露朝同盟で南北統一に新局面、消滅した政権転覆による韓国の北朝鮮吸収−残された道は理念を土台とした北の改革・開放路線(欧米文明は黄昏)

ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を公式訪問し、言わば「露朝軍事同盟」を世界に向けて公式に発信したことから、北朝鮮を経済制裁ないし軍事攻勢などにより破綻に追い込み、韓国が北朝鮮を吸収合併するとい南北統一の基本路線は崩壊した。北朝鮮はもはや崩壊することはない。ロシアは軍事技術だけでなく、経済・技術協力も約束しているから、非米側陣営に入って改革・開放路線を取り、経済発展に全力を注げば、朝鮮半島統一の道は開ける。ロシアが3月29日、拒否権を行使して、北朝鮮に対する制裁の履行状況を調べる安保理の専門家パネルの延長を拒否し、事実上、北朝鮮に対する経済制裁を封じたのはこのためであると思われる。ただし、韓国が南北統一を希求するなら、国際情勢解説者の田中宇氏の指摘するように、中国との関係を深め、非米側陣営の一員になることが必要だろう。

朝鮮半島統には韓国が非米側陣営に入り、北朝鮮が中露の支援で改革・開放路線を採用することが必要

表面的には、北朝鮮が核兵器とその運搬手段であるミサイルの開発を完全に放棄すれば、巨額の賠償金を出すなど日本を中心に「西側諸国」が北朝鮮を経済支援して経済復興に尽くし、キム・ジョンウン(金正恩)王朝一族の少なくとも安全を保証した上で、韓国が北朝鮮を吸収合併する方式での南北統一が語られてきた。しかし、2019年2月28日にベトナム・ハノイで行われたキム総書記とトランプ大統領(以下、当時)との第二回会談は物別れに終わった。

ウイキペディアによると、この会談は次のような経緯をたどった。

2019日2月27日(1日目)の夕方より、ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイホテルを会場に首脳会談が開始された。初日は通訳を挟んだ1対1の会談後に夕食会が開催された。夕食会には通訳の他にポンペオ国務長官・マルバニー大統領首席補佐官代行・金英哲朝鮮労働党副委員長・李容浩外相が同席した。

2019年2月28日(2日目)は再び1対1の会談が行われた後に双方の閣僚が加わる形で拡大会談が行われたが、昼頃には交渉が決裂状態となり、予定されていた昼食会はキャンセルされた。会談の詳細は公表されていないが、ロイター通信の報道によれば、アメリカ側は「核施設・化学兵器・生物兵器プログラムとこれに関連する軍民両用施設・弾道ミサイル・ミサイル発射装置及び関連施設の完全な廃棄」を提案したが、北朝鮮側は寧辺核施設のみの廃棄と北朝鮮に対する経済制裁などの解除を提案。双方の主張の隔たりは大きく合意文書が締結されることは無かった。

続く6月にも、38度線の板門店で米朝首脳の面談が行われたが、公式的には米朝首脳会談ではなく、何の成果もなかった。2018年6月12日にシンガポールでトランプ大統領とキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長・国務委員会委員長による史上初の首脳会談が行われて以来、合計3回の首脳会談・面談が行われたが、結局、成果はなかった。一般に、トランプ大統領が北朝鮮の核・ミサイルの実験施設の全廃棄を信じられなかったとされているが(参考:https://www.bbc.com/japanese/47411196)、朝鮮半島の緊張を利益とする軍産複合体の暗躍があったとする説もある。

これ以降、北朝鮮のキム・ジョンウン政権は核兵器・ミサイルの開発に突進した。このため、結局のところ、国際情勢解説者の田中宇氏が「朝鮮半島問題の解決には韓国の非米化が必要」(https://tanakanews.com/240620korea.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)で述べておられるように、「朝鮮半島問題の解決といえば、これまでは、米韓の側が北を制裁・攻撃・飢餓拡大・反乱醸成して金家の政権を転覆して北を国家崩壊させ、崩壊した北を韓国が併合するシナリオが主力」という状態になった。

