ダイヤモンド・プリンス号の感染予防対策は滅茶苦茶

ついに、新型コロナウイルスの集団感染が起きた豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で80代の男性と女性が死亡した。本サイトでも感染予防対策の劣悪さを指摘してきたが、「ダイヤモンド・プリンセス号」に立ち入った神戸大学感染症内科の専門医・岩田健太郎教授がYouTubeにアップした動画が、大変注目されている。

厚生労働省は20日、新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で乗客の日本人2人が死亡したと発表した。神奈川県の80代男性と東京都の80代女性で、いずれも新型ウイルスに感染、新型肺炎に罹患していた。クルーズ船の乗客が死亡したのは初めて。国内で感染者の死亡が確認されたのは、東京城南地区の個人タクシー業界が屋形船で開いた新年会に参加した個人タクシーの運転手の義母を含め3人となった。

豪華客船だが新型コロナウィルスの感染源になったダイヤモンド・プリンセス号

ダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナウィルスに感染者が急増し、死者がついに出たのは、政府=安倍晋三政権の対策が滅茶苦茶だったからだ。対策の基本は、➀3711人の乗客・乗員全員に対してPCR検査を行う②検査で陽性と判明した患者は船内ですぐに「レッド・ゾーン」に隔離し、設備の整った医療機関に搬送する②陰性と判定された乗客・乗員は船内では「グリーン・ゾーン」に移動、その後は陰性でも後に陽性に転じるケースが確認されているからひとまず下船して、自宅等に帰宅するのではなく、整った施設で経過観察を行う-というのが対策の基本である。

ところが、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船した神戸大学感染症内科の専門医・岩田健太郎教授によると同船では、レッド・ゾーンもグリーン・ゾーンもなく、乗客・乗員はグチャグチャの状態で船内に居住していたという。こうした状況なら、非感染者は感染者から容易に感染する。次は、同教授がYouTubeにアップした動画である。

岩田教授は後にこの動画を削除したようだが、第三者が再アップをしたようである。朝日デジタルによると、「日本外国特派員協会(東京都千代田区)で開かれたテレビ会見で、動画を削除した理由について(岩田教授は)『船内の環境が向上し疫学的データも公表されたため。ただ(防疫対策の不備から船内自身に)感染のリスクが存在しているという私の主張は変わらない』と説明。さらに『私の意図は、誰か個人を批判することではなかったが批判しているという意見があった。誤解が続かないよう動画を削除した。合理的、科学的な議論が状況を変えると思っている」と船内感染防御対策のまずさをなお訴えている。岩田教授は、厚生労働省の対策のまずさを勇気をもって訴えた。

厚生労働省は、横浜で乗船し、香港で下船した乗客が新型コロナウィルスに汚染されていることが判明した時点で、上記の対策を採るべきであった。そうした発想がないから、被害が急拡大し、ダイヤモンド・プリンセス号が「第二の武漢市」と米国をはじめとする海外諸国や海外メディアの批判を浴びるようになったのであろう。

なお、立正佼成会系の立正佼成会病院で2月18日、新型コロナウィルスによる新型肺炎に罹患している患者が発生していることが同病院のサイトで明らかになった。同病院には、中国人をはじめ外国人も多数、診察・治療に訪れているという。同病院では既に、外来患者の来院を拒否する措置を取ったが、感染経路を明確にしたうえで、入院患者はもとろん医者・看護師・職員に対してPCR検査を行うべきだ。今後は特に、病院や個人医院での院内感染防止対策が急務だ。

新型コロナウィルス感染の終息は全く見えない。東京でのオリンピックやパラリンピックの開催の変更を求める声もついに、英国などから上がってきた。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機構(WHO)にはオリ・パラ利権を優先させるのではなく、選手の選手生命を考慮して懸命な判断を求めるところである。

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