「ウクライナ・オン・ファイアー」の視聴に関してーIMF理事の証言追加とウクライナの生物兵器研究所(マイダン革命詳細追加)

現在の「ロシア軍によるウクライナ侵攻」=ウクライナ事変の深層・真相を理解する上でオリバー・ストーン監督のドキュメンタリー映画「ウクライナ・オン・ファイアー」視聴は必須ですが、削除されまくっているため、本サイトで「ウクライナ・オン・ファイアー」を視聴いただけるようにしましたが、映画の補足説明のため当時のIMF日本代表理事のマイダン暴力革命についての考察を追加しておきます。

オリバー・ストーン監督の「ウクライナ・オン・ファイアー」について

オリバー・ストーン監督の「ウクライナ・オン・ファイアー」は1時間32分のドキュメンタリー映画だが、次のような歴史的事実を明らかにしている。

  1. 反ソ連を掲げる反ウクライナ政府勢力のウクライナ民族主義者組織(ウクライナ語: Організація українських націоналістів、英語: Organization of Ukrainian Nationalists、OUN )が1929年1月28日に結成された後、OUNはステパン・バンデラの思想のもとに反独・反ソ連の活動を展開するようになるが、パンデラはドイツによって逮捕された。その後、独ソ連不可侵条約が締結され、東欧諸国が両国によって分割されるようになると、OUNの後継組織は次第に親ナチス・反ソ連の傾向を帯びるようになる。独ソ不可侵条約がナチスのヒトラーによって一方的に破棄されると、親ナチス・反ユダヤ・反ソ連の傾向を強め、ウクライナのユダヤ人やソ連人の大量虐殺を行うようになる。
  2. ナチスは1945年5月に米国を盟主とする連合国側に敗北したが、OUNの後継組織は第二次世界大戦狩猟後も極右民族主義=ネオ・ナチ主義の組織としてウクライナに根付くようになる。米国の中央情報局(CIA)はこのネオ・ナチ組織がウクライナに根付く過程を追っていたが、特に処罰は行わず、むしろ1991年の冷戦終了後に、米国はゴルバチョフ大統領・シェワルナゼ外相との約束を破って北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大にネオ・ナチ組織を利用するようになる。
  3. NATOの東方拡大の最後の対象になったのがウクライナだ。2004年11月の大統領選挙の際に決選投票でヤヌコーヴィッチ氏と親米派のユシチェンコ氏の一騎打ちになるが、ヤヌコーヴィッチ氏が大統領選挙で勝利すると、ウクライナのネオ・ナチ勢力が指導する反ロシア・新欧米派勢力が「不正選挙」として大抗議活動を展開するようになる。このため、12月に再選挙が行われるた。しかし、同年9月にユシチェンコ氏が突然重病にかかり、美男子として鳴らしていた顔が痘痕だらけになるという事件が起こっていたことがあって、ユシチェンコ氏側がヤヌコーヴィッチ陣営側の謀略だと喧伝したこともあり同情票が集まったため、12月26日に実施された再選挙では、ユシチェンコ氏が52.12%、ヤヌコーヴィチ氏が44.09%を得票し、ユシチェンコ氏が大統領に当選した(「オレンジ革命」)。しかし、この事件の深層・真相は解明されていない。ユシチェンコ氏の妻が米国務省の職員であったことなどからすると、米国謀略説が根強く噂されている。
  4. しかし、ユシチェンコ大統領はウクライナの政治・経済システムの改革に失敗したため、2010年ウクライナ大統領選挙では、第1回目の投票でヤヌコーヴィチ氏、ティモシェンコ氏らに差をつけられて5位に終わり、決選投票にも残れず敗北、ヤヌコーヴィッチ氏が合法的に大統領に当選した。
  5. ヤヌコーヴィッチ大統領は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)と交渉してウクライナの経済を再建することを模索していた。交渉は難航を極めたが取り敢えず4月21日、EUとの合意にこぎ着けた。その内容は、①2015年に予定されていた大統領選挙を2014年12月に前倒しして行う②2014年憲法に復帰し、大統領制から議院内閣制に変更するために憲法改正を行う③天然ガスの不整利権問題で収監されていた親米派のティモシェンコ前首相(「ガスの女王」)を釈放する④マイダン広場での政府抗議デモで、警官側も反対デモ側も暴力行為を禁止するーことなどだ。
  6. ところが、当時のビクトリア・ヌーランド国務次官補が、ヤヌコビッチ政権が存続した場合はウクライナに親米傀儡政権を樹立することができなくなることから、この合意に反発して「fuck the EU(EUの馬鹿野郎)」と罵り、翌日の22日、同次官補が反ロシア派・親米派のネオ・ナチ勢力を使って警察官やデモ隊に発泡させ、ヤヌコビッチ政権側が反政府デモ隊を武力攻撃させたように見せかけた(米国ディープ・ステートがよく使う「偽旗作戦」)。このため、当初は平和的に抗議活動を行っていた反政府デモ隊を暴徒化させることになってしまい、ヤヌコビッチ政権の政府組織は暴力で乗っ取られた。そして、ウクライナ憲法に違反する形で非合法的にヤヌコーヴィッチ大統領を解任・除去してしまった。同大統領は暗殺計画を察知し、ロシアに亡命した。これが「マイダン暴力革命」である。そして、暫定親米ウクライナ政権の大統領、閣僚らはヌーランド国務次官補らが決めた。ウクライナに根付いているネオ・ナチ勢力を利用して「マイダン暴力革命」を直接指導したのはネオコンのビクトリア・ヌーランド国務次官補だが、ウクライナに対する内政干渉の最終的な責任者は反ロシア政策を採ったオバマ大統領二期目のバイデン副大統領だ(いずれも当時。現在はそれぞれ米国の大統領、国務次官)である。
  7. このマイダン暴力革命に反発して、ロシア系住民の多いクリミア半島地方は「住民投票」でロシアに帰属したが、親米ウクライナ政権は同様にロシア系住民の多い東部ドンバス地方を武力攻撃、多数のロシア系住民を殺戮。これに反発したロシア系住民が武装組織を結成、親米ウクライナ政権との戦闘を開始して、内戦状態になった。