ところが、ここにロシアが着目し、プーチン大統領が北朝鮮を公式訪問、「北朝鮮が外国(米韓など)から軍事攻撃されたらロシアが助けに入ることを盛り込んだ同盟国並みの包括戦略条約を締結した」。この事実上の露朝軍事同盟で、米韓が北朝鮮を崩壊させるシナリは消え去った。なお、露朝同盟は軍事同盟だけでなく、原子力の平和利用、宇宙開発、食料・エネルギー安全保障、人工知能(AI)に関する協力も盛り込むなど、経済・技術協力も関係深化の柱である(https://jp.reuters.com/world/security/PQ7FL4ADT5MBXAUKBL4XSZZUFI-2024-06-20/)。

ロシアは、プーチン大統領の大統領就任後の最初の公式訪問先を中国とし、習近平国家主席とするなど、北朝鮮を経済的に支援してきた中国との友好関係を深めているから、どん底状態にあると言われる北朝鮮の経済復興・発展も考慮していると思われる。

もともと、キム・ジョンウンの祖父であるキム・イルソン(キム・イルソン)は当時のソ連が朝鮮半島に共産主義革命を起こすために送り込んだという過去があるから、ロシアとしても北朝鮮とは縁が深い。今回の露朝同盟の狙いについて、田中氏は次のように見ておられる。

私が見るところプーチンは、北朝鮮と同盟を結んで強化し、戦争や制裁では朝鮮半島問題を解決できない状態にして、交渉相手である韓国を米国から引き剥がして非米側に転向させていく戦略のように見える。韓国は、米国側にいる限り北を敵視するしかないが、非米側に転じれば、中露の仲裁で北と和解できる。それは、習近平が望むことでもある。米国は、北朝鮮や中露との和解を全く考えていない。米国は、覇権を自滅させているのに無視して単独覇権主義に固執し、朝鮮半島でもウクライナでも、同盟諸国に中露敵視を強要している。韓国は、米国側にいる限り、北と和解することを許されない。米国にいわれるままに北を敵視し続けるしかない。それで北を潰せるのならやり甲斐があるが、ロシアが北を守る体制を敷いた以上、もう北は潰れない。Putin’s North Korea Visit ‘Directly Challenges US Regional Clout’

米国は韓国に、北を敵視し続けろと強要するくせに、米国自身は北の後見役になったロシアと戦争する気がない。韓国は、米国が露中側と対立する際の「使い捨ての戦士」にされる。この状況は、ウクライナが置かれている立場に似ている。米国の覇権はどんどん弱まっている。米国の同盟国であり続けることは、北や中露との対立を無意味に高めるばかりで、韓国の国益にならなくなっている。韓国の安全を保障してくれるはずの米国が、韓国の安全を阻害している。これは欧州や日本に関しても言える。Are International Institutions Viable in the Future World Order?

韓国が非米側に転向し、中露の仲裁で北との対話を始めると、朝鮮半島は少しずつ和解に向かっていく。対立する中国と印度が一緒にBRICSに入っていることに象徴されるように、非米側は対立を止揚していく世界システムになっている。米国が扇動したサウジとイランの対立を、習近平が和解に転じさせたのも象徴的だ。韓国が非米側に転じると、それだけで朝鮮半島は緊張緩和していく。非米側が作る新世界秩序

韓国が非米側に転換するには、在韓米軍の撤退が必要だ。次の米大統領がトランプになったら、日韓の安保タダ乗り論を展開して米国の方から在韓と在日の米軍を撤退していく可能性があり、韓国の非米側への自然な転向があり得る。以前のように、北朝鮮が孤立していた状況下では、在韓米軍の撤退が北朝鮮軍の南侵を誘発する懸念があったが、今後の北朝鮮は安保的にロシア(中露)の傘下なので、韓国と中露が水面下で交渉すれば、北がおとなしくしたまま在韓米軍の撤退を実現できる。最大の問題はむしろ米国の妨害だろう。しかし、米国は覇権が衰退し続けている。今後どこかの時点で在韓米軍は撤退し、韓国が非米側に転向し、中露の仲裁で韓国と北朝鮮が和解する。Putin In North Korea, Solidifies Anti-West Cooperation With Kim

