アベクロノミクスの経緯(その18)―米議会、日本の円安誘導を許さず

産経新聞社が珍しく、環太平洋連携協定(TPP)に対する警戒記事をサイトに掲載している。通商政策に権限のある米国の議会が「日本の円安誘導政策(近隣窮乏化政策)」は決して容認しないとの姿勢を明らかにした記事だ。参考になるので、ご覧いただきたい。

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TPP交渉 米、日本に警戒モード USTR次期代表「妥協しない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130608-00000112-san-bus_all
産経新聞 6月8日(土)7時55分配信

【ワシントン=柿内公輔】日本が7月から交渉参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、米通商代表部(USTR)次期代表に指名されたフロマン大統領副補佐官は6日の議会証言で、「市場開放に努める」と述べ、高い水準の貿易自由化に向け妥協しない方針を表明した。米国内では、超党派議員団や自動車業界が「日本たたき」とみられる動きを活発化させるなど、警戒感が高まっている。

6日の上院財政委員会の公聴会では、自動車や保険などで日本市場が閉鎖的だと批判する議員が相次いだ。フロマン氏は「はっきりさせておくが、粗悪な協定を結ぶより合意しない方がましだ」と決意をにじませた。

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フロマン氏はオバマ氏の学友で側近中の側近。通商政策に明るく、国際経済担当の副補佐官としてすでにTPPなどの通商交渉に関与し、各国から「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉人)」と恐れられる。2月の日米首脳会談でも、コメなど重要農産品の関税撤廃の例外を求めている日本の戦略について、「全品目を交渉のテーブルに乗せるべきだ」と強硬に主張した。

米国内には、日本が大規模な金融緩和で円安に誘導し、輸出攻勢をかけることへの警戒感が強い。約230人にも上る超党派の下院議員団は6日、オバマ大統領に書簡を送り、TPP協定に為替操作に対する制裁措置を盛り込むよう要請した。書簡は日本を名指しこそしていないものの、自動車業界が集積するミシガン州選出のディンジェル議員(民主)は「日本は輸出を増やすため円安誘導を行ってきた歴史がある」とし、そうした慣行は容認できないと強く牽制(けんせい)した。

米自動車大手で構成される自動車政策会議(AAPC)も声明を発表し、「TPPに為替に関するルールを設けるべきだ」と訴えた。

米議会は、日本のTPP交渉参加に向けた協議を7月下旬まで行う。議会が日本の参加を阻むことはできないが、何らかの意見表明などを行う可能性があり、今後のTPP交渉や日米間の協議に影響を与える可能性も指摘される。

一方、公聴会では為替操作についても議論になり、フロマン氏は財務省の所管として直接的な言及は避けたものの、「為替は重要な問題だ」として注視する姿勢を示した。

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世界経済の諸悪の根源である米国の財政・経常・対外純債権(赤字なので対外純債務)の三つ子の赤字問題の解決には、ドル高は百害有って一利なし。世界最大の軍事大国が、世界最大の借金国という歴史開闢依頼の矛盾を直視する必要がある。

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