ディープステートに支配され強行路線に進むバイデン新政権、日本は米中の股裂きに

米国では20日、バイデン新政権が発足したが、ディープステート(闇の国家=軍産複合体と多国籍金融資本・企業)に支配されており、国内の分断を修復することはできないだろう。外交面では中国やイラン、北朝鮮に対して強硬路線を取ってくる。日本は中国経済に依存する割合が相当に高くなっており、対米隷属外交はもはや通じなくなる。米中の股裂きになることは確実だ。日本独自の言葉の真の意味での積極的平和主義外交を展開していく必要がある。

1月22日金曜日コロナ感染状況

本日1月22日金曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月15日金曜日の2001人を826人下回ったが10日間連続の1000人超えの1175人、死亡者は9人で、重症者は前日比1人減少して158人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1395.0人、PCR検査人数は10537.4人だから、瞬間陽性率は13.22%。東京都独自の計算方式では10.8%。感染者のうち感染経路不明率は57.80%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は56455045人、死亡者数は過去最多の108人が確認されている。重症者は前日比3人減の1011人。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月21日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の0.96人、東京都は前日比0.06人増の0.96人となっている。このところ、前週の同じ曜日に比べて新規感染者の減少傾向が続いているが、簡易ながら実効再生産数が1.0を下回る状況が続くかどうかがひとつのカギになる。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

【追記】新型コロナウイルスに感染したあと自宅で療養していた東京都内の30代の女性が他者を感染させた可能性があることを苦にして自殺していたことが22日分かった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012827321000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001)。痛ましい事故だ。自宅療養者への医療措置が十分であったか、小池百合子率いる東京都は徹底的に検証、都議会に報告しなければならない。簡易医療施設が設営されていないことだ最大の問題だ。

本投稿記事は外務省国際情報局長、イラン大使、防衛大学教授を歴任して現在、「東アジア共同体研究所(鳩山由紀夫理事長)」の孫崎享所長の見解を中心に、参考情報を加えて投稿したものです。サイト管理者(筆者)は孫崎所長の「外交眼力」を学ぶべきものが本質的なので、高く評価しております。

米国ではジョー・バイデン政権が20日(現地時間)、正式に発足した。バイデン政権の性格を知るためには、閣僚(米上院での承認が必要)人事を見れば良いが、その中でも中心となる国務長官、国防長官の経歴を見ることが重要だ。19日に上院で証言した両者を含む主要閣僚の発言要旨を朝日デジタルから引用する(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14771015.html?iref=pc_ss_date_article)。

ホワイトハウスのサイトより
ホワイトハウスのサイトより

結論から言えば、バイデン政権の背後には「闇の国家」と言われるディープステート(軍産複合体と米系多国籍金融資本・企業)が存在しており、その支配力によってバイデン政権は国内の分断修復は実現できず、外交的にも対中国、対イラン、対北朝鮮に対して強硬路線を取るということである。日本が米中の股裂きに陥ることは避けられず、従来の対米隷属外交はもはや通用しなくなるということだ。

【19日の米国上院公聴会でのバイデン候補らの主な発言】

発言した閣僚の名前 発言要旨
ブリンケン国務長官候補 米国が指導力を発揮しなければ、ほかの国が取って代わろうとするか、混乱が生まれるだけだ。
イエレン財務長官候補 歴史的な低金利のなか、(債務の利払い負担が抑えられているため)大規模な財政出動が最も賢明だ。
オースティン国防長官候補 世界的に見て、アジアが我々の取り組みの中心になることは理解している。
マヨルカス国土安全保障長官候補 (米連邦議会議事堂襲撃事件を受けて)国内の過激派の脅威が最大の課題の一つだ。
ヘインズ国家情報長官候補 インテリジェンス(情報収集・分析)は、政治の出る場所ではない。

バイデン政権は黒人、ヒスパニック、同性愛者、女性と多様な閣僚構成(上院で承認を受ける必要がある)が、民主党の有力者であるバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党内リベラル派は排除している。同党リベラル派を取り込まなかったことで、分断された国民の和解が出来るか不透明だ。米国の1%の富裕層が99%の富を握るとされる米国の大格差社会はディープステートが同国を支配する限り、解消されないだろう。

