在日米軍基地のコロナ感染が深刻化、政府は臨時国会を早急に開け−マスコミも召集要求を(31日の新規感染確認者追跡中)

東京新聞(12版)の7月31日付1面記事によると、7月30日の新型コロナ感染者は1305人で過去最多を更新、東京都も367人と過去最多を更新した。感染者の年代は若者から全世代に広がってきており、重症者も増加傾向にある。ただ、日本人ではないためあまり表沙汰にはならないが、在日米軍基地の軍人とその家族、軍属(基地機能を支えるため基地で働く人達)の感染者も急増してきている。米国では軍人を含め国民の感染拡大と重症者数、死亡者数の増加が止まらない。こうした中で日米地位協定で米国の軍人とその家族は来日の際に、検疫を受ける必要がないためだ。在日米軍基地のある地方自治体では対応に限界がある。本来なら国籍を問わず、日本国内での感染確認者、死亡者数など詳細な実態を公表する必要がある。そのためには、国内法の改正や日米地位協定の見直しも必要になり、臨時国会の早急な召集が必要だ。マスコミも政府に召集を求める論陣を張るべきだが、基本的には政府=安倍晋三政権の広報機関になっているため、及び腰だ。コロナ禍を戦後の総決算、新しい日本創造の契機にしなくてはならない。

◎追記:各種メディアで7月31日月末の東京都での新型コロナウイルス新規感染確認者が463人と報道されている。28日に5500人を超えるPCR検査が反映されたものと見られる。検査人数は暫定値で5542人(人口100万人当たり396人程度で都の人口から言えばまだまだ少ない)。陽性率は8.4%程度。東京都では過去7日間の平均しか発表されていないが、発表数字と相当乖離している。株価のチャート分析を応用するため、日々の陽性率も発表すべきだ。小池百合子都知事は記者会見で、今後の対策としては、①都内の店舗が安心ステッカーを貼るように条例で義務付ける②飲食店・カラオケなどに営業時間の短縮を要請、応じた場合は協力金20万円を支給③東京版CDCの設置を8月1日から始め10月から活動を開始する−など。なお、重症者が22人から16人へと減少したことを評価した。もっとも、感染集積地を特定し、PCR検査を全員に対して行うと言った踏み込んだ発言はなかった。https://www.youtube.com/watch?v=9bIhmpx8OZAで視聴できる。全国では朝日デジタルが23時30分現在で1571人、NHKのサイトでは23時現在で1579人。新型コロナウイルスの実効再生産が1.0を超える状態が続けば、幾何級数的に感染者数が増加してしまう。

東京新聞の1面記事によると、東京都の感染経路不明者は過去最多の昨日225人から204人に減少したが、高水準の感染経路不明者が続くようになってきた。これでは、従来のコロナ禍対策の基本である「クラスター対策」(感染確認者の濃厚接触者を追跡調査すること)は最早、有効な手段とは言えない。また、検査人数は6113件と昨日の4926人より増加しているが、陽性率(ただし、7日間の移動平均しか公表されていないので「瞬間値」は不明)は6.5%から6.6%に小幅上昇している。入院患者数も964人から1154人へと急増している。重症者数は21人から22人へと1人増えたが今後、入院患者の中から重症化する患者も増加してくる可能性も否定できない。

感染者の急増に伴い、精密抗体検査・PCR検査など有効で大規模な検査が必要だが、日本は検査が感染症法第15条に基づく行政調査(積極的疫学調査)に縛られているため、人口当たりの検査人数が全世界で最下位のレベルにとどまっている。日本共産党の志位和夫委員長は昨日30日の記者会見で、東京都の医師会が都内地方自治体との協議で、都内で保健所と地元の医師会の協力でPCR検査を行うPCR検査数を都内人口1万人当たり1カ所設置することにしたことに敬意を表明したが、なお、感染症法の定めに縛られていることは否めない。

検査の目的は、感染震源地(エピセンター)(特に、感染力が強い無症状感染者が集まり、感染が持続的に集積、拡大する地域)を地方自治体が調査・公開し、エピセンターで全員検査を行い、感染確認者を保護・隔離・治療することで、感染が非エピセンター地域に拡大しないようにする防疫体制を確立することにある。そのためには、大学の検査能力、民間医療調査会社などの感染症法の枠外にある検査機関の力を借り、財政措置を講じたうえで、エピセンター地域の都民(住民)の無料での全員検査が必要だ。米国のニューヨーク州では、誰でも無料でPCR検査を受けられるようになっている。

余談だが、それでもコロナ禍の深刻な影響で、米国の今年第二・四半期の実質国内総生産(GDP)増加率は年率換算で前期比39.6%減の大幅な落ち込みになった。企業の設備投資は前期比27.0%も減少し、米中が冷戦状態になっているため輸入にも限りが生じていることから、供給面でのボトルネックが生じてくる可能性が高くなることが予想される。こうなってくると、財政出動も効かなくなる。現代貨幣理論(MMT)が提唱している政策として、雇用保証プログラムというものがある。これは、政府が妥当な最低賃金で必要な事業を行い、失業者を雇用するというものだ。かつて20世紀初頭にフランクリン・ルーズベルト大統領が提唱したニューディール政策を理論的に位置づけだ。米国では失業率が急上昇していることや生産能力にボトルネックが生じないように、雇用保証プログラムの実施に踏み切る必要があるだろう。

内閣府のサイト(https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/200730shiryou1.pdf)による。

