政府の新型コロナウィルス対策、根本的欠陥

政府=安倍晋三政権の要請を受け専門家会議(座長=脇田隆宇・国立感染研究所)が新型肺炎防止対策を公表したが、新型コロナウィルス汚染拡大防止対策に取り組む方針はなく、根本的に欠陥があると言わざるを得ない。

専門家会議が公表したのは、敢えて言えば「新型コロナウィルスによる新型肺炎重篤化阻止対策」に過ぎない。問題の核心は、政府=安倍政権が水際防止対策に失敗したことを受け、国内での新型ウィルス拡散防止対策に力点を置かなければならないのに、言わばその結果である新型肺炎対策に終始していることだ。

新型コロナウィルスは感染力が非常に強い。洋上に隔離された(捨てられた)豪華客船のダイヤモンド・プリンセス号でPCR検査が当初、新型肺炎の疑いのある乗客・乗員に限られ、疑いのある乗客・乗員に接触した他の乗客・乗員に対するPCR検査をしなかったため、感染者は急増した。厚生労働省の発表によると新型コロナウイルスに関するPCR検査で陽性が確認されたのは、延べ1,723名の検査中454人(26.3%、うち無症状病原体保有者は延べ189人)。ダイヤモンド・プリンセス号は第二の武漢市になった。米国など海外諸国は日本への渡航の自粛を自国民に要請している。

新型肺炎の患者であることが判明すれば、その患者に接触した家族を始め同僚も感染し、新型肺炎にかかる可能性が高い。特に、高齢者や持病のある方々、妊婦、免疫力が弱い子どもたちがそうである。専門部会では、➀発熱など風邪の症状が4日以上続く場合はまず、学校や会社を休む②各地の保健所に設置している24時間体制の「帰国者・接触者相談センター」に相談し、センターが指定する医療機関で受診する-ことを主眼とした対策を公表した。しかし、新型肺炎にかかっている患者を発見することよりも、新型コロナウィルスに感染している国民を把握することが一番大事であることは、誰が考えても分かることである。もっとも、情報公開が徹底されておらず、国民は疑心暗鬼に陥っている。

そのためには、感染者が見出された市町村でのPCR検査を実施することが重要であることは疑いがない。遺伝子レベルでの検査であるため、時間と費用がかかるのは確かだが、それを惜しんで検査をしないというのでは本末転倒である。何のために、国民は消費税を柱とする税金を納付しているのか。PCR検査を行い、陽性の患者は隔離して現状、対症療法ではあるが可能な限り適切な処置を受ける。陰性だとしても、陽性になるケースが跡を絶たないことから、一定の期間、適切な場所で経過観察をする。

陽性であっても陰性であっても、休業補償はしなければならない。政府がざるに水を入れるような「水際防止対策」しか採らなかったため、その代償が大きくなる。政府=安倍政権は第二次補正予算案を編成すべきだ。政府=安倍政権が「新型肺炎拡大防止」対策しか講じないのは、うがった見方をすれば、第二の感染国になった日本でこれ以上の感染者数の増加をみかけだけ極力少ないようにするためだろう。無症状病原体保有者は公表しない方針であると見られる。ダイヤモンド・プリンセス号の場合は、諸外国が激怒しているからある程度の真実は公開せざるを得ない。

しかし、そんな本末転倒の対策しか行わないのであれば、新型コロナウィルスへの感染拡大とそれによる新型肺炎患者の急増、重篤化をもたらすことは火を見るより明らかだ。その場合は、米国を始めとする海外諸国の怒りをさらに増幅し、夏のオリンピック、パラリンピックの開催は中止に追い込まれるだろう。

現に、3月1日に開催予定の東京マラソン大会では一般のランナーの参加は認められなくなった。もっとも、馬鹿げたことに、小池百合子東京都知事など主催者側は大会参加料(フルマラソンの国内ランナーは1万6200円、海外ランナーは1万8200円)や寄付金は返金しないという。これは、詐欺以外の何物でもない。それに、プロの選手なら新型コロナウィルスに感染しないという保証はあるのか。

また、宮内庁は17日、23日の天皇誕生日に皇居で予定していた一般参賀を中止すると発表した。新型コロナウィルスの感染拡大に備えるための措置であることは明らかだ。大きな大会・集会は続々中止に追い込まれている。まともな新型コロナウィルス感染防止対策・新型肺炎対策の確立が急がれる。

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