原子力に希望を持ち京都大学で原子力エネルギーを先行している中、原発が必然的に産出する放射性廃棄物質の恐ろしさに絶望し、原発の廃炉技術の確立に生涯をかけている京都大学元原子炉実験所助教の小出裕章氏の「フクシマ事故と東京オリンピック」が本日発売。
小出裕章氏の著書は素人にも丁寧で分かりやすく、原子力発電所(原発)の製造過程、コスト、仕組み、そして何よりも人類を滅亡に陥れる放射性廃棄物の恐ろしさを説いてくれる。
その小出氏が「フクシマ事故と東京オリンピック」を本日発売する。本著は福島第一原発の事故がまだ全く終息せず、いまなお惨禍をフクシマから全世界に撒き散らしていることを明確に指摘したものだ。
安倍晋三首相がブエノスアイレスで「Fukushima is under control」と大嘘をつき、関電疑獄での原発マネーと同じ性格を持つオリンピック利権マネーを、恐らくは大量にばらまいて、東京に2020年オリンピックを誘致した。開催は目前に迫っている。
しかし、フクシマ原発事故は終息しておらず、東京電力は「処理水」という名の汚染水をタンクに貯蔵しているが、その数1000基に達し、それでもまだ足りなくなってきたため、漁港から海洋に廃棄しようとしている。このまま無責任・無策を続けていると、世界から来日するアスリートの健康にも大きな害悪を及ぼす恐れが高い。
今はフクシマ原発事故の終息に国家的プロジェクトで取り組むべきであって、今となっては中止するのが正しいと思われる。こうした問題について、原子力理論を踏まえた明快な問題提起と対応策を示してくれるのが本書の狙いだ。アマゾンの紹介記事を引用しておきたい。
【7ヵ国語の訳文掲載】 専門家の立場から40年以上原発の廃止を訴え続ける元京大原子炉実験所助教・小出裕章氏、待望の新刊。 「罪のない人を棄民したまま『オリンピックが大切』という国なら、私は喜んで非国民になろう」 ──悔恨と怒りの思いを4600字余の言葉に込めた覚悟のメッセージ。 59頁の写真図版と7つの言語で世界に告発する、原発事故9年目の実情と東京五輪という犯罪的愚行。152頁オール4色 。 今、私たちがやるべきことは五輪ではない! ──オリンピックは、いつの時代も国威発揚に利用されてきた。近年は、箱モノを作っては壊す膨大な浪費社会と、それにより莫大な利益を受ける土建屋を中心とした企業群がオリンピックを食い物にしてきた。しかし、今もっとも大切なのは、「原子力緊急事態宣言」を一刻でも早く解除できるよう、国の総力を挙げて働くことである。フクシマ事故の下で苦しみ続けている人たちの救済こそ、最優先の課題である。
──(本書より) 世界の人々へ伝えたい。 つらい事実だけれど、これが日本の実情です。 だから、五輪は返上しなければならない! ■出版の経緯 2018年7月、元京大原子炉実験所助教・小出裕章氏は、ひとりの日本人女性からの依頼を受け「フクシマ事故と東京オリンピック」と題する文章を書いた。 その後それは英訳され、同年10月、世界各国のオリンピック委員会などに書簡として送られた。今回、その原稿を基に一部加筆・修正。初めてまとまった形で出版される。
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