとともに、通勤や買い物、それに散歩以外の外出を制限する措置を発表している。

これらを踏まえて、https://www.worldometers.info/coronavirus/からこれまでの欧米主要国と中国、韓国、日本のコロナ感染者の死亡率とPCR検査人数を以下にまとめてみた。日本時間で10月22日午前08時11分のものだが、第一波(日本では第一波と第二波)、第二波の統計が合計されているので、第二波の感染力、毒性の強さははっきりしない。全世界の感染者は4143万3946人で、死亡者は113万5103人だから、感染した患者の死亡率は2.74%。インフルエンザの死亡率は0.01%だから、その30倍近くある。以下、各国ごとに死亡率とPCR検査人数をまとめてみる。ワクチンの開発が妙に急がれているが、広範な人々に対して有効な抗体(中和抗体)が産生されて、かつ、ヒトの健康に安全であるかを調べる第三相の大規模な治験までは事実上、行われていない。各種の報道によると、ワクチン開発を断念した製薬会社も出てきた。

国名 死亡率 PCR検査人数(人口100万人当たり)
米国 2.65% 38万7739人
ドイツ 2.54% 22万9849人
英国 5.60% 44万3973人
フランス 3.56% 33万1545人
イタリア 8.19% 23万1028人
スペイン 3.28% 38万7739人
中国 5.41% 11万1163人
韓国 1.77% 4万8817人
日本 1.79% 1万1163人

この表からすると、欧州ではドイツを除いて死亡率は世界平均を上回っている。しかし、ドイツも米国も世界平均に接している。中国の死亡率は世界平均の2倍に達しているが、人口からすれば、新型コロナ感染者は圧倒的に少ない。これは、感染者が出た地域では即座に広範なPCR検査を行い、保護・隔離を行っているからだ。10月19日発表された7-9月の国内総生産(GDP)は、エコノミスト予想中央値の前年同期比5.5%増よりは低かったものの結果は、同4.9%増加となり、4-6月(第2四半期)の3.2%増加と同じくプラス成長だった。死亡率は第一波初期の段階のものが反映されている。今後、新たな感染者が出たとしても、すぐに広範なPCR検査を行うとともに、全世界で確立が試みられている対症療法も導入されるだろう。



なお、日本のPCR検査人数はやはり少なく、世界各国の中で150位前後の不名誉な状況にある。日本の場合は、遺伝子工学に詳しい東大先端科学技術センターの児玉龍彦教授らにより、欧米の新型コロナウイルスが首都圏型コロナウイルスに変異して、全国に感染拡大したと見られているが、首都圏型の新型コロナウイルスの感染力、毒性についてはまだ情報を持ち合わせていない。ただし、東洋経済ONLINEの全国の感染者(7日間移動平均)が上昇気味であることと、1人の感染者が何人の人に感染させるかを示す実効再生産数が1を超えており、9月までの1.0以下にはまだなっていない。東京都の動向が鍵だが、最新情報で実効再生産数が1.0に低下したものの、同じような状況である。

また、菅政権が来夏のオリンピック開催の強硬路線を規定事実として、観光客は除くが10月から欧州諸国を含む全世界からの受け入れを認めていることからすれば、油断は許されない。

下図の国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し(Economic Outlook)」から見て、取りあえずは中国はコロナ禍から脱出し、経済成長を続ける見通しである。なお、IMFでは欧州などでの新型コロナ第二波の襲来が経済に與える影響については考慮に入れていない。これに対して欧米諸国はコロナ危機から脱出できるか、第二波の襲来は前提にしていないため、見通しが定かでない。特に、米国ではトランプ大統領自身がコロナに感染し、「回復した」と宣言して11月3日の大統領選に向け最後の追い込みをしているが、状況は芳しくない。なお、トランプ大統領のメラニア夫人は容態が優れないと報道されている。ただし、民主党のバイデン陣営からコロナ対策の不備を追及されながらも、米国には白人を中心とした40%程度のトランプ支持層が存在すると見られており、人種差別問題も含めて、同国は現代版南北戦争に突入しているかに見える。

どうみてても、日欧米の成長率は芳しくない。明らかに米国が世界最強の経済・軍事大国として君臨してきた世界情勢の地殻変動が起きつつある。こういう状況の中で、菅首相は臨時国会をずっと後回しにし、ベトナムを訪問した。ニュースサイトのリテラ(https://lite-ra.com/2020/10/post-5678.html)から「おまけに『ASEAN(アセアン)』と言うべきところを「アルゼンチン」と言い間違える始末」と酷評されているが、ベトナム訪問の目的は米国の対中包囲網の一環だ(デモクラシータイムスが放映している「山田厚の週中ニュース」https://www.youtube.com/watch?v=_VclRoF4QrE&t=1810sもご覧下さい)。

既に、世界情勢は地殻変動期に入っているのだから、従来の対米隷属外交だけでは中国から返り値を浴びるだけだ。もちろん、習近平政権の反体制派弾圧、香港人権抑圧問題は決して見過ごす訳には行かないが、言わなければならないことは言いながらも、健全な日中関係を目指していかなければならない。中国との経済関係が極めて深いASEAN諸国も9月11日の外相会談で、南シナ海の現状に触れた上で、「(米中ASEAN諸国の)争いを複雑化、悪化させたり平和と安定に影響を与えたりするおそれのある行動は自制をきかせる必要があることを再確認した」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200911/k10012612161000.html)との声明を発表している。

日本も「複眼的外交」が要求される。行きつくところは、東アジア共同体研究所の鳩山由紀夫理事長が追求している「東アジア共同体」だろうし、時代の転換期には外交政策も含め新たな国策が求められる。コロナ禍の現状では、その必要性は一層高まっている。政党ではれいわ新選組が日米地位協定の改定に取り組むことからは始め、「真の独立国家を目指する」ことを政策公約に掲げている(https://reiwa-shinsengumi.com/policy/)。これは、真の保守政党の性格を持つ政策公約である。また、日本共産党は北東アジアに対話による紛争解決のルールを広げる「北東アジア平和協力構想」を提唱している(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-07-04/2019070404_03_0.html)。ただし、サイト管理者(筆者)はこれまでもたびたび主張してきたように弁証法的唯物論・史的唯物論・資本論というスターリン主義的共産主義思想を克服し、「生産手段の社会化」とは何かということを、国民の前に提示する必要があると考える。