なお、日本でも内閣府が30日、2012年12月に始まった景気拡大が2018年10月で終わったことを遅ればせながら認めた。民間では早くから一応の景気拡大は2018年10月で終わったと予測していた。つまり、政府=安倍政権は日本経済が景気後退局面に突入し、さらに下降局面入りしていた昨年の2019年10月に消費税率10%への引き上げという大愚策を行ったわけだ。このため、昨年第4・四半期の実質GDPは前期比年率7.1%減と大幅に悪化したが、今年第1・四半期も第二次速報値で前期比年率2.2%減少し、悪化が続いている。ただし、財務省の法人企業統計で設備投資が下方修正されたため、8月2日午前9時に発表される確報値では、さらに悪化する見込みだ。

今年第2・四半期は米国と同様、コロナ禍で実質GDP増加率(減少率)は大幅に悪化する見込みだ。また、コロナ禍の影響で解雇や雇い止めによる失業者が急増している。ダイヤモンドオンラインで木内登英野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストが予測したところによると、

「今回の景気の悪化は、リーマンショック時を上回る可能性が高い。筆者の見通しでは、実質GDPは2019年7-9月期のピークから11.6%下落する。これは、リーマンショック後の景気の落ち込み幅の約1.3倍である。リーマンショック後と同様に就業者数の弾性値を0.34とすると、労働者265万人が職を失う計算となる。その場合、失業率はピークで6.1%に達する。失業率は戦後初めて6%台に乗せる」

という。

アベノミクスは完全に破綻し、これにコロナ禍が追い打ちをかけて、全く約に立たなくなった。もともと、アベノミクスの柱である「財政再建」を大義名分にした緊縮財政路線は、デフレ不況スパイラルの元凶だった。景気が後退局面に入って2年近くなり、コロナ禍が強力な追い打ちをかけている現状、アベノミクスは廃止し、経済政策は抜本的に転換しなければならない。

話を新型コロナウイルス対策に戻す。朝日新聞(14版)3面によると、東京都医師会(尾崎治夫会長)は30日の記者会見で改正インフル特措法をさらに改正し、①休業補償を伴う強制力を伴う休業要請を地域限定で14日ほど行う②その地域でPCR検査を実施し、無症状者も含めた感染者の洗い出しを徹底する③検査機関も大学や民間の医療機関を総動員する−ことを求め、野党が召集を要請している臨時国会を早急に開会することを強く求めた。ただし、休業補償は原則、労働基本法で平均賃金の6割以上と定められているから、6割しか支給されないのが現状だ。これに所得税や住民税、厚生年金保険料などの社会保険料が差し引かれることからすれば、非正規労働者を中心に「休業補償」は実質的に「生活補償」ではなくなってしまう。また、コロナ解雇や雇い止めによる失業者に対する雇用保険も生活を保証する特例措置が必要になる。

コロナ禍第二波から、国民の健康・生命と暮らしを守るためには、臨時国会を早急に開き、政府=安倍政権の従来の「コロナ禍対策」を抜本転換、エピセンターの確定やあらゆる検査資源を投入しての大規模PCR検査などの実施体制の確立と実際の実施、陽性判定患者の保護と隔離・適切な治療を措置するなどの新たな「コロナ禍対策」が不可欠だ。政令で実施できるものは政令を発令し、法改正が必要なものは野党側の要求を受け入れて重要な部分のみ改正し、早急に成立・施行することが欠かせない。

野党側は本日、昨日の野党党首会談での合意に基づき、憲法53条に基づいて衆院の大島理森議長に臨時国会召集要求書を提出する。これについては、次の日本共産党の志位和夫委員長の動画に詳しい。なお、サイト管理者(筆者)はいわゆる「共産主義」の弁証法的唯物論とか史的唯物論、資本論などは支持しておらず、むしろ誤謬という立場である。

安倍首相は憲法違反を繰り返すべきではない。







さて、遅くなったが在日米軍基地でのコロナ感染者が急増している。これは、日米地位協定で感染拡大と死亡者数の増加が未だに衰えない米国の軍人とその家族が、検疫を受けないで入国できるためだ。在日米軍では、公式的には日本に入国した場合は一定期間の隔離と感染に関する情報を提供することにしているが、デモクラシータイムスのYoutubeでの報道によると、現実には基地内での隔離・観察・検査ではなく、在日米軍基地付近で借り上げたホテルが「隔離施設」になっている。基本的に行動の自粛はなく、在日米軍人とその家族も基地内だけではなく、基地外に住民とともに暮らしている。動画からキャプチャした下図をご覧いただきたい。

なお、北谷(ちゃたん)町は沖縄県本島中部西海岸に位置する観光資源に恵まれた町だ。野口昌春町長は在日米軍が「米国軍入と家族の隔離・観察のための施設」の名目で、同街のホテルの一棟を借り上げ、通常のホテル生活と同様の扱いで事実上、行動の自粛なしに「隔離・経過観察?」が行われていることに強く講義し、(在日米国軍人の)人事異動期間を伸ばして人数を分散した上で、基地内に隔離・経過観察・検査施設を設けるよう、在沖縄米軍基地領事館や外務省沖縄事務所に強く講義している。

日本には沖縄県に在日米軍基地が集中しているが、日本全国に在日米軍基地が日米安保条約の下に建設され、自衛隊と合同演習をしているほか、日本国民が基地の運営に協力している。在日米軍の軍人とその家族や軍属とも接触、交流している。日本の神奈川県横須賀市にある在日米軍の基地である在日米軍横須賀基地なども注視されている。日本国民との接触は当然のことなので、新型コロナウイルス関連の情報は十分な公開が必要だが、地方自治体レベルでは対応が困難だ。

日本で形成されている感染集積地(エピセンター)から放出される「日本型」の新型コロナウイルスと米国側が持ち込んだ「米国型」の新型コロナウイルスが国内で混合することになり、どのような状況になるか、今のところ予想がつかない。こうしたことも含めて、臨時国会の早急な開催が必要だ。安倍首相は臨時国会開催から逃げるべきではない。

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