医療体制崩壊は進行している、東京オリ/パラは中止し資金と施設は医療支援に回せ(暫定投稿)

東京都や大阪府、神奈川県など一部の都府県では医療体制の崩壊が進行している。東京オリンピック/パラリンピックはすぐに中止を公式発表し、延期のための財政措置やオリンピック村など資金と施設は医療支援に回す必要がある。また、統合政府(政府と日銀)の通貨発行権をもとに政府による国債発行を財源に、11都道府県を中心に、全国に簡易医療施設を新設することも必要だ。

1月21日木曜日コロナ感染状況

本日1月21日木曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月14日木曜日の1502人を31人下回ったが9日間連続の1000人超えの1471人、死亡者は7人、重症者は前日から1人減り、159人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1513.0人、PCR検査人数は10712.6人だから、瞬間陽性率は14.12%。東京都独自の計算方式では10.8%。感染者のうち感染経路不明率は57.76%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は5653人、死亡者数は94人が確認されている。重症者は前日比13人増加して1014人と過去最多更新になった。死亡者と重症者がかなり多くなっている。亡くなられた後に陽性者であった方は含まれているかは不明。医療崩壊が進行中であると考えられる。
【参考】東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月20日時点の実効再生産数は全国が前日比変わらず0.97人、東京都は前日比0.01人減の0.90人となっている。簡易計算によるものだが、反転上昇の瀬戸際にある模様。1.0人を上回れば新規感染者はべき乗で拡大する。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

新型コロナ感染者数の増加で、東京都や大阪府、神奈川県など一部の都府県では事実上、医療体制が崩壊している。次の図は、毎日更新されるが昨日1月20日時点の東京都のモニターサイトの図だ(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。

東京都のモニターサイトの図
東京都のモニターサイトの図

これを見ると、自宅療養の都民が8965人、入院・療養先調整中の国民が6799人も存在する。自宅で療養すると家族全員が感染しやすい。最大の感染源は「飲食店」ではなく、「家庭」だからだ。そして、自宅療養といっても特別な医療措置は取られていないから、無症状感染患者でも突然悪化して、亡くなられるケースがあとを絶たない。また、入院・療養先調整中の都民は自宅療養者よりも当然、症状が悪化している。

コロナの感染源は家庭
コロナの感染源は家庭

要するに、PCR検査を行っても適切な医療施設が存在しないから、救急車などを呼んでも受け入れ先がない。中には重症者もいるだろうが、公式発表の重症者数には含まれない。限定的でしかない「緊急事態宣言」が再発令された11都道府県では、「生命の選別」が行われている。例えば、神奈川県だ。

神奈川減による生命の選別
神奈川減による生命の選別

これは、19日19時26分に東京新聞のWebサイトで公開された記事(https://www.tokyo-np.co.jp/article/80827?rct=coronavirus)をもとにデモクラシータイムスが作成したもの(https://www.youtube.com/watch?v=H5ZSb4I-1AQ&t=462s)だが、「入院の目安」は合計スコア5点以上の患者が優先的に入院できるようにした。しかし、既に述べたように自宅待機の無症状感染者の症状が突然悪化し、救急車を呼ぶ前か呼んでも搬送中に死亡するケースも目立つ。神奈川県としては「やむを得ない措置」ということになるだろうが、実態としては「生命の選別」になる。

神奈川県庁
神奈川県庁

感染症対策の専門家や一部のマスメディア、Youtube番組、そして本サイトでも、PCR検査の大規模拡大と保護・隔離・適切な医療施設での抗ウイルス剤の投与による治療開始をセットにして実施することを訴え続けてきた。もちろん、「適切な医療施設」というのは病院を新規に建設することではなく、都道府県や基礎自治体によるホテルや旅館の借り上げはもろろん、簡易医療施設の設置も含む。例えば、東京オリンピック/パラリンピックの選手村の利用や協議施設・関連施設(国立競技場など)に、医療用トレーラーハウスを設置することはできるはずだ(参考サイト:https://kyodonewsprwire.jp/release/202004149011)。

菅首相は18日の通常国会の冒頭所信表明演説で、次のように語った。

夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会とし
たいと思います。

感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります。

これが、全くのウソであることは明白だ。なお、植草一秀氏のメールマガジン第2831号「 二階幹事長『笑顔と希望』という虚言」によると、2011年3月11日に発生したフクシマ第一原発事故は全く収束していない。それどころか、政府=安倍晋三政権(当時)と菅政権は、「減力緊急事態宣言」は解除していないし、解除する気もない。これは、一般公衆の被曝量を20ミリシーベルトに引き上げた状態にしておくためだ。日本においてはフクシマ事故以降、一般公衆の被ばく線量上限はICRP(国際放射線防護委員会)勧告に基づいて、原子炉等規制法および放射線障害防止法に基づいて年間1ミリシーベルトと定められていた。それが20ミリシーベルトへと20倍に引き上げられたのだ。

