米労働省が5日発表した6月の非農業部門就労者数(季節調整済み)は前月比19万5000人増加したことから、日本のメディアは米雇用市場の強い改善を示していると強調しているが、米WSJの日本語版は「求職者と、フルタイム労働を希望するパートタイム労働者を合わせた広義の失業率は14.3%と、前月の13.8%から上昇した」と指摘し、雇用情勢が相変わらず厳しいことを伝えており、注目される。米国の金利上昇観測から為替市場では円安、これを受けて平均株価は目先、上昇基調に転じている(アベクロノミクスによるものではない)が、世界の金融・資本市場ともに波乱含みの様相が続いていることに変わりはない。

以下、ウォールストリート日本語版の雇用統計の記事である。

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【ワシントン】米労働省が5日発表した6月の非農業部門就労者数(季節調整済み)は前月比19万5000人増加し、雇用市場の強い改善を示した。さらに4月と5月の非農業部門就労者数も合計で7万人上方修正され、雇用の伸びが加速していることを裏付けた。失業率は7.6%で前月と変わらなかった。

ダウ・ジョーンズ経済通信がまとめたエコノミスト予想は、非農業部門就労者数が16万人増、失業率が7.5%だったが、就労者数はこの予想を上回った。

5月は当初発表の17万5000人から19万5000人へと、4月は14万9000人から19万9000人にそれぞれ修正された。労働省によると、非農業部門就労者数は過去1年間に月平均18万2000人のペースで増加している。

6月は民間雇用が20万2000人増。レジャー・接客、専門職・企業向けサービス、小売り、医療、金融などで増加が目立った。とりわけ接客業は今年に入り、月平均の雇用の伸びが前年のほぼ倍に達しているという。政府の大幅歳出削減による影響は軽微で、公的部門の雇用は7000人減となった。連邦政府の雇用減が大きかった。一方、製造業の雇用は6000人減。米サプライ管理協会(ISM)が先週、製造業の拡大は6月に減速したと報告したとおりとなった。

ここ数カ月間の雇用の伸びにもかかわらず、求職者数は1180万人に上った。求職者と、フルタイム労働を希望するパートタイム労働者を合わせた広義の失業率は14.3%と、前月の13.8%から上昇した。

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本サイトで繰り返し指摘しているように、「連邦政府の巨額の財政赤字、大幅な経常赤字、世界最大の対外純債務」という三つ子の赤字を抱える米国の経済情勢からして、ドル高・内需拡大という方向の経済政策は、この矛盾をますます激化させる方向に作用する。 

 

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