余談だが、中露朝の結束というと、共産主義国家の結束のように解説する自称「(古い)識者」もまだまだいるが、かつてのスターリン主義ばりの共産主義を信じ、実践している国はない。農業集団化を強行し、スターリンで一応完成したソビエト連邦は市場経済を否定し、日本で言えば大化の改新後の公地公民・班田収受制度を主とした古代律令国家のような体制だった。いわゆる「社会主義革命」なるものは、いわば「古代化社会主義」でしかなかった(林道義「スターリニズムの歴史的根源」)。体制が内部から崩壊したのも当然だった。

この失敗に気づいた人物が鄧小平であり、日本訪問で「改革・開放路線」に自信を深め、米国経済の下請けをしながらも、経済発展に成功した。ゴルバチョフ書記長もペレストロイカを推進したが、どうにもならず、失敗し、ソビエト連邦は崩壊した。ウクライナはソビエト連邦崩壊後に成立した極めて新しい国であり、ゼレンスキー大統領が就任後に頭部ロシア系国民を弾圧しつつ、任期切れのまま統治している。

非米側陣営は、「共産主義」に苦しんだ諸国(ベトナムなどASEAN諸国含む)や中東産油国、米国の軍産複合体・諜報界によって「発展途上国」に抑えられてきた南米やアフリカの諸国、インドなどかつての非同盟諸国からなる。これらの諸国は概して資源・エネルギー、人口大国(消費大国)であり、ドルによらない国際決済制度の構築に尽力している。国際決済銀行が裏で指導しているとの指摘もある。

本題に戻すと、4月10日行われた韓国総選挙(300議席)では、与党「国民の力」は114議席から108議席と惨敗、最大野党「共に民主党」は改選前議席から19議席増えて175議席し、「祖国革新党」は比例に特化した戦いを行い、12議席を確保し第3党になった。野党192議席に対して与党は108議席と目も当てられない状況になってしまった(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM10EH90Q4A410C2000000/)。マクロン大統領が明日6月30日に行うフランス総選挙も、右派の勢いが続いていることから、似た結果になる公算が大きい(https://news.yahoo.co.jp/articles/2d8ed014cc8e2ff08f1dee7b0e71779ea57d84ce)。欧米文明は、米国がキリスト教国家としての指名を果たさないため、たそがれの時期に入って久しい。日本も経済の状態を象徴する円の価値が暴落し続けており、衰退の一途をたどっている。

なお、NHKの「フランス国民議会選挙1回目投票 極右政党が最大勢力になる勢い」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240630/k10014496961000.html)は、次のように報道している。フランスの国民議会選挙は小選挙区二回投票制の 直接選挙によって投票が行われ、任期は 5 年。 第一回投票(6月30日)で、有効得票総数の過半数か つ登録有権者数の 25%以上の票を得た場合、その候補者が当選する。 条件を満た す候補者がいない場合は、第二回投票(7月7日)が行われる。フランスを自滅させて、ウクライナ戦争から撤退するための自爆解散の疑いが残る。

フランスのマクロン大統領が電撃的に解散に踏み切った議会下院の選挙は、30日に1回目の投票が行われます。事前の議席予想では、極右政党の国民連合が大幅に議席を増やし最大勢力になる勢いで、マクロン大統領にとって厳しい見通しとなっています。(中略)

