コロナ第二波の襲来で経済の大不況の深刻化・長期化避けられず−臨時国会を早急に開催し野党側は抜本的なコロナ禍対策を(3日状況追記)

今年第2・四半期の実質国内総生産(GDP)が前期比年率換算で20%以上の大幅な落ち込みに陥るこどが確実視されているが、新型コロナ第二波の襲来で日本経済が大不況の深刻化・長期化に陥る公算が極めて大きい。早急に臨時国会を開き、特に野党側はコロナ禍対策を中心に抜本的な政策を提示すべきだ。

◎追記:NHKのWebサイトが8月3日15時時点の速報値として伝えた内容によると、8月3日の東京都内新規確認者は7日連続の200人超えの258人。20代と30代の感染者合計で170人と全体の66%。陽性率などは不明。全国では18時30分の時点で920人。

本題に入る前に、昨日8月2日の新型コロナウイルス国内感染状況について注意を促しておきたいことがある。NHKのWebサイトでの報道によると全国では、「東京都で292人、大阪府で194人、愛知県で160人、福岡県で145人の感染が新たに確認されるなど、37の都道府県と空港の検疫で合わせて1332人の感染が発表されました。1000人を超えたのは5日連続」だ。このうち、東京都の状況を詳しく見てみると、感染経路不明者が292人中179人の61%と従来の「クラスター対策」では対応できない新規感染者が増えている。

また、「濃厚接触者の内訳では、家庭内での感染が30人と最も多く、職場内での感染が20人、会食による感染が16人、施設での感染が3人などとなっています。一方、ホストクラブやキャバクラ店など夜間に営業する接待を伴う飲食店の関係者は、感染経路がわかっていない人も含めて、合わせて19人」ということだ。これまで、小池百合子都知事がやり玉に挙げてきた「接待を伴う飲食店」(東京都新宿区の歌舞伎町見せしめにされた疑いが濃い)の割合が相対的にかなり減少してきており、感染増加の現場が家庭や職場に変わってきている。

本サイトで繰り返し述べてきたが、もはや「クラスター対策」で対応できる段階は終わった。クラスター対策では対処できない、感染拡大に強い力を持つ無症状感染者を放置しておいたツケが回り、これらの無症状感染者が集積して感染震源地(エピセンター)が東京都など首都圏を始め、日本の中核大都市で形成されてきている。遺伝子工学と抗体検査に詳しい児玉龍彦東大名誉教授によると、「エピセンター」に対しては、地域を特定して全員PCR検査を行うということが基本だ。その他の地域でも、出来るだけ精密抗体検査、抗原検査、PCR検査を行うことが必要だ。検査を行うことが重要だ。しかし、全国都道府県内の地方自治体と保健所ではエピセンターを特定できていない。厚生労働省は方針を転換し、クラスター対策からエピセンター制圧対策にコロナ禍対策を抜本的に転換することが急務で、地方自治体や保健所、地方衛生研究所などに財政措置を講じて調査能力を徹底するべきだ。ただし、今の政府=安倍晋三政権のもとでは期待できないことである。

さて、本論に入ると、本日3日8時50分に内閣府から公表された今年第2・四半期の第二次速報値の改定値は、財務省の法人企業統計の同期の設備投資が下方集計されたを受けて、前期比1.9%増から1.7%増に小幅下方修正された。実質GDPは前期比0.6%減少、年率換算では2.2%減少と第二次速報値とは変わらないが今後、民間の設備投資は大幅に萎縮し襲来、生産能力にボトルネックが発生する可能性が大きい。

内閣府(https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf)

もっとも、内閣府の「景気動向指数委員会」が大変遅れて、景気の山が2018年10月だったことをやっと認めた。民間では景気判断でも定評のある植草一秀氏らが2019年の前半から2018年10月からの景気後退入りを明らかにしていた。政府=安倍政権は民間の景気動向に対する有力な見解を無視し、2019年の10月に消費税増税を強行していた。このため、これまでと同様に、昨年の第4・四半期は実質GDP増加率(経済成長率)が年率換算で前期比7.1%の大幅減少になったから、2・四半期連続のマイナス成長(景気悪化)であり、日本経済の落ち込みは深くなっている。景気判断がこれほど遅れるようでは、「景気動向指数委員会」も現実的には役に立たない。むしろ、消費税増税を強行するため景気判断を隠蔽していたと疑われても仕方のない状況だ。

4月 7 日には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に発出されその後、5月4日には「当面、新規感染者を減少させる取組を継続する必要があるほか、地域や全国で再度感染が拡大すれば、医療提供体制への更なる負荷が生じるおそれもある」として、緊急事態措置を実施すべき期間が、全都道府県を対象に、2020年5月31日まで延長された。今年第1・四半期は改正インフル特措法による「緊急事態宣言」の影響が表れていない。しかし、第2・四半期は緊急事態宣言が発動されたため、営業自粛要請などで経済活動が大幅に落ち込んでおり、実質GDPの落ち込みが米国の前期比年率36.2%減少になったのと同様、減少幅(落ち込み)が異常なものになるのは確実だ。