以上が、「ウクライナ・オン・ファイアー」の大筋で、ロシアのプーチン大統領があえてウクライナ事変=ウクライナ侵攻を起こした直接の理由は、①ウクライナのNATO加盟阻止(中立化)②ウクライナに根付き、ゼレンスキー大統領の権力基盤になっているネオ・ナチ勢力の一掃③ウクライナのロシア系国民の安全確保のための協定の締結(ゼレンスキー氏は東部ドンバス地方でのネオ・ナチ勢力によるロシア系住民の大量殺戮に端を発した紛争を解決するためのミンスク合意の履行を約束して大統領に当選したが、当選後は約束を保護にした)ーだ。

【追記Ⅰ】東部ドンバス地方でのロシア系ウクライナ住民の大量殺戮については、次のサイト:https://www.kazan-glocal.com/official-blog/2014/11/24/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%81%8C%E9%BB%99%E6%AE%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%9D%B1%E9%83%A8%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%99%90/:に詳しい。ただ、改行コードが入っていないので非常に読みづらい。一部、引用させていただきます。

(前略)こうしたウクライナにおける「民族浄化作戦」、つまりロシア系住民根絶(民族浄化)作戦の陰には、ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)の一人といわれる人物がいる。アルセニー・ヤツェニク首相に任命されたドニエプロペトロフスク知事イゴール・コロモイスキー氏だ。イスラエルとウクライナ両国の市民権(キプロスのパスポートも所有しているとか)をもち、ジュネーブを生活の拠点にし、推定資産28億ドルで、ウクライナの4番目の富豪といわれている人物である。(中略)

一方、リア・ノーボスチ通信が10月2日ワシントン電で伝えたところでは、米国務省のジェン・サキ報道官は10月1日のプレス・ブリーフィングで、ウクライナ東部で発見された大量の墓地の調査を米国は完全に支持する」と言明したという。しかし、その後は米国やウクライナ当局の目立った動きは伝えられていない(中略)。

ドネツク人民共和国副首相アンドレイ・プルギン氏は9月22日、ウクライナ東部での死者数について、4000人以上と、国連の示した数字を上回る数を挙げていた。ドイツによるホローストを思い出させるウクライナ東部でのジェノサイド事件は、7月のマレーシア航空機撃墜事件(注:「ウクライナ・オン・ファイアー」でも紹介されている)と同様、うやむやのうちに闇に葬られ去る気配が濃厚である。

【追記Ⅱ】本サイトの動画は動画配信サーバーで配信しているものではありません。サーバーに負荷がかかると、視聴できなくなる可能性もあります。現在(2022年4月4日時点)はYoutubeで視聴できるhttps://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=6ArsqiXSoWA)ので、Youtubeでのご視聴をおすすめします。