28日に発表された世論調査に基づく議席予想では、国民連合と、連携する候補が合わせて最大265議席と、いまより3倍近く増やして最大勢力になり、新人民戦線(マクロン大統領の解散・総選挙を受けて急きょ、結成された)が最大200議席で第2勢力となる一方、与党連合は最大で100議席で、議席を半数以上減らす可能性があるという、マクロン大統領にとって厳しい見通しが示されています。

これに関して話は少しそれるが、対米隷属国の日本では、通常黒海の終了後、秋の総裁選に向けた動きが活発になっている。自民党の菅前総理大臣は、月刊誌『Hanada』のインタビューで岸田総理大臣は派閥の政治資金をめぐる問題で責任を取っていないと重ねて批判した上で、党の総裁選挙に若手議員が立候補して活発な政策論争が行われることに期待を示し」た(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240626/k10014492571000.html)という言動に示されるように一波乱が起きる可能性がないではない。

しかし、とりわけ、米国諜報界(注:かつては軍産複合体と呼ばれ、現在は単独=一極=支配体制の維持=軍産複合体の利益の優先=か、多極世界体制=資本の論理の追及=への移行かで揺れているたディープ・ステート)の指示で、日本の政府(政権)を監視している外務省などの目を盗んで、多極世界に対応する首相は出てこないだろう。「地球俯瞰外交」と称してプーチン大統領や習近平国家主席(いずれも現在)と会談し、日露関係や日中関係改善にある程度は尽くした安倍晋三元首相が、米国諜報界から暗殺された(田中氏)と見られるからだ。

その下請けを頑張っている通信社や新聞社などマス・メディアも、国際情勢からすれば行動に移さなければならない対米隷属路線の転換から国民の目を遠ざけている。例えば、米国大統領選挙でのバイデン候補とトランプ候補の対決討論会で、トランプ氏は米国のインフレが未だに収まらず、国民の生活苦の責任をバイデン大統領に問いただしたが、長期のインフレやG7が認めたようなドル建て資産の凍結は、中長期的にはドルの信任の崩壊につながるが、そのことを日本のメディアは国民に伝えない。また、今の歴史的なドル安やユーロ安に対しては、日本政府が保有している米国債を徐々に売却する手が有効だが、政府の傘下にある日銀は「お手上げ」状態を装っている。

話をもとに戻すと、ロシアが3月29日、拒否権を行使して、北朝鮮に対する制裁の履行状況を調べる安保理の専門家パネルの延長を拒否し、事実上、北朝鮮に対する経済制裁を封じたのは、歴史的に朝鮮半島とつながりの深い中国と協力して、非米側陣営内で北朝鮮に改革・開放路線に誘い込み、経済発展を成し遂げさせるためであろう。北朝鮮と韓国は同じ、朝鮮民族である。農業国と言われていた韓国が1980年代に漢江の奇跡を成し遂げ、先進国の仲間入りの土台を築いたことから、北朝鮮も経済テクノクラートを上手く育てれば、経済発展の道が開ける。

そうして、非米側陣営の中で、韓国と北朝鮮が漸進的に和解と南北統一を遂げることは十分可能であると思われる。ただし、非米側陣営はマックス・ウェーバー=大塚史学の観点からは辺境文明側に属し、先進文明側の米側陣営が創造した基本的人権の尊重を中心とした欧米文明の政治・経済・社会制度を受容し、発展させる必要がある。韓国と北朝鮮の朝鮮半島は、周辺文明地帯に属し、欧米文明を超克できる文明の理念を創造しなければならない。韓国と北朝鮮が漸進的に和解と南北統一を遂げるための理念も、ここから来る。サイト管理者はいつまでも、世界が米側陣営と非米側陣営とに分裂し続けることは人類史上、全く好ましくないと思っている(https://www.it-ishin.com/2020/08/16/historical-sociology-2/)。

その理念とは、欧米文明を創造したアタナシウス派キリスト教(父・子・聖霊は同じ存在の別の表れとする)ではなく(注:科学に抵触する内容があるため)、アタナシウス派から異端とされ続けてきたアリウス派キリスト教(イエス・キリストは神ご自身ではなく、神の「被造物」であるとする)の系譜を引くものであり、宗教的情熱を高揚させ、科学的精神を深化させるものだろう。

バイデン・トランプ候補の第一回討論会の結果−トランプ氏の圧勝

2024年11月5日火曜日の大統領選挙に向けて日本時間6月28日に共和党、民主党の党大会前で、徴収者なしという異例の第一回討論会が行われたが、民主党関係者に不安を抱かせるトランプ候補圧勝の結果になったようだ。NHKは、「短期的にはトランプ氏にプラス」として次のように報道している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240628/k10014494251000.html)。

討論会で、バイデン候補(現職大統領)は要するに、「トランプ政権時代の経済は失業率が高く、ひどい状況だった」と言っているが、これは新型コロナの影響で米国経済が麻痺したこととも大いに関係している。しかも、過去と比べて異常に高かったわけではない。新型コロナ騒ぎが落ち着くにつれて米国の失業率も下がっているが、現在は、ウクライナ戦争に伴う対露経済制裁の返り血を浴び、米国はコストプッシュ・インフレに苛まれ、国民は購買力の低下で生活苦にあえいでいる。参考までに、世界経済のネタ帳から、米国の失業率の推移を下図に示しておく(https://ecodb.net/exec/trans_image.php?type=WEO&d=LUR&c1=US&c2=JP&s=&e=)。

https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LUR&c1=US&c2=JP&s=&e=

専門家「短期的にはトランプ氏にプラス」

討論会について、アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授は「2人とも言っていることがかみ合わなかった。政策そのものよりもそれに対するパフォーマンス、立ち居ふるまいがポイントとなっていた」と述べました。その上で「トランプ氏が立ち居ふるまい含めて元気に見えたのはポイントだった。メディアが『バイデン氏が負けた』と結論を出していくとよけい大きくなっていく。その意味で短期的にはトランプ氏にプラスになるような討論会だった。トランプ氏の強さが目立った」と指摘しました。また、トランプ氏がウクライナ情勢をめぐって「私が大統領に選ばれれば就任前にプーチンとゼレンスキーの戦争に決着をつける」などと発言したことについて、「トランプ氏になったらウクライナ戦争は強制終了になりアメリカからの支援が途絶える可能性があるということをトランプ氏が話をしたのは大きい」と指摘しました。

また、年齢面の不安が指摘される中、バイデン氏はかぜをひいていると陣営関係者が説明したと伝えられていることについては「バイデン氏が健康不安、高齢不安を打ち消すことができたかというとそうではなく、逆だと思う。バイデン氏とトランプ氏は3歳の年齢差だがむしろもっとこの差が大きく見えた。もっともバイデン氏がやってはいけないことは討論会に健康不安で出てくることで、もしかぜを本当にひいていたとしたらマネージメントとしてよくない。戦略ミスだ」と指摘しました。その上で、「今後、バイデン氏の健康不安の話が大きくなっていった場合、民主党の中で党大会までにバイデン氏を替える話がでてくるかもしれない。これから1週間、2週間の動きは注目しないといけない」と述べました。

恐らく、トランプ氏はウクライナ戦争について、ウクライナのため、民主主義のためとは思っていないのだろう。なお、トランプ陣営はウクライナ戦争集結策としてウクライナをカトリックを信奉するヨーロッパ系国民の多い西部とロシア正教を信奉するロシア系国民の多い東南部に分割するという気球を上げたが、5月20日で任期の切れたゼレンスキー大統領は、「トランプ氏と会いたい」と言ったり、「トランプ氏はウクライナ戦争のことを理解していない」と言ったりするなど、混乱している。なお、バイデン氏が健康不安説(最悪の事態は認知症の懸念があること)を打ち消す医学的データを提出しない限り、大統領選挙に向けて次第に不利になっていくだろう。