その証拠に、総務省統計局の示す実質賃金の落ち込みや家計支出の落ち込みは激しいものになっている。厚生労働省が22日発表した毎月勤労統計調査(確報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で4月は速報値の0.7%から各放置では0.8%に低下、さらに5月(7月22日発表)は2.3%減と減少幅がさらに拡大した。6月も一段の落ち込みが予想される。これを反映して、家計の消費支出も厳しい。4月の2人以上の世帯の家計支出の落ち込みは、今年3月から悪化しており、4月は実質で前年同月比11.1%源、5月は16.2%現と大幅に落ち込んでいる。

総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html#tsuki)による。

非正規労働者を中心にコロナ禍による解雇・雇い止めによる失業者が急増し、失業率も悪化、企業業績も悪化していることから受け皿になる有効求人倍率も低下している。厚生労働省が7月31日に発表した6月の失業率は2.8%と5月より0.1ポイント改善したが、急上昇傾向には変わりがないと見られる。有効求人倍率は5月の1.20倍から6月は1.11倍に低下している。有効求人倍率の上昇を自慢していたアベノミクスの破綻がさらに鮮明になった。

朝日デジタル(https://digital.asahi.com/articles/ASN8100Z2N70ULFA01V.html)による。

民間の予測では、今年第2・四半期の実質GDPの落ち込みは20%を上回るとの深刻な判断だ(内閣府から8月17日午前8時50分発表)。政府=安倍政権は緊急事態を発令したが、政府=安倍政権が支離滅裂な「対策」を行ったため、新型コロナ感染の全貌を掴めず、感染第二派が襲来し、「クラスター対策」も役に立たなくなっている。むしろ。政府=安倍政権のコロナ禍対策で支離滅裂だったため、新型コロナ感染の第二波が訪れているにもかかわらず、コロナ感染収束後に実施するとしていた「Go To トラベル」キャンペーンを前倒し実施するなど、経済活動の再開を強力に進めている。このため、コロナ感染第二波収束も目処が立たない。「感染拡大策を推進している」と批判されても仕方がないところだ。

こういう状況だから、企業も今期の業績を見通せず、本腰を入れて経済活動に専念できる状況ではない。全国の地方自治体でも地方創生交付金による財政措置を頼りに、休業補償付きの営業自粛を求める声が急速に高まっている。このため、景気は今後さらに悪化、長期化する見込みだ。政府=安倍政権はコロナ感染拡大を無視して経済活動の再開に力を入れていおり、このため、政府=安倍政権は、今年第3・四半期の実質GDPが前期の大幅下落による反動で、見かけ上「プラス成長」になることを期待していると見られるが、そうは問屋が降ろさないというのが、実際のところだ。

自民党のサイト(https://www.jimin.jp/)より

野党側は憲法第53条に従って臨時国会の召集要求書を衆院の大島理森議長に提出したが、政府=安倍政権は今のところ、無視している。しかし、沖縄県の那覇地裁は臨時国会の召集について、①通常国会が近いなどの特段の状況があり、内閣に認められる最良の余地は極めて乏しい②召集しないという判断はできず、召集次期に関する最良も大きくない−という判断を示している。実は自民党は「憲法改正草案Q&A増補版」について、次のように記している。

【Q27】その他、国会に関してどのような規定を置いたのですか?
53 条は、臨時国会についての規定です。現行憲法では、いずれかの議院の総議員の 4分の 1 以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならないことになっていますが、臨時国会の召集期限については規定がなかったので、今回の草案では、「要求があった日から 20 日以内に臨時国会が召集されなければならない」と、規定しました。党内議論の中では、「少数会派の乱用が心配ではないか」との意見もありましたが、「臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である」という意見が、大勢でした。

野党側の臨時国会開催要求を無視するということは、自民党の憲法改正案にも反する。もはや、茶番劇としか言いようがないが、野党側はコロナ禍対策に万全を尽くし、国民の生命と暮らしを絶対に守るために開くことを中心に臨時国会の開催を要求している。野党側の要求どころか、政権与党の中核である自民党の基本方針もないがしろにするというのでは、安倍内閣はもはや総辞職の道しか残されていない。

なお、野党サイドでは立憲民主党と国民民主党が数合わせのための野合を進めているが、①コロナ感染症拡大阻止抜本対策②大不況から場合によっては大恐慌に暗転する可能性も指摘される経済再建のための抜本対策②原子力発電所稼働停止③検察制度運用の抜本改善(検察審査会を検察に支配されないよう、内閣からも独立した機関にする)④在日米軍基地での感染者が急拡大していることをきっかけに、日米地位協定の見直しに取り組む−などで、戦後政治を総決算できる抜本的な政策を示す必要がある。そうしない限り、政治不信の「無党派層」の信頼を回復、勝ち照り、投票率を上昇させるということは期待できない。投票率さえ上昇させることができれば、政権を奪還できる。

自民党内では、第二次補正予算で10兆円もの憲法違反の予備費を確保したが、この予備費を財源に「消費税減税」をシングル・イッシューとして、解散・総選挙に臨む意向と見られる。消費税減税には、大企業から製品の納入価格の引き下げを求められる下請け企業に取っては大変厳しくなる面がある。立教大学の金子勝特任教授が指摘しているように、下請け企業などには、代理納税の減免措置を行うべきだ。現代貨幣理論(MMT)では消費税を悪税としているが、最終的には廃止する方向で税制の抜本改革を打ち出さなければ、野党に総選挙での勝ち目はない。ただし、コロナの第二波で日本全体が「山火事」(児玉東大名誉教授)になれば、解散・総選挙どころではなくなる。

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