延期に追い込まれる東京オリンピック、中止も

朝日デジタル3月23日午前11時30分掲載の記事で、「国際オリンピック委員会(IOC)は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京オリンピック(五輪)の延期を含めた検討を始めると明らかにした」と伝えた。もはや、東京オリンピックやパラリンピックは延期が当然になったが、国際スポーツ大会の日程が窮屈なうえ、政府=安倍政権がPCR検査などの抑制を続けており、日本での新型コロナウイルス感染者を過少に見せかけていることが明らかになれば、国民はもちろん世界の諸国を欺いたことになり、中止に追い込まれる可能性も高い。

これより先、オリンピックの花形種目である競泳の主役である米国水泳連盟は20日、米国オリンピック委員会・パラリンピック委員会(USOPC)に公開書簡を送り、7月24日に開幕予定の東京オリンピック(五輪)を1年間延期することを(国際オリンピック=IOC=などに)働きかけるよう求めた。また、共同通信も「カナダのオリンピック委員会とパラリンピック委員会は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に今夏の東京オリンピック・パラリンピックに選手団を派遣しないことを決めたと発表した」と伝えた。

今後、カナダに続きオリンピックどころではないとして、大会出場を見送る国々が相次ぐことが予想される。こうした事態に、日本でも東京オリンピック・パラリンピック組織委員会( 会長・森喜郎元首相)や政府=安倍政権、東京都(小池百合子都知事)らも延期やむなしとの腹を固め、どの程度延期し、いつ再開するかを水面下で検討し始めた。聖火リレーは「東京オリンピック開催の火を消さない」ために暫く継続するが、延期決定とともに中止になるだろう。

延期に当たって検討すべき課題は、IOCや日本の大会組織委員会、政府=安倍政権、東京都などオリンピック利権者たちにとって、➀東京オリンピック、パラリンピック開催延期による莫大な放映権を米国のテレビ局など世界のテレビ局に販売した国際オリンピック(IOC)の損害賠償金などの賠償費用、国内外からのホテル予約や観客席キャンセル料などの損失を如何に最小に抑えるか②ここ1〜2年は国際スポーツ大会が相次いでおり、その「間隙」をどのようにして確保するか-の順番になるだろう。

常識的に見て、東京オリンピックやパラリンピックの中止は有り得ないと思うだろう。しかし、政府=安倍政権と、そのもとで動いている厚生労働省ならびにその傘下にある新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、日本国内での感染者数を過少に見せるため、国際保険機関(WHO)が最も重要だとしている感染者を特定するためのPCR検査を柱とした各種の検査を妨害してきた。

厚労省によると、2月18日~3月20日までの国内(国立感染症研究所、地方衛生研究所等)における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施件数は38,601件で、1日あたり1206件。これには、感染者を国外感染者扱いにしてきたプリンセス・ダイヤモンド号でのPCR検査が含まれているかはどうも定かではない。厚労省のサイトでは、検査数の内訳は、➀国内での検査(ダイヤモンド・プリンセス号は3月1日に沖縄県那覇港に入稿して入国手続きを行ったから同号での感染者数は国内での感染者数に入れるべきだが、厚労省は同号での感染者数を国内での感染者数には入れていない)②中国湖北省の武漢市からチャーター便で帰国した日本人の検査③空港で入出国手続きを担当する日本人職員-としか書かれてないからだ。WHOが感染拡大の根本はPCR検査などの検査であると言っているから、ダイヤモンド・プリンセス号での検査数は、検査数に忍び込ませている可能性は否定しきれない。

こうした政府=安倍政権の検査抑制方針は一貫して続いている。ということで、その傘下にある専門家会議の19日の現状判断でも、「日本国内の感染の状況については、3月9日の専門家会議の見解でも示したように、引き続き持ちこたえていますが、一部の地域で感染拡大がみられます」との判断が基本だ。しかし、後から責任を追及されないようにするため、「今後、地域において、感染源(リンク)が分からない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大流行(オーバーシュート)につながりかねないと考えています」と言い訳をしている。

WHOも指摘しているように、感染を防止する最大の方策は韓国で実証済みのようにドライブ・スルー方式(病院内での感染拡大を避けるため自動車の中で検査を行う方式)も取り入れた、PCR検査を柱とした最先端医療テクノロジーを駆使した徹底的な検査の推進である。韓国では政府と同国版CDC(米国疾病予防管理センター)が協力して、1日だけで1万7000人から2万人の検査を行い、陽性か陰性かを判定。症状に応じた適切な医療を行っているから、かなりの程度感染拡大を防止し、死亡者の陽性判明者に対する割合も世界各国では相当に低い水準に抑制することが出来ている。

これに対して、日本では政府=安倍政権が検査抑制方針を貫いているため、感染確認者数がことのほか少ない。死亡者の感染確認者に対する割合も公式数字では低く見える。しかし、検査数が中国、韓国などとは比較にならないほど少ないから、実態は不明である。ところが、こうした中でも専門家会議が、後々に追及されないようにすることが本来の狙いだが、「一部の地域で感染拡大がみられます」との文言を盛り込まざるを得なかった。

この「一部の地域」というのは主として、日本の経済社会の中核を狙う東京都、大阪府(隣接している兵庫県)、愛知県の三大都市権である。これに神奈川県や千葉県などの周辺の大都市圏が加わる。これらの「一部の地域」ではこのところ、新型コロナウイルス感染拡大傾向が強まりつつある。総じて、感染拡大の初期段階から次の段階に移行しつつあるのだろう。

次のグラフは厚労省の公式発表数字をもとに時系列で累計感染者を都道府県ごとにまとめたものだ。

新型コロナウイルス感染確認者の都道府県別の時系列増加を示したグラフ

北海道もなお危惧されるが、東京都、愛知県、大阪府が抜きん出ている。これらの日本が誇る大都市圏で感染確認者が増えてきているのは、感染経路が追跡できない「リンク切れ」の感染確認者の数が顕著であることも加えて、専門家会議の指摘する集団感染(クラスター)の抑制対策が限界に来ていることを示すものであろう。安倍首相がいつものように国会議員や国民を誤魔化し騙しても、新型コロナウイルスやバッタの超大規模の大群は誤魔化すことは出来ない。

専門家会議が追及を逃れるために現状分析と提言に挿入した感染患者数の爆発的増大(オーバーシュート)は既に医療の現場では分かっているのではないか。そうなれば、政府=安倍政権は東京オリンピック、パラリンピックについて延期どころか、国民はもちろん諸外国を欺いたことになり、中止に追い込まれるだろう。

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