国政に大きな影響を与える6月7日投開票の沖縄県議会選挙は、玉城デニー知事派が1議席減らしたものの25議席と過半数を維持した。投票率がコロナ禍があり投票率46・96%と過去最低で与党の玉城知事派には不利に作動したと見られる中では、大善戦だったと言える。
辺野古への米軍基地建設継続かストップかが最大の争点になり、国政に大きな影響を与える沖縄県議会選挙が6月7日、投票が終了、開票が行われている。共同通信の速報によると、2020年6月7日20時16分の時点で 「定数48のうち、無投票も含め辺野古反対派21人、容認・推進派11人が当選確実となっている。知事支持派は21人、不支持派は11人」との予測だ。48人のうち、無投票投票は与党7人、野党5人で残る議席は36議席。
結局、玉城県知事を支持する与党が25議席を確保し、県民の信認を得た。中立派の公明党2議席を含む4議席は玉城知事は支持しないものの、辺野古への基地建設には反対の意思を示していると見られ、辺野古基地建設反対派は29議席になる。NHKのサイトでは今回の沖縄県議選の争点は第一にコロナ禍対策、第二に辺野古への基地建設としており、「野党の自民党は、中立的な立場をとる公明党などとあわせて過半数の獲得を目指しましたが、及びませんでした。ただ議席差はわずかなため、今後、与野党の主導権争いが活発になることも予想されます」と「報道」しているが、これは違うのではないか。
むしろ、争点は県民の総意を無視して辺野古に基地を建設している政府=安倍政権の強行政策に対する是非にあるだろう。辺野古の海岸は地盤が軟弱で、このコロナ禍に地盤補強のため多額の費用がかかる。また、10年単位での工期がかかると言われており、「普天間基地の早期返還のために辺野古への基地建設が必要だ」との政府=安倍政権の大義名分は喪失した。それだけの巨額な財政支出はこのコロナ禍には「不急かつ不要」である。むしろ、第二の争点であるコロナ禍対策に回すべきだろう。観光立県としての沖縄県は、コロナ禍で大きなダメージを受けているからだ。なお、2020年6月5日 5時00分投稿の「財政厳しい都、完全な形崩れた五輪 IOCとはすきま風」と題する朝日デジタルの記事によると、東京都ですらコロナ禍対策に必要な資金が枯渇しているという。原則的にはコロナ禍対策には政府の財政支援が必要であり、第二次補正予算案は予備費の10兆円を組み替えるべきだ。
むしろ、玉木知事は辺野古への基地建設に反対の意思を示している中立派に働きかけ、コロナ禍対策強化で協力を取り付け、政権基盤を強化スべきだろう。しかも、投票率46・96%で過去最低で、本来なら与党に圧倒的に不利に働くはずだが、それを押しのけて与党が過半数の25議席を占め、辺野古基地建設反対派(少なくとも中立派の2人)と合わせて少なくとも27議席を獲得したことは大善戦あり、それだけ沖縄県民の意思が明瞭に示されたことになる。
この結果は、沖縄県民がコロナ禍での火事場泥棒どころか、①コロナ禍対策は棚上げしてオリンピック開催に狂奔したこと②そのためにPCR検査を妨害したこと③唐突に学校の休校を命じて、現場に大混乱を引き起こすなど支離滅裂な「対策」しか出来なかったこと−などから、実質的には「火付け泥棒」を行っている政府=安倍政権に対して、最後の審判を下したものと言える。今後の国政にも安倍内閣の退陣をもたらす重大な影響を及ぼすことになることは明らかだ。
なお、無風状態だった東京都知事選にも波乱が起こりそうだ。理由としては、①「カイロ大学首席卒業」は虚偽であるとの見方が非常に強く、小池百合子都知事が「カイロ大学首席卒業」のまま都知事選に出馬すれば、学歴詐称は公職選挙法違反の「虚偽事項公表罪」に相当するため、刑事告発を受ける公算が大きい②出馬を表明した元日弁連会長の宇都宮健児氏に対して立憲、日本共産党、社民党、新社会党が支持に回り、事実上の統一候補になった③維新系の小野泰輔元熊本県副知事が出馬を表明したことで、いわゆる「保守派」の票が割れる公算が強くなってきたこと④東京オリンピックの来夏の開催が極めて難しくなってきたこと⑤沖縄県議選で知事派が勝利した−ことなどが挙げられる。