バイデン政権を占うに当たりまず、分断された米国の融和問題から入る。世界各国のコロナ感染状況をリアルタイムに伝えているサイト(https://www.worldometers.info/coronavirus/)によると、日本時間午前5時の段階で、人口100万人当たりの死亡者数は医療体制の脆弱な発展途上国を除けば、先進諸国(経済協力開発機構=OECD=)の中では、英国で変異した新型コロナウイルスが猛威を振るっているベルギーが1771人、英国1389人に次ぐ1261人になっている。感染者、死亡者の絶対数では2513万9849人、 41万8835人と断トツだ。

これは、米国では高齢者用のメディケア(医療保険制度)はあるが、全国民が加入するための国民皆保険制度が存在しないために、PCR検査数は多いが、陽性判定後の保護・隔離・治療体制が全く整っていないことが最大の原因だ。なお、歴史的に米国と英国の関係が深いことから、両国の人的交流はあまり遮断されていないようだ。「水際対策」が徹底して行われていない可能性が濃厚であるため、英国変異型のウイルスがベルギーと同様、市中感染した場合には、感染拡大が加速する公算が大きい。21日には少なくとも14万0757人が新規感染している。

別の変異型が発見されたブラジルは 5万7500人、人口大国で米国陣営に属するインドは1万3701人。一方、中国は徹底したPCR検査を行い、突貫工事で簡易医療施設の建設を行っているため全国で144人、人口100万人当たりの累計感染者数は3人だ。

連邦準備制度理事会の議長(日本の日銀総裁に相当)を務めたイエレン財務長官(候補)は低金利だからという理由で大量の国債を発行して国民の救済に充てるとしているが、主流派経済学の立場に立っているため、現代貨幣理論(MMT)が主張しているように「インフレ率2〜3%」が真の財政規律だということを理解しているかどうか、疑わしい。米国経済の供給能力が毀損されるようなことになれば、インフレ率が加速してしまう。リバータリアニズム(国家は国民の自由・財産に干渉するなという古典的自由放任主義)浸透の影響で国民皆保険制度が存在しないことに加えて、真の財政規律を無視して国債の大量発行を行えば、経済にも異常事態が起こり、米国民の生命と暮らしを守ることは極めて困難になる。

ディープステートとはWikipediaによると、「アメリカ合衆国の国政を秘密裏に操作しているとされる団体の呼称であり、『影の政府』や『国家の内部における国家』と重複する。政治システムの中に共謀とひいきが存在し、合法的に選ばれた政府の中に隠れた政府を構成している」とされる。その実態は第二子世界大戦中に連合国軍最高司令官を務めたドワイト・アイゼンハワー大統領(当時)が離任時に「軍産複合体」の存在について、米国民に警告を発したことが端緒だ。

その後、米国系の多国籍金融資本・企業が連合軍を形成する。しかし、古典的な資本主義経済体制の中では「資本家集団」が支配階級になり、諜報機関やメディア操作を通じて権力を事実上握り、国民を支配するのは、どこの国でも同じことだ。戦後の日本は国民皆保険制度や生活保護=生活保障制度など社会保障制度を確立し一時、「社会主義国家」とさえ言われたことがあった。ただし、米ソ冷戦の集結で米国が勝利したため、古典的自由主義に代わって新自由主義が支配するようになり、ディープステートの暗躍が一層強まった。

その強い影響を受けた代表的な国家が、2000年代に入ってからの小泉純一郎首相=竹中平蔵総務相(その影響を強く受けているのが、菅義偉首相)政権以降、新自由主義政策を驀進してきた日本だ。製造業で非正規労働者を認めるなど、正規労働者の減少・非正規労働者の著増をもたらし、消費税増税を急激に行う一報、社会保障制度を削減し、異常な「量的金融政策」を行うことによって、20年の長期デフレ不況と金融バブルを発生させている。

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