「4人組」の権力・血税の私物化で自公連立政権崩壊にとどめか

安倍晋三前首相のさくらを見る会前夜祭事案で、公設秘書の略式起訴(罰金100万円)と安倍晋三前首相は不起訴になった。これに対して市民団体が不起訴不当として検察審査会に異議を申し立て受理されたが、検察側はホテルニューオータニが発行した請求明細書と領収書は既に入手しており、検察審査会での審査で最終的には「起訴相当」の議決がなされ、起訴される可能性が強いようだ。林真琴検事総長率いる検察庁はこのことは既に織り込み済みであり、巨額の税金の私物化案件を操作中とのことで、慎重に捜査を行っているという。公になれば、自公連立政権にとどめを刺すことになる。

1月25日コロナ感染状況

本日1月25日月曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月18日月曜日の1204人から586人減少して618人になり、死亡者は14人。重症者は前日から2人増えて158人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。700人を下回るのは昨年12月28日の481人以来だが、月曜日は通常、PCR検査人数の関係から1週間のうちで新規感染者数が最も少なくなる曜日。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1119.1人、PCR検査人数は9832.6人だから、瞬間陽性率は11.38%。東京都独自の計算方式では9.0%。感染者のうち感染経路不明率は55.19%だった。感染経路不明率、陽性率ともに低下してきている。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は2764人、死亡者数は74人が確認されている。重症者は前日比10人増の1017人。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月24日時点の実効再生産数は全国が前日比0.02人減の0.89人、東京都は前日比0.05人減の0.85人となっている。このところ、簡易実効再生産数は低下のスピードが早くなっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

【追記:14時45分】東京都などでは陽性率は10%以下に低下しているが、入院待ちの感染患者数と死亡者数が増えている。25日付東京新聞調べるによると、19日時点で全国で1万5058人と1カ月前の4352人と3.5倍に急増している。NHKによると24日時点での死亡者数は5120人と5000人を突破している。うち、自宅療養患の死亡者は197人で、年明け後は57人と急増している。
明らかにインフルエンザとは次元の異なる感染症であり、医療崩壊は進行している。コロナウイルスは無症状感染者が感染を拡大するという特異な性質を持っており、新型ワクチンの前にPCR検査・抗体検査の大規模拡充と医療施設(簡易型も手組む)の確保が至急に必要だ。

なお、大阪大学の西浦宏教授らの研究グループによってGo To トラベルが感染拡大を大きく助長した可能性があるとの研究論文が発表され、国際的な医学雑誌「ジャーナルオブクリニカルメディシン」に掲載された(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210125/k10012831381000.html)。菅首相が専門家の知見を受け入れないためだろう。

本投稿記事は、Youtubeの「一月万冊(読書家・清水有高氏のチャンネル)」で公開された朝日新聞。AERA編集部、週刊朝日編集部記者を務めたジャーナリストの佐藤章氏の取材に基づくものですhttps://www.youtube.com/watch?v=IIzOGxWXdGE&t=2119shttps://www.youtube.com/watch?v=ZxeHvT29nYw&t=2714s)。

前置きだが、今月17日に投開票された沖縄県宮古島市長選挙は、投票率が過去最低の66.45%だったけれども(投票率低下は自公連立与党候補に有利に働く)、事実上の野党共闘候補で新人の前県議、座喜味一幸氏(71)=社民、社大、共産、立民推薦=が1万5757票を獲得、現職の下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=の4選を阻み、2782票差で初当選を果たした。注目された24日投開票の山形県知事選挙でも、事実上の野党共闘候補の現職・吉村美栄子知事が40万374票を獲得、自公推薦の大内理加候補(16万9081票)を大差で破り、4回目の当選を確保した。

地方自治体の首長選挙だが、事実上の連立与党側と野党共闘側の選挙戦の結果であり、コロナ禍対策問題が批判を受け、支持率が急落している菅内閣(政権)には打撃だ。朝日新聞の1月の世論調査では、支持率が39%から33%へと16ポイント急落、不支持率は35%から45%に10ポイント上昇した。

4月に行われる北海道2区(自民党の吉川貴盛議員が鶏卵事案で収賄が発覚、議員辞職をしたため。後に、在宅起訴された。自民党は候補擁立を見送ったが、立憲民主党と日本共産党の候補者の統一候補調整の不調を見越して、日本維新の会から隠し玉の擁立を考えている)での衆院議員補選と。羽田雄一郎参院議員(当時)がコロナで逝去された(野党議員のため、PCR検査が出来なかった)ことによる長野参院選挙区での参院議員補選の2つの国会議員補選にも、劣勢が予想されている菅政権にさらなるダメージを与えることになる。

さて第一に、安倍前首相の「桜を見る会」事案だが、佐藤氏によると検察側は既にホテルニューオータニが安倍前首相側に渡した前夜祭の請求明細書と領収書(当然、宛名入り)を入手している。請求明細書には会場代と食費代などが含まれているが、会場代の支払いは公職選挙法には抵触しないが、食費代の補填は有権者への寄付行為に当たり、公職選挙法違反になる。たただし、首相経験者を起訴するには寄付行為額が数億円規模であることが必要だという。

このため、林真琴検事総長率いる検察庁は既に、ホテルニューオータニが安倍前首相側に発行した請求明細書と領収書は確保済みだが、政治資金の収支報告義務は安倍後援会事務所にあることにして、政治資金規正法違反で代表者の公設第一秘書を略式起訴(罰金100万円。公設秘書は即、納付し公判は行われなかった)するにとどめ、安倍前首相は敢えて不起訴とした。ただし、検察側は「桜を見る会」事案の捜査を止めたわけではない。

