大規模なPCR検査などで感染者を保護・隔離・治療し、徐々に経済活動の再開を−日本の瀬戸際にも臨時国会召集しない内閣は憲法違反内閣

欧米のコロナ禍対策で都市封鎖(ロックダウン)が行われたことなどから、欧州委員会が7月7日に発表した今年第2・四半期のユーロ圏27カ国全体の実質国内総生産(GDP)は前期比年率43.0%減少になり、続いて米国商務省が7月30日に発表した2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率マイナス32.9%と異常な減少幅になった。中国のみ前年同期比3.2%のプラス成長だ。日本ではやって8月17日に内閣府より第一次速報値が発表されるが、日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト約40人の予測値の平均は前期比年率23.53%の落ち込みになる異常さになった。政府=安倍晋三政権は事実上、経済活動にのみ専念しているが、これでは第二波の感染拡大防止も景気の落ち込みも防げない。

◎追伸:本日8月4日午後3時時点の東京都の新規感染者数は暫定値で309人になった。東京都によると7日移動平均の陽性率は7.1%と7%を突破した。詳細はまだ不明。全国では1239人。PCR検査は3日に7539検だから、こ検査の結果によるものとすると陽性率は16%程度。3日の検査の結果が反映されたものかどうかは不明。全国では21時現在で1475人の新規感染者が確認された。大阪府は過去最多の225人で大阪府1人を含む5人が新型肺炎などで亡くなられた。

日本経済研究センターのまとめによると、

  • 2020年4~6月期の実質GDP成長率(前期比年率)は▲23.53%と、6月調査より0.51%ポイント下方修正された。需要項目については、個人消費、設備投資、輸入が上方に、輸出は下方に修正された。GDPは4~6月期まで3期連続マイナス成長となった後、7~9月期にプラス成長に転じる見込みであることは、4月調査以降変わらない。また、前月よりも、4~6月期は下方に、7~9月期は上方に修正されるという傾向も続いている。
  • 2020年度の実質GDP成長率は▲5.44%で、6月調査とほぼ同じであるが、これは構成する需要項目がそれぞれ修正された結果である。前月より上方に修正されたのは、個人消費(0.20%ポイント)、設備投資(0.35%ポイント)、輸入(0.43%ポイント)である。一方、住宅投資(0.23%ポイント)、公共投資(0.11%ポイント)、輸出(0.43%ポイント)は、下方修正された。21年度は3.29%のプラス成長に転じる。

という状況だ。生産の落ち込みは激しい。

GDP統計が8月17日公表される内閣府の所在する合同庁舎

これに伴い、中小零細企業の倒産・廃業や非正規労働者を中心に解雇・雇い止めが多発している。総務省統計局がまとめた6月の完全失業率は2.8%だが、自宅などで休業を命じられ、「休業補償」は支給されているものの、平均賃金の6割しか支給されず、これから所得税や地方税、社会保険料を差し引いた手取りが大幅に減少している実態では失業者の部類に属する「勤労者」を含むと、潜在失業率は5%から6%に達する見込みだ。

2020年6月の完全失業率
総務省統計局より。

政府=安倍政権は、第二波として襲来した新型コロナ再拡大に対して有効な手立てを打つ意思も能力もないまま(その証拠に、野党が日本国憲法53条に基づいて召集を求めている臨時国会は開かない。憲法違反の内閣であり、総辞職は当然のところだ)に、利権産業・企業の要求に応えるために経済活動の再開を加速している。これでは、全国に感染が拡大し、感染が確認された企業や個人業種などは営業の中止に追い込まれる。

この繰り返しが続くから、経済活動を再開しようとしても結局は、経済活動もストップしてしまう。政府=安倍政権は、第3・四半期の反動増を狙って、解散・総選挙に持ち込もうとしているようだが、「一兎のみ追えば二兎は得られない」のは明らかだ。新型コロナウイルス感染第二波拡大に加えて、経済(雇用)の悪化がともに起こる公算が大きい。その場合は、悲惨な状況に陥る。下図は、京都大学院の藤井聡教授と京都大学大学院人間・環境学研究科の柴山桂太准教授の対談番組「コロナ恐慌がやってくる|」のYoutube動画からキャプチャした図だ。

