統一地方選挙緒戦での野党大敗を続けさせるな

注目された北海道知事選、大阪ダブル選、浜松市長選で、安倍晋三内閣が望む結果がもたらされた。知事選で唯一の与野党対決になった北海道では前夕張市長の鈴木直道氏が当選した。元衆議院議員で小沢一郎自由党共同代表の冤罪事件のあおりで衆議院議員を辞した石川知裕氏は敗北した。大阪では予想通り維新の勝利を際立たせるために「ダミー立候補」した自民候補を破り、維新の候補が知事選、市長選で勝利した。浜松市では資本(大企業の)利益のための「民営化」の先駆けになる水道民営化を推進してきた鈴木康友前市長が再選を果たした。こうした流れを阻止しなければならない。

衆参両院議院で自民党、公明党が自公の支持勢力の支持率と離れた膨大な数の議席数を持つため、自公勢力の横暴が続き、国民はこれに対する抵抗・対抗力を失っている。

支持率と議席数が異常にかけはなれているのは、➀小選挙区制をどうにゅうしているにもかかわらず、自民党が第二自民党の「創設」を目指し、野党側に野党分散のための密偵を送り込んでいるうえ、自民党の意向を忖度して野党議員の中に自発的に第二自民党員になっている議院がいる②マスコミが元号改正報道(特集)などで国民の目から政治を意図的に遠ざけている(なお、命令して国民の間に和合の精神が生まれるわけではない)③その結果、反自公勢力は政治に失望し、主権の行使行為である選挙に行かないため、低投票率になるが、自公側は組織票を有しているため全員選挙に行くため、必然的に自公側が選挙に勝つ④この悪循環が拡大生産される−ためである。

行き着くところは、自民党が、維新と国民民主に野党議員の中の隠れ自民党員を結集させて、第二自民党を「創設」を画策させているため、実質的な独裁政権の樹立、民主主義(元々、日本の民主主義は形だけのものだった)の完全な崩壊(国民の自由からの逃避)である。その結果として、財政機能の破綻による経済社会の破綻、公的年金制度を柱とする社会保障制度の崩壊に行き着く。

日本国憲法上では国民主権の時代であるから、一切の責任は国民が負わなければならない。しかし、「政治家」という職業が存在する。高度に専門的な職業である。だから、日本国崩壊の根本的責任は国民にあるが、第一義的責任は政治家にある。

小沢一郎自由党共同代表は、国民民主党を自民から脱会するために自由党と国民民主党との統一会派を組んだはずだが、自民党側の強力な妨害・阻止行動に遭って、意向の実現が難航しているようだ。

問題は二つある。ひとつは、理念と政策だ。理念は「弱肉強食から共生共栄へ」であり、政策としては、➀新自由主義から完全に決別する②本来の財政政策(所得再配分機能の充実、資源の適正な配分と社会保障政策の見直し・充実、国民生活に役立つ経済効果の大きい思い切った財政出動による景気回復)の取り戻し③原子力発電回帰の阻止と新エネルギー開発の徹底取り組み③日本の経済社会を破綻させる人口減少社会の加速を阻止するための超少子・高齢化対策の徹底化と結婚・婚姻制度の新たな次元への昇華−などだ。

その象徴として当面、今年10月からの消費税率10%の引き上げへの対抗策としての消費税率5%への引き下げを打ち出し、真性統一野党結集の錦の御旗とすればよい。自公勢力は野党の再結集の芽を積むため、7月下旬に予定されているとされる夏の参議院選に、消費税増税の再延期を錦の御旗に衆参ダブル選挙を仕掛けてくる公算が大きい。その場合の対抗軸としても、野党側は消費税率の引き下げ(思い切って創設当時の3%に引き下げても良い)を打ち出すべきである。

 

 

なお、日本経済は景気停滞局面に移行している。日本銀行が発表した三月の企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業で前期より7ポイント低い12に落ち込み、2四半期ぶりに悪化した。下落幅は6年3か月ぶりの大きさになる。非製造業も3ポイント悪化して21だった。

米国が対中貿易政策を発動したため、取り敢えずは中国その悪影響を受けているが、同国は今や、世界の生産拠点になっている。その中国を敵視する政策は、敵視国にも跳ね返ってくる。経済に疎いトランプ米大統領が、大統領として取るべき政策ではない。欧州や、好調だった米国でも経済に陰りが見えてきたのは当たり前だ。日本もアップルのiPhoneに重要な部品を供給しているメーカーに悪影響が出ているのを始め、今後は米国の対中敵視政策の影響が強く出てくる。10月の消費税増税は出来ないことである。

これが、一つ。第二は、日本共産党が、自公勢力の対決姿勢を維持し、政策は変えずに、ドイツ社会民主党のゴーデスベルグ綱領を参考に、共産主義に代替する新たな理念を打ち出すべきである。同党はいまや、資本論ではなく近現代経済学をもとに経済政策を打ち出しており、エンゲルス・レーニン・スターリンの弁証法的唯物論は批判に到底耐え難く、史的唯物論(唯物史観)も普遍的妥当性も史実との適合性も見出し得ない。

こうした布石を打たないと、真性野党再結集は不可能であり、日本国の没落は必至ある。

 

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