「桜を見る会」は日本に貢献した各界の功労者を慰労するという政府主催の公式行事であるが、第二次安倍内閣が正式に発足した2013年から、安倍前首相の選出区の山口県第4区(下関市が中心)の有権者の招待が激増した。これは、下関市長選挙や衆院小選挙区をめぐり、同じ自民党の世襲議員を排出した安倍家と林家(現在は林芳正参院議員)との争いが激しく、安倍前首相側としては特に下関市の有権者の票固めを行う必要があったからだ。なお、林参院議員は総理大臣を目指して、参院選挙区から衆院山口3区に鞍替えする意向もあったが、二階幹事長グループに阻まれた(https://digital.asahi.com/articles/ASNB46F0NNB4UTFK008.html)。

「桜を見る会」事案の本質はやはり、公金(税金)で賄われる政府の公式行事の私物化(権力・税金の私物化)である。林検事総長率いる検察側はこれに対しては、検察審査会制度を利用して決着をつけようとしている。ただし、佐藤氏はYoutubeでは触れなかったが、額は少なくとも請求明細書と領収書が明らかになれば、公職選挙法違反になることは確実だから、少なくとも安倍前首相は自民党内での権力基盤を失ってしまう。

検察側が「桜を見る会」事案よりも重視しているのが、2019年夏の参院選挙で河井案里候補(当時、東京地裁は今月21日、検察の求刑「懲役1年6月」に対して「懲役1年4月・執行猶予5年」の判決を言い渡した。判決が確定すれば、失職になる)への1億5千万円の支給である。これは、現在の菅義偉総裁(首相)も明確に認めている。河井克行元法相衆院議員と河井案里参院議員が参院選のために地元の首長を始めとして広島県内の有力地方議員に買収金を手渡した金額の総合計は2900万円。

そうすると、残りの1億2100万円の使途が不明ということになる。佐藤氏はこのうち、3000万円が第三者に渡ったと見ているが、参院選挙自体の費用は数億円かかると見ている。買収金額総合計の2900万円はその一部にすきない。とすると、3億円程度の選挙費用はどのようにして工面したのかということになるが、佐藤氏は官房機密費から支給されたとと見ている。官房機密費も自民党支給の1億5千万円の原資のほとんどは政党交付金だから、いずれも税金の私物化に他ならない。佐藤氏によると、検察はこの資金の流れを解明しているという。第三者に渡された経緯は証拠も含めて掴めているようだが、官房機密費の調査は検察でも困難なため、万全を期していると言う。官房機密費の管理の最終責任者は当時の内閣官房長官で現在の菅首相である。

検察側がどのように動いているのか定かでないが、少し付け加えれば、敏腕検事として活躍された郷原信雄弁護士によると(例えば、https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210122-00218814/)河井克行容疑者が減刑を獲得するために最後に残されていることは、ことの「真相」をつまびらかに明らかにすることだ。河井夫妻は安倍首相(同)、菅官房長官(同)、二階自民党幹事長に利用されたに過ぎない。河井克行容疑者が真相を語ることこそが、本人のためにも国民、日本のためにもなる。河井容疑者の安倍前首相、菅首相を見る眼は日に日に厳しくなっているようだ。

検察側が安倍前首相の捜査を続けている第二の理由は、安倍氏が首相に返り咲いて以降、山口県の公共事業が大幅に拡大していることだ。公金を使った公共事業の発注の見返りに、票と献金(公金=税金が原資)を獲得することは、明治維新以来の日本の政治の宿痾だ。本事案については、国税庁調査官を務め、脱税を中心とした税金、法律、ビジネスに詳しい政治評論家の大村大次郎氏が有料メールマガジンで明らかにしているが、その一部が次のサイト(https://www.mag2.com/p/news/424962/2)で公開されている。

山口県民一人当たりの公共事業費は隣県の6倍
山口県の隣県である広島県と比較すれば、山口県の異常な優遇さがわかります。山口県と広島県は、同じ瀬戸内海に面した中国地方の県であり、地域的な条件はあまり変わりません。広島県の人口は約282万人です。山口県はその半分以下の約137万人です。両県は、安倍首相の再就任前までは、県民一人当たりの公共事業費はそれほど大きな違いはありませんでした。しかし安倍首相の再就任以降、山口県の予算は急増し、広島県の予算は急減するのです。

2014年以降は、人口が半分以下の山口県の方が広島県よりも公共事業費の総額で上回っています。県民一人あたりにすると山口県は広島県の2倍以上となっており、2016年にはなんと7倍以上になっているのです。国は「山口県では2016年に日露首脳会談が行われており、そのために公共事業費がかさんだ」と言い訳するでしょうが、主要国との首脳会談などは毎年のように行われているものであり、そのたびに公共事業費が跳ね上がっていては歳入がいくらあっても足りないというものです。

また、日露首脳会談が行われた(注:安倍首相=当時=はことあるごとに、ロシアのプーチン大統領との「親密ぶり」を強調したが、北方領土は1ミリも帰ってきていない。むしろ、ロシアの憲法に日本との領土問題は存在しないと書き込まれただけだ)のは2016年であり、たかが一国との首脳会談で準備に何年もかけたわけではないので、2016年以外の公共事業費の激増は説明がつきません。(中略)

山口県と広島県の県民一人当たりの公共事業費

  • 2012年(安倍首相再就任前)
    山口県・約3万9,000円  広島県・約3万1,000円
  • 2013年(安倍首相再就任初年)
    山口県・約6万1,000円  広島県・約3万2,000円
  • 2016年(安倍首相再就任3年目
    山口県・約11万8,000円 広島県・約1万7,000円

以下、略

日本政治の宿痾が、明治維新以降の政治権力の震源地になった長州藩・山口県で繰り返されている。このうち、検察側が問題しているのが第一に、山