感染経路不明者が新規確認者の6割前後を上回っているから、濃厚接触者を追跡する「クラスター対策」も効果がなくなっている。このため、無症状ながら大量のウイルスを放出する感染者が集積して形成される感染震源地(エピセンター)を特定し、首都圏や中核大都市圏でエピセンターを特定し、PCR検査を中心とした全員の検査を行い、要請者は保護・隔離して、重症化しないように治療に当たることが不可欠だ。

感染者の保護・隔離を徹底化することで初めて、感染マップも作成できるから、経済活動を徐々に再開・活発化していくことが出来る。また、感染症法第15条に基づいてきた今回のような感染力・毒性の強い新型コロナウイルスについては、「積極的疫学調査」という名の行政検査の背後にある「検査利権」を国立感染研究所から剥奪することが基本で、国民の目線に立って通常の医療機関でもPCR検査その他の検査を受けられるようにする必要がある。そのための財政支援措置を講じなければならないし、速やかに通常の保健医療も受けられるようにしなければならない。

小池百合子都知事は10月までに検査能力を一日あたり1万人に引き上げると言うが、医療ガバナンス雨研究所理事長の上昌広医師は、感染拡大が収まってきた米国ニューヨーク州(人口は850万人程度と東京都の半分最大の都市ニューヨーク市の人口は800万人で州全体では2000万人)では全州にPCR検査の検査センターを設置し、国籍、貧富の差を問わず、誰でも何度でも無料でPCR検査を受けられるようにしており、https://www.businessinsider.jp/post-216231によると1日6万6000人当たりの検査を行い、結果として感染拡大防止に大きく役立っているという。(以下、8月6日16時過ぎ追記)なお、経済評論家の森永卓郎氏によると、ニューヨーク市では1日当たり3万5800人のPCR検査を行っているという。小池都知事の意思と能力のレペメがいかにアンドリュー・クオモ州知事と落差があるか分かるというものだ。

また、1980年代に開発されたウイルスの遺伝子を人為的に拡大して構造を突き止めるPCR検査も今年に貼って急速に検査手法の革新が進んででいるという。こうした最新鋭のPCR検査に対応した検査装置は、民間の医療メーカーで革新、大学などの研究機関検査センターに持ち込まれているという。

東京新聞Webによると、「新型コロナウイルスの感染防止策として、東京都世田谷区は1日に2000~3000件をPCR検査できる体制整備の検討を始めた。『誰でも いつでも 何度でも』検査できる『世田谷モデル』として早期発見や治療につなげ、感染の広がりを抑える狙いだ」という。

東京新聞Web(https://www.tokyo-np.co.jp/article/46562)より

これは、世田谷区の保坂展人区長(社民党衆院議院と副幹事長を歴任している)が東京先端科学技術センターに所属し、新型コロナウィルス抗体検査機利用者協議会のリーダーで遺伝子工学に詳しい児玉龍彦名誉教授の助言を得て、実施しようとしているものだ。こうした試みが、首都圏、大都市中核券の自治体で行われ、都道府県の首帳や政府=安倍政権に財政支援圧力をかけていく必要がある。◎追伸:世田谷区の取り組みについて加藤勝信厚労省は5日午後「病床確保が必要だ」と暗にやるべきではない旨の圧力をかけた。PCR検査の大幅拡充が必要なこの時点で、検査体制の整備を支援するのならまだしも、「準備が整わなければやるな」と言わんばかりの発言は、加藤厚労省率いる厚労省が「検査利権を墨守することに躍起になっている」ことを如実に示したとした言いようがない。

何のために存在する「国権の最高機関」としての国会

政府=安倍政権は、①財政民主主義を破壊する10兆円もの巨額の予備費を利権組織に使用する②国権の最高機関である国会は完全に無視する③改正インフル特措法のさらなる改正には時間がかり、その他、審議売る法律案件もないとぃった言い訳をする(休業要請の補償はしてはならないなどとは記されていない。政府の要請もしくは政令で休業補償は可能。審議するべきなのは、コロナ禍に対する抜本的議論で、これが不可欠な局面に来ているのは国民の誰の目に見ても明らかだ)④ユーロ圏から離脱した英国との貿易協定を締結できた場合、条約としての承認のため10月後半以降に臨時国会を消臭する可能性ある(これは、野党が求める国会召集には応じないと言っているのも当然で、解散・総選挙の引き金にする余地を残しておく意味があるということだろう)−などといって、憲法違反の臨時国会召集の拒否を続けている。しかし、そのツケは自らに回るだろう。ここまで、国民の生命と生業を守ることに関心がない安倍首相率いる内閣というのは存在しなかった。

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