日本一新の会代表で日本を代表する小沢一郎氏と苦楽をともにして来られた平野貞夫氏が「自由民権革命の再興」を訴えられた。要するに、戦後の上から与えられた「民主主義」ではなく、国民・市民の手による民主主義革命が必要だということだ。
「日本一新運動の原点450号」(今年の最終号)でのことだ。桜を見る会スキャンダルの重要なこととして平野氏は、「一連の出来事のなかで、私がもっとも注目したのは、安倍首相 のさまざまな言い訳で、参議院本会議と記者会見での発言だ。 「山口ジャパンライフ元会長と会ったか」の追求に、「お会いしたことはない」との答がこの事件を象徴している」と述べている。反社会的人物に対して内閣総理大臣が敬語表現を使用したことに、安倍晋三首相の日本国首相としての器のなさ、首相という最重要の職務・責務の失格を端的に示していると指摘しているのである。
そのうえで、年明けには、山口氏と安倍首相の深いかかわりが明らかになり、政局は大混乱に陥ると指摘している。桜の事件は公職選挙法、政治資金規正法、財政法に違反する刑事事件である。これを野党が追及したのは正しい。
しかし、平野氏は権力の私物化を容認する土壌が野党と称する政党側にも存在していることを間接的に指摘し、「『権力の私物化』の 容認が、わが国の政治文化の悪癖であり、明治憲法も戦後民主主 義も〝与えられたもの〟で、市民革命を経ていない国の悲劇だ」と喝破、「自由民権革命の再興」が必要と結んでいる。
ただし、平野氏は、立憲民主と小沢氏の所属する国民民主が桜のドサクサに紛れて、衆院外務委員会で日本の経済社会を破壊する日米FTAの第一歩である「日米貿易協定」を採決し、国会での批准に協力したことの深刻かつ重要な問題にまでは指摘していない。自由民権革命の再興を強く訴えるものの、「臨時国会の会期末、私は野党統一会派の国対幹部から会期延長 の動議提出について相談を受けた」と述べるなど、立憲、国民、社保、社民の野党の統一会派、さらには新党結成に期待をしているようである。
しかし、問題は政党の議員の数の過多ではなく、理念と政策である。1989年のゴルバチョフ大統領とブッシュ大統領(親)のマルタ会談で冷戦が集結してから共産主義の敗北が明らかになり、世界はグローバリズム一色になった。しかし、このグローバリズムは、ケインズ政策に反旗を翻した新古典派新自由主義を理論的基礎とし、その帰結は「カネだけ、今だけ、自分だけ」の「利己主義」「強欲主義」の赤裸々な実現しかなく、多国籍企業と軍産複合体を優先し、世界の経済社会を大格差社会に陥れた悪の元凶なのである。
重要なことは安倍政権打倒だけではなく、この新自由主義に基づくグローバリズムのおぞましい理念・政策を抜本転換し、共生共栄友愛主義に基づく幸福で平和な世界を実現することである。このことが分かっているのはれいわ新選組と日本共産党しかない。ただし、日本共産党はマルクス・レーニン主義の日本への創造的適用は出来ていない。要するに共産主義という呪縛から開放されていないのである。
これらの問題を解決し、平和と共生・オールジャパンの提唱する共生主義に基づく政策連合の形成こそが年末から来年にかけての課題であり、それのみが日本の夜明けをもたらす。野党と称する政党が確かな野党ではなく、安倍政権の政策を先取りする日本労働組合連合会(連合)を支持母体とした与党補完勢力に過ぎない現状ではその道のりは遠い。しかし、道は遠く険しくとも、自由民権革命=民主主義革命を日本の国民、市民の手で勝ち取っていかなければならない。
」