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米国「新保守主義」(ネオコン)の元祖はトロツキスト系左翼知識人

副島隆彦・佐藤優の対談本「崩れゆく世界ー生き延びる知恵」を拝読した。一番、驚いたのは米国で始まった「新保守主義」の創始者達が、ヨシフ・スターリンとの権力闘争に破れ、スターリンの刺客によって惨殺されたレフ・トロツキーの流れを組んだ左翼系知識人達であったということだった。

米国の政治思想の潮流に詳しい副島氏によると、「新保守主義」(Neo Conservative=ネオコン)の元祖はジミー・カーター大統領(在任期間1977〜1981年)の顧問を務めたズグビネフ・ブレジンスキー。ただし、彼は別格(デイヴィッド・ロックフェラーの直臣)として、元祖ネオコン思想家の代表はアーヴィング・クリストル、ノーマン・ポドレーツ。

同書によると、この二人の周りに、ユダヤ系の数百人の米国左翼知識人が結集、「パーチザン・レビュー」(米国共産党の機関誌)を読んでネオコン思想を形成していったという(本書221頁以下)。「彼らトロツカイストの青年たちは、ソビエト憎しの情熱が高まって、それで80年代レーガン政権時代に思想転換(世界同時革命を信条としたトロツキズムから米国流民主主義の世界輸出を掲げる新保守主義思想への転換)して、政府高官になっていった(229頁)」。これが、初代ネオコン。ということで、ロナルド・レーガン大統領がソ連を「悪の帝国」と呼んだ理由が分かる。

Permanent Representative of the North Atlantic Treaty Organization (NATO), Victoria Nuland, addresses a press confrence at the US Embassy in Kabul, 25 September 2007.  Victoria Nuland, Permanent Representative of NATO and Karen P. Tandy, Administrator of the Drug Enforcment Administration (DEA) are in the Afghan capital on an official visit.               AFP PHOTO/MASSOUD Hossaini (Photo credit should read MASSOUD HOSSAINI/AFP/Getty Images)

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なお、今のネオコン世代は第4世代のネオコンであり、今はデイヴィッド・フラム、ロバート・ケーガンが重要な役割をしているという。ケーガンの妻が、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官補(そのカウンターパートが自民党の政策責任者である稲田朋美政調会長)。ヌーランド国務次官補は、2016年の大統領選出馬表明した第四世代ネオこン派のヒラリー・クリントンの子分。同書によると、ヒラリー・クリントンは米国の膨大な三つ子の赤字をチャラにするため、中東及び極東で「Large War」を画策している。副島氏によると、そのカウンター・パートが安倍晋三首相が徴用している稲田政調会長であるという。

なお、本書で疑問なのは、自由市場主義者で小さな政府を志向するリバータリアンである副島氏が、「ケインズ経済学」を経済学の主流としてその再建を主張していること。財政論の大御所であるリチャード・マスグレイブが財政の機能として掲げた、①資源の再配分(公共投資)機能②所得再配分機能③所得再配分機能ーのうち、所得再配分機能を、「トヨタたち輸出大企業はよその国で裁判とか労働争議をいっぱい抱えながらも、必死で利益を上げている。そのすごさを抜きに、大企業と金持ちに課税強化をしたら、日本の文化・教養・芸術がますます死んでしまう」(281頁)として嫌っている。

亀井静香衆議院は口癖のように、大企業は内部留保を沢山抱えながらも、大手銀行などは税金を払っていないと批判している。天保の大飢饉当時、大坂町奉行所の元与力大塩平八郎(中斎)とその門人らが起こした江戸幕府に対する大規模な反乱の首謀者である大塩平八郎を評価する亀井氏に、サイト管理者は賛同する。

また、本書253頁に「トリクルダウンなくして資本主義の発展はあり得ない」との見出しが付き、佐藤優氏が東京拘置所にエアコンがつくようになったことを例に挙げ、副島氏が「社会が富を蓄積して公共部門(政府部門)にも分配が生まれたからですね」と指摘している。しかし、トリクルダウン説というのは元来、「資本家(資産家)層の生産・購買活動のおこぼれを労働者階級が頂戴する」ということで、新自由主義の屁理屈の柱のひとつである。現在、大企業は250兆円規模の内部留保を抱えていて、大企業の社員にボーナスという形で還元してはいる。しかし、ボーナスというのは一時的なものであって、固定給与の上昇には結びついていない。また、ボーナスという形で「恩恵」を受けられるのは大企業・正社員と労働者階層(従業員層)の一部であって、非正規労働者にまで及んでいるとは言いがたい。

ケインズ経済学の再興を唱えながら、新自由主義の一部を借用するというのは、首尾一貫性に欠けるのではないか。今、最も重要なのは米国で歪められたケインズ理論を再興し、市場原理に基づいて市場経済をコントロールしつつ、有効需要の喚起によって経済成長を実現するアジア型社会主義理論ではないか。

なお、副島氏はことあるごとに、「今、世界が不安定になっている最大の原因は、この危険集団である第4世代ネオコンと統一協会(注:世界キリスト教神霊協会=統一教会、Unification Church)」とヒラリー派です」としているが、その創始者である文鮮明師(1920〜)は2006年3月、次のように語っている。

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二十一世紀の現代科学技術は、今、ベーリング海峡にトンネルを通す程度のことは問題にならない水準にまで発展しています。工事費用も問題になりません。世界が戦争という名のもとに費やしているお金がいくらでしょうか。人類は今、歴史と後代の前に、実に恐るべき罪を犯していることを自覚すべき時です。

一つの例を挙げましょう。アメリカが過去三年の間、イラク戦争につぎ込んだ戦費がどのくらいになるか御存じですか。約二十兆円(二千億ドル)に迫っています。

それだけ予算があれば、ベーリング海峡プロジェクトを完成しても余るお金です。なぜ私たちが、互いに殺し合う戦争に、このように途方もないお金をつぎ込む愚かな蛮行を続けなければならないのでしょうか。聖書のイザヤ書第二章四節の教えのように、今や、「銃や刀を溶かして、すきとくわを作る」時です。

人類はもうこれ以上、戦争のための戦争に子女たちの命を犠牲にし、天文学的なお金を費やす悪業を繰り返してはなりません。

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基本的に、文師はケインズ経済学支持者であるように思われる。また、サイト管理者の数少ない経験によると、文師は冷戦終結後の「日本の右傾化」を非常に心配していたということである。こうした事実を踏まえ、何故、副島氏の上記引用の結論になるかを解明することが重要と思われる。

 

 

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