【追記Ⅲ】当時のIMF(国際通貨基金)日本代表理事とは、国際情勢解説で日本の第一人者とも言える植草一秀氏(参考:メールマガジン第3190号「2014年ウ政変の重大エビデンス」)とも親交のある小手川大助氏で、同氏は財務省退職後、長期にわたりキャノン・グローバル戦略研究所研究主幹を務められた。その小手川氏が、マイダン暴力革命について詳細な分析をされておられる(https://cigs.canon/article/20140320_2453.html)。一部を紹介させていただきたい。

  1. 第1は盗聴されて3月5日にユーチューブにリークされたキャサリン・アシュトンEU外務大臣とウルマス・パエト エストニア外務大臣の電話でのやりとりである(これは2014年3月17日現在視聴可能である)。この会話はエストニアの外務大臣がキエフ訪問から帰還した2月26日に行われたものであるが、エストニア外務大臣は22日の射撃について、市民と警官を狙撃したのはヤヌコーヴィチ政権の関係者ではなく、反対運動の側(注:具体的にはウクライナに巣食うネオ・ナチ勢力)が挑発行動として起こしたものであるということをアシュトン大臣に告げている。パエト大臣は全ての証拠がこれを証明しており、特にキエフの女性の医師は大臣に対し、狙撃に使われた弾丸が同じタイプのものであるということを写真で示したということである。大臣は新政権が、何が本当に起こったのかということについて調査をしようとしていないことは極めて問題であるとしている(エストニア外務省は、本件の漏洩された会話が正確なものであることを確認している)。
  2. 第2は盗聴され、2月6日(木)にユーチューブに掲載された(これは2014年3月17日現在視聴可能である)ヴィクトリア・ヌーランド米国国務省欧州及びユーラシア担当局長(国務次官補)とジェフリー・ピアット駐ウクライナ米国大使の1月28日の電話連絡である。我が国マスコミでは、局長がEUの煮え切れない態度に憤慨して、「Fuck the EU」という表現を使ったことが報道された。しかしもっと重要なことは、二人の会話の内容である。この中で、局長は反対勢力の中のリーダーシップに触れて、元ボクシング世界ヘビー級チャンピオンのクリチコ氏やスボボダ(「自由」を意味する名前の極右政党=注:ネオ・ナチ政党=)の党首チャフヌーボック氏は問題があるので、(ティモシェンコ=注:ヤヌコーヴィッチ大統領候補を追い落とし、親米派のユシチェンコ同候補を支持して大統領にした2004年の「オレンジ革命」の立役者の一人で、「オレンジ革命のジャンヌ・ダルク」と呼ばれる=に近い)ヤチェヌーク氏(注:マイダン暴力革命の後、首相に就任)にスポットが当たるようにした方がいい、クリチコ氏は政府部内に入らない方がいいといった意見を大使に対して述べている。

つまり、小手川氏の証言によってもマイダン暴力革命が、ウクライナの米国大使館を根城にしてビクトリア・ヌーランド国務次官補らがウクライナに巣食うネオ・ナチ勢力を利用してウクライナ憲法を無視して行った不当な内政干渉であることが分かる。国連憲章の二大理念は、①内政不干渉②紛争解決に軍事力を行使しないことーだ。その意味で、北大西洋条約機構(NATO)を東方に拡大し、内政干渉を行って現在のゼレンスキー政権を含むウクライナ政権を傀儡政権にしてきた米国ディープ・ステート(闇の帝国:軍産複合体と弱肉強食の新自由主義を信奉する米系多国籍企業)の罪は重い。

ロシアとウクライナとの停戦交渉でのウクライナ側の最終判断者は俳優上がりのゼレンスキー大統領ではなく、その背後にいる米国(バイデン政権)だとの見方が根強くある。バイデン大統領が訪問したポーランドの米国大使館が、ゼレンスキー大統領を指図している(黒幕)との信頼できる情報がある。

 

なお、Google検索エンジンで「ウクライナ・オン・ファイアー」を検索すると、「ウィンター・オン・ファイアー」がヒットしてしまいます。これは、Googleが特殊な検索アルゴリズムを使っていることによると思われます。「ウィンター・オン・ファイアー」は、ディープステート(DS)側のプロパガンダです。

ビクトリア・ヌーランド、ウクライナでの生物・化学兵器研究所の設立認める

「中国網日本語版(チャイナネット)」は2022年3月13日に次のように報じている(http://m.china.org.cn/orgdoc/doc_1_76803_2189397.html)。

米国で8日に開かれた国会上院の公聴会で、ビクトリア・ヌーランド国務次官はウクライナが化学兵器または生物兵器を保有しているかを尋ねられ、「ウクライナに生物研究施設がある」と答えた。ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は8日に声明を出し、ウクライナの生物実験室の職員から得た書類によると、ロシアが特別軍事行動を起こした2月24日、それらの実験室は疫病、炭疽、野兎病、コレラなどの致死性疾病の病原体を「緊急廃棄」したと明かした(中略)。

米国のウクライナでの生物軍事活動は氷山の一角にすぎない。ペンタゴンは「生物安全リスクの共同削減」や「世界公共衛生の強化」などを名目に、世界30カ国に336カ所の生物実験室を管理している。しかも、米国は20年以上にわたり『生物兵器禁止条約』検査メカニズムの構築を単独で妨害し、国内外の生物施設の検査を拒んでいる。

中国の新聞社の報道だから「フェイク・ニュース」だと決めつけることはできない。フランスの通信社AFPも次のように報道している(https://www.afpbb.com/articles/-/3394178)。

米国務省ナンバー3のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)次官(政治担当)は8日、ロシア軍が侵攻したウクライナにある生物学研究施設を掌握する可能性について懸念を示すとともに、これを阻止するためにウクライナ軍と連携していると表明した。

ヌーランド次官は議会上院外交委員会の公聴会で、ウクライナが生物兵器を保持しているかとの質問に対し、「ウクライナには生物学研究施設があり、ロシア軍が掌握しようと試みるのではないかと深く懸念している」と語った。

むしろ、中国の新聞社が、米国バイデン政権の現国務次官(国務省ナンバー・スリー)がこれまでウクライナに同国の資金援助で生物・化学兵器研究所を設立したと報じたことの意義は大きい。水面下で、ロシアと中国が手を握りつつあることを示唆するものだ。国際政治・経済秩序が、欧米日諸国側と中露プラス非米諸国側(大国インドを含むコモディティ陣営側)に再編されつつあることを示唆するものだ。

米欧日諸国のメディアのウクライナ事変の報道について

米欧日諸国のメディアのウクライナ事変=ロシアのウクライナへの侵攻についての報道は、「極悪人で戦争犯罪者のプーチン大統領」と「白馬の騎士・ゼレンスキー大統領」一色だ。しかし現実には、NATOの盟主・米国(バイデン政権)はウクライナなど東欧諸国に内政干渉を行い、今回のウクライナ事変では携帯対戦車砲の「シャベリン」や携帯地対空ミサイルの「スティンガー」を大量に供給しており、さらには戦車まで供与するという。ウクライナ事変を泥沼化して、ロシア(権威主義体制とは言われるが、かってのソ連のスターリニズム体制とは決別しており、曲がりなりにも市場経済制度を導入している)を崩壊することを狙っているように思える。

こうした中で、「プーチン大統領の言い分にも耳を傾けるべきだ」との声は、米国では圧殺されつつある(東アジア共同体研究所のUIチャンネル=https://www.youtube.com/watch?v=DIksxJrMx4s、なお次の番組も参考にされたい:https://www.youtube.com/watch?v=NPTQDFdXB0g)。これでは、米国ディープ・ステート(闇の帝国:軍産複合体と弱肉強食の新自由主義を信奉する国際金融資本を含む米系多国籍企業=参考:植草一秀著「日本の黒い霧」の第三章・米中対立の行方に叙述されている「米国を裏から支配するディープ・ステートの実態」=)による基本的人権(侵攻・思想・言論の自由と生存権の保障)を踏みにじったファシズム体制が成立してしまう。しかし、このところバイデン親子のウクライナでの不正行為が共和党や米国マスコミからも追及されつつあり、米国の「民主主義」なるものが、イラク侵攻に象徴される似非民主主義=覇権主義でしかなかったことが明らかになりつつある。

最も重要なことは、ウクライナの国民(市民)の犠牲を増やさないため、ゼレンスキー大統領が約束を反故にした「ミンスク合意Ⅱ(①ロシア系ウクライナ人の基本的人権の保障②ドネツク、ルガンスク州に高度な自治を認めるーなど)」を停戦交渉の土台にして、早期停戦を実現することである。


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