基本的には、民主党支持紙として知られる米国のニューヨーク・タイムズも、「再選を目指すバイデン大統領(81)の不安定さを指摘し、バイデン氏に選挙戦から撤退するよう求める社説を掲載」した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240629/k10014496561000.html)。

【追記】今回の討論会は、民主党よりの米国メディアが一斉にバイデン氏に対して、民主党の大統領候補としては失格の烙印報道を行っていることにも表れているように、「認知症」を患っていると見られているバイデン大統領を失脚させるための民主党上層部の党内クーデターのようだ。田中宇氏は本日6月30日公開の「米民主党でバイデン下ろしの内乱」と題する投稿記事(https://tanakanews.com/240629biden.htm、無料記事)で次のように指摘している。

今回の討論会は、トランプを不利にするために企画したという表向きと裏腹に、バイデンを不利にする仕掛けが施されていた。テレビの画面が二分され、相手方が話している間、もう一人がどんな表情をしているかがわかるようになっていた。トランプは黙っている時、バイデンの話を聞いて反論を考えている様子が見て取れた。対照的にバイデンは、トランプの話を聞いているのか怪しい感じで、うつろな目をして口を半分開けたまま表情が凍りつき、認知症患者っぽい様相を呈していた。2人の対照性が全米に放映され続け、明らかにバイデンを不利にしていた。バイデンは認知症なのだから、黙っている時の表情を映し出してはダメだと事前にわかっていたのに、このありさまだ。CNNは、党内クーデターに加担している。討論会の直後からバイデン下ろしを始めた他のたくさんの民主党系メディアも同様だ。US Presidential Debate: Psychiatrist Analyzes Mental Health and Body LanguageA Fumbling Performance, and a Panicking Party

バイデン側はクーデターに対して徹底的に抵抗するだろう。民主党内が激しい暗闘・内紛になる。トランプが嫌いだから民主党に入れていた人々が内紛に愛想を尽かして民主党を離れ、トランプの優勢が加速しそうだ。しかも、バイデン以外の誰が民主党候補になってもトランプに勝てそうもない。政治技能的にみて、最も勝てそうなのはカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムだが、バイデンやトランプに比べて全米的な知認度が低い。制度的な無理が少ないのは、副大統領のカマラ・ハリスが大統領候補に昇格することだが、ハリスは無能で不人気であり、バイデンの方がましなくらいだ。More Citizens Trust Trump Over Biden To Protect Democracy

バイデン大統領が大統領選にこだわるのは、実はかなり以前から、バイデン家はオバマ政権時代にウクライナで巨額の不正行為を行っているとの観測が流れており(注:息子のハンター・バイデン氏はコカイン中毒ながら銃を所有していたことで有罪になっているが、それは表向きの話)、「(同家は)今のウクライナのゼレンスキー政権が、米国から供与された戦費を着服する巨額不正につながる、米ウクライナ間の関係に連座している」(田中氏)。おりしも、国家レベルの機密情報暴露サイト・ウィキリークスの創設者であり、英国で収監されていたジュリアン・アサンジ氏が米国との司法取引で釈放されているhttps://www.bbc.com/japanese/articles/c7228l3x561o)。アサンジ氏がウクライナ・ゲートなどを暴露する可能性も否定できない。

今回の民主党内部のクーデターは、米国を支配している諜報界(注:昔は軍産複合体、現在はディープステートとも呼ばれ、単独覇権体制維持派と資本の論理を基盤にする隠れ多極派の対立抗争が展開されているという)が引き起こした可能性が強いが、トランプ氏はディープステートの解体を公約にしている。なお、7月11日には、ニューヨーク地裁での不倫口止め料裁判で有罪にされたトランプ氏に対して量刑が発表される。収監ということになれば、控訴は可能だと思うが、バイデン政権による司法制度の政治的利用ということで、トランプ支持者が決起し、南北戦争前夜になるかも知れない。

金地金相場の推移

金地金相場はやや高値で安定推移している(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。

 

 

 

 

 

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