今月24日投開票の高知県知事選挙について日本共産党党員の松本けんじ氏が「接戦」を伝えられながらも大差で敗北したが、同党の志位和夫常任幹部会委員長の「次に繋がる」選挙結果というのは甘い。
志位委員長は24日夜、高知県知事選挙敗北について次の談話を発表した。
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一、市民と野党が共同して推した松本けんじ候補が、当選にいたらなかったことは残念ですが、この選挙は、高知県にとっても、日本の政治にとっても、大きな財産をつくった選挙になったと思います。
一、松本けんじ候補の「ここでいっしょに生きよう。だれ一人取り残さない県政をつくろう」「高知のことは高知で決める」という訴えは、広く県民の心に共感を広げ、今後の県政の転換の方向を示すものとなりました。
地元で「オール野党」でたたかう体制がつくられ、野党各党の党首をはじめ全国から55人を超える国会議員(元職を含む)が松本候補の応援にかけつけ、心一つにたたかったことは、次につながる大きな財産となったと確信します。
一、松本けんじ候補勝利のためにたたかったすべてのみなさん、ご支持をいただいたすべての県民のみなさんに心からの感謝を申し上げます。松本けんじ候補が掲げた公約の実践、市民と野党の共闘の発展のために、全力をあげて奮闘する決意です。
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志位委員長は「市民と野党の政策共闘が(候補が共産党医院でありながら)実施できたこと」をつぎにつながる結果と大きな評価だとしている。
しかしながら、野党共闘なるものの本質は政策で一致し、その下で「市民と野党」が共闘することである。しかしながら、次期衆院選(総選挙)で立憲、国民の「野党」がまず優先しているのは統一候補の調整、選出であり、日本共産党が優先しているのは「政策での一致」、つまり、「統一政策」である。
共産党の志位院長はれいわの山本太郎代表とトップ会談を行って、実質憲法違反の消費税は高々5%に即時引き下げ、近い将来最終的には廃止することで合意しているはずだが、立憲、国民はまだ明確な態度を示していない。全国一律最低賃金1500円の導入や、福島第一原発が汚染水を処理水と行ってタンクに貯蔵しているが最早、著増は限界で海に垂れ流すしかないほどの状況になっているから、➀汚染水の正しい処理技術の確立②原発の廃炉の技術的な確立③関電疑獄で明らかになった原発マネー欲しさに原発の再稼働を相次いで続ける安倍晋三政権の「エネルギー政策」を大転換、稼働している原発の即時停止と不稼働原発の再稼働禁止も、立憲や国民は同じだ。
その理由は、立憲と国民が安倍政権の基本政策に賛同・同調する日本労働組合層連合会(連合)が支持母体であるからだ。連合は原発再稼働賛成の電力総連や実質的には企業が納税する消費税の大規模な還付を受ける電機操船や輸出大企業が支配的な自動車総連、電機連合が巨大な影響力を持つ。連合は要するに(企業側や政府側に従って行動する)御用組合だ。だから、立憲も国民も国民生活が第一の生活を掲げることが出来ない。
その証拠に、「桜を見る会」のどさくさ騒動にまぎれて、今通常国会の最重要法案である日米FTAを自公、立憲、国民で「協議」、衆院外務委員会でぎけつしてしまったため、19日に本会議で可決成立させてしまった。予算と条約は衆院で可決されれば、参議院の存在価値はないから(参議院で野党が多数を占めているわけでもないが、仮にそうだったとしても同じ)30日の時間が経つだけで国会で可決、つまり、批准してしまうことになる。
当然、「桜を見る会」は公職選挙法違反、政治資金規正法、財政法違反の事案であるから、すべての委員会の審議をストップ、この不正疑獄を明らかにするための集中審議委員会の要求を行うべきであった。実際は、立憲と民主がそうすることはなかったが、それは両党が連合の指示の下、「隠れ与党勢力」に成り下がっているからだ。日米FTAは今回、物品、デジタル分野にかかわる貿易協定だけだったが、その物品貿易さえ目玉の対米自動車輸出完全の引き下げから廃止などは雲散霧消し、牛肉など肉類の関税が引き下げるだけの国益を損なうどころか、守ることのできない大失敗に終わってしまった。
一時が万事こんな調子だから、いくら、「市民と野党共闘」を進めても、選挙での敗北は避けられないだろう。2009年に成立した民主党政権が崩壊したのも、内部に隠れ自公勢力が存在し、その代表的な民主党人物は悪徳10人衆とか7人衆とか呼ばれた。その残存勢力が国民民主と立憲民主にようやく分かれたことから一時、立憲に期待が高まったから、それも束の間に終わった。
都道府県レベルでの「市民と野党の共闘」の失敗は、立憲と国民が連合だよりで地方に足腰がないことが最大の原因だ。国政選挙もどうにもならない。共同通信や時事通信の世論調査もそのままでは信じられないが、それにしても11月の支持率の凋落は目に余る。
これは、統一政策の樹立に立憲と国民が及び腰であることを考えると、要するに選挙区での日本共産党の固定表欲しさに「市民と野党共闘」を利用しているに過ぎないことを示している。このこともあり、非礼ブロツクでもオリーブの木の構想が実現せず、てんでばらばらになる。
れいわは、同党が政策連合・平和と共生オールジャパンから採用した主要政策を掲げているが、消費税率の高々5%への引き下げにも賛成できない自称「野党」とは共闘しないことを明言している。
国民民主党に合流した旧自由党グループの小沢一郎氏は、れいわも提唱している財政出動への転換など思い切ったマニフェストを柱に年内新党統一の必要性を訴えているが、財源の裏付けを持っている政策連合・れいわの政策と同じものでなければ、単なる政党助成金目当てと見られる。
その意味で、市民団体と政策連合の共同歩調も必要だが、政策で一致した真性野党共闘・政策連合を形成できなければ、近い将来、三権分立を基盤とした国民主権の民主主義・世界平和への貢献という日本の本来の使命は永遠に果たせなくなるだろう。