さらに、安倍内閣は2015年6月12日の閣議決定で「空間線量率で推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実であること」を避難措置解除の要件とした。こうなると、次のようになる。

このことは、年間線量が20ミリシーベルトに達する放射能汚染地域に居住する住民が年間線量1ミリシーベルト以下の非汚染地域に避難しても、一切の補償を行わないことを意味する。つまり、安倍内閣(当時)、菅内閣は原発事故被害者を放射能汚染地帯に棄て去る決定(注:棄民策の決定)をしたのだ。

緊急事態宣言を解除する努力を全くしないのは、この棄民政策のためである。東京電力に在籍した原子力の専門家は、東北大地震による津波ではなく、地震で福島第一原発の電源系統が破壊され、炉心溶融(メルトダウン)が起こった可能性が極めて濃厚だとして、メルトダウンの原因の再調査を求めている(参考サイト:https://www.youtube.com/watch?v=EiACnOBjuZI)。なお、政府=菅政権は溶融した炉心を冷却しなければならないので、そのために水を流し込んだが、当然のことながら汚染水になったため、貯蔵タンクを多数建設した。しかし、敷地に貯蔵タンクを新たに建設するための空き地がなくなってきたことから、来年2022年には汚染水を福島沖に海洋投棄する意向だ。汚染水にはさまざまな放射性物質が含まれており、非常に危険だ。国際問題にも発展するだろう。

安倍首相(当時)はアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた2020年オリンピックの開催地を決定するために開かれた国際オリンピック委員会(IOC)まで乗り込んで、「Fukusima is under control」と大嘘をついて、日本の東京都にオリンピック/パラリンピックに誘致した(マラソンは北海道)。商業主義化したオリンピック利権を一部の業者と分け合うのが最大の狙いである。だから、安倍首相(当時)と管首相も東京オリンピック/パラリンピックの強行開催が、戦中の「国体護持」のようになっている。広島市、長崎市への原爆の投下を思い起こす。

このことが、まともなコロナ禍対策を打ち出せない最大の原因だ。これに対して、昨夏開催のところを翌年の今年の夏に延期しても、かえって日本のコロナ禍がひどくなっているため、世論調査では国民の80%が開催はできないと思っている。事実上の開催反対だ。IOC、オリ/パラ組織委員会でも意見がまとまらなくなり、内部分裂が強まってきた。こうした中で、女子柔道家で「女姿三四郎」の異名を持つ金メダリストの山口香日本オリンピック委員会(JOC)理事は、毎日新聞の取材で次のように語っている(https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/sports/mainichi-20210119k0000m050190000c?utm_source=live_top&utm_campaign=livesports&utm_medium=news)。

新型コロナウイルスの感染拡大で開催が危ぶまれる東京オリンピック・パラリンピックについて、日本オリンピック委員会理事の山口香氏(56)は19日、3月上旬までに開催可否を改めて判断すべきだとの考えを示した。山口氏はオンラインでの取材に応じ「判断が長引けば長引くほど国民の気持ちが五輪から離れていく。五輪を嫌われ者にしないでほしい」と述べた。

山口氏は直近の複数の世論調査で8割近くが今夏の開催を望んでいないことに触れ、「国民は不自由な自粛生活を強いられている。五輪で世界から人が集まることへの不安はある」との認識を示した。期限とする3月上旬には五輪予選を兼ねたテスト大会なども再開予定で「その頃には政府の緊急事態宣言の効果や今後の感染者数の見通しもある程度見えてくるのではないか」と話した。(以下、略)

JOC理事としては、注目すべき勇気ある発言である。ただし、➀安倍首相(当時)の「Fuhushima is under control」が大嘘だったこと②オリンピックが商業化し、オリンピック利権が近代オリンピックの理念を歪めていること③コロナ禍の惨状にあって、国民の8割が東京オリンピック/パラリンピック開催中止を求めていること➃強行開催すれば、ますます医療資源の確保が困難になること➃IOC、大会組織委内部で意見が割れていること(特に、幹部と実務レベルの委員ら)ーなどから、サイト管理者(筆者)は本サイトでしばしば述べているように、即刻中止すべきだ。

【Amazon Sponsor】

 

そして、選手村や国立競技場など大型の大会会場施設をコロナ感染者用の特設簡易医療施設として使えば良い。東洋経済ONLINEではこのところ全国、東京都ともに簡易ながら新型コロナの実効再生産数が下落していたが、反転上昇の兆しを見せている。下図は1月19日時点の図だ。上図が全国、下図が東京都。

東京都の簡易実効再生産数
東京都の簡易実効再生産数

これらのことを考えると、東京オリ/パラは即刻中止し、投入予定の財政資金(政府=自公連立政権は税金で賄うことにするだろう)と各種競技施設は医療支援に回すことが妥当である。



この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう