世界の主要株式市場で重大な異変(株式相場の暴騰・暴落)が起こっている。25日の欧州主要株式市場ではフランクフルト市場始め各国の株式市場で暴騰が起こった。これは、25日に中国の金融当局が発表した追加金融緩和を好感してのものだが、誰もが注視するニューヨーク株式市場はダウ平均が204ドル下げた。一般的にはある国の株式相場が下落すると、その国の金融当局は金融緩和政策の発動で凌ぐ。ただ、自国通貨の切り下げを目的に金融緩和を行うこともある。今回の世界的な株式相場の暴落は、8月11日の中国人民元の切り下げをきっかけにしている。つまり、新自由主義のもとでの世界的な金融緩和が株式相場のバブル化を生み出す一方で、第二次大戦の経済的原因になった通貨切り下げ競争→経済ブロック化を引き起こしていると見るべきだ。
政治経済アナリストの植草一秀氏は次のように分析している。
【8月25日のニューヨーク証券取引所】
−−転載開始−−
日経平均株価が急落している。6月24日終値で日経平均株価は20868円の高値を記録した。2000年4月12日の20833円を超えて、約19年ぶりの高値を記録した。そして、8月10日終値は20808円だった。それから2週間しか時間は経過していない。
本日、8月25日の日経平均株価終値は17806円。2週間で3000円急落した。下落率は14.4%。6月24日高値を基準とすると、下落幅は3062円、下落率は14.7%である。
きっかけは8月11日の中国人民銀行による人民元切下げである。中国政策当局が人民元を切り下げた。これを契機に、世界の株式市場が揺れ動いている。人民銀行は3日連続で人民元切下げを実施したが、そこで小休止した。金融市場は一時的に落ち着きを取り戻したが、8月17日の週に入って、再び動揺が広がった。
中国株価が急落し始めたのである。これがグローバル金融市場に連鎖反応を生んでいる。安倍晋三政権を支えてきた、唯一の支えが株価上昇だったが、この支えがい日経平均株価が急落している。6月24日終値で日経平均株価は20868円の高値を記録した。
2000年4月12日の20833円を超えて、約19年ぶりの高値を記録した。そして、8月10日終値は20808円だった。それから2週間しか時間は経過していない。
本日、8月25日の日経平均株価終値は17806円。2週間で3000円急落した。下落率は14.4%。6月24日高値を基準とすると、下落幅は3062円、下落率は14.7%である。きっかけは8月11日の中国人民銀行による人民元切下げである。中国政策当局が人民元を切り下げた。
これを契機に、世界の株式市場が揺れ動いている。人民銀行は3日連続で人民元切下げを実施したが、そこで小休止した。金融市場は一時的に落ち着きを取り戻したが、8月17日の週に入って、再び動揺が広がった。中国株価が急落し始めたのである。これがグローバル金融市場に連鎖反応を生んでいる。
安倍晋三政権を支えてきた、唯一の支えが株価上昇だったが、この支えがいま、外されようとしている『金利・為替・株価特報』8月17日号http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.htmlを発送したのが8月12日。
8月11日の人民元切下げを踏まえて、「8月11日、中国が人民元を米ドルに対して2%引き下げる措置を決定、実施して様相がガラリと変わった。目先は中国人民元切り下げ問題の影響を考察する必要が生じ、金融市場はリスクオフ姿勢を強める可能性が高い」
「各国による通貨切下げ競争が加速するとの思惑が広がれば、為替市場に、投機的な資本移動が大規模に発生するリスクが高まる。通貨が下落する余地のある国が投機のターゲットとされて、大規模な資本逃避=株価急落の連鎖が生まれる危険がある。グローバルな金融市場の連鎖に当面は最大の警戒を払う必要がある」と執筆した。
今後の展望については、『金利・為替・株価特報』8月31日号に詳述する。中国の人民元切下げを批判する見解が一部で示されているが、この批判は妥当ではない。2008-09年の国際金融市場の危機=サブプライム金融危機に際して、金融超緩和=自国通貨切下げに突き進んだのは米国である。その裏側で日本円の急騰が進んだ。
2012年からは日本が金融超緩和=自国通貨切下げに突き進んだ。米ドル、日本円の下落は、裏を返せば、ユーロの上昇であり、人民元の上昇である。2015年に入って、米日欧の最終ランナーとして、ユーロ圏が金融超緩和=自国通貨切下げに進んだ。今回の人民元切下げは、グローバル金融市場における通貨切下げ競争の最終ランナーとして中国が登場したことを意味する。
金融情勢の分析は『金利・為替・株価特報』に譲ることとして、金融市場の環境変化で、安倍政権を取り巻く情勢が急変する点を見落とせない。安倍晋三政権は9月中旬にも、戦争法案の参院強行採決を目論んでいると思われる。日本の主権者の圧倒的多数が、戦争法案にに反対している。そして、圧倒的多数の憲法学者が、戦争法案が憲法違反であると指摘している。法治国家、立憲国家、民主主義を基本とするなら、安倍政権は戦争法案を取り下げるべきである。
これ以上の暴走を続けるなら、日本の主権者がいよいよ立ち上がり、体を張って、安倍政権を打倒する必要がある。日本を暴政によって滅亡させてはならないのである。株価は上昇したが、圧倒的多数の主権者の生活はまったく好転していない。主権者が連帯して安倍政権を一気に退場させるべき時機(とき)が到来している。
−−転載終わり−−
世界の主要株式市場が中国の経済の先行きを注目しているというのは、裏を返せばそれだけ中国経済が世界経済を支えているということだ。東京・吉祥寺のヨドバシカメラのドコモ・スマートフォン売り場の責任者に聞いた話だが、日本でスマートフォンを製造するとコストは20万円かかるという。Android系スマホであれ、iPhone系であれ、製造元は中国・台湾だ。台湾は設計を行い、実際の製造は中国という場合もある。
Android系SIMフリーのスマートフォンの設計・販売(製造は中国)で知られるFreetelは、ミッドレンジ(スペックとしては、4Core CPU,RAM 2GB, 内蔵外部記憶装置16GB〜32GB, 高速通信LTE対応、内蔵カメラの画素数1300万画素程度)のスマートフォン「侍雅(Samura Miyabi)」を今夏中に発売予定だが、価格は2万円を切る1万9800円を予定している。実売価格はもっと下がるだろう。今までミッドレンジのスマートフォンは安くとも3万円以上はしていたから、これは衝撃である。これも、中国が製造をする。
既に世界の製造基地となった中国経済なくして世界の経済は成り立たない。当然、日本経済も成り立たない。それこそ激変した経済情勢(崩壊過程に入ったブレトンウッズ体制)から見ると、中国とは戦略的提携関係を結び、これに韓国にも賛同してもらい、開かれた東アジア共同体を目指し、世界経済発展の基地とすることが、今後の日本の採るべき政策である。ところが、戦争法案審議特別委員会で安倍晋三首相は自民党・公明党の参院議員の質問に答えて、あからさまに中国敵視政策を採る。一方では、「対テロ戦争」と称して戦争犯罪の蛮行を繰り返す米国には、ひれ伏すのみである。安倍首相の説く「積極的平和主義」の正体は「積極的平和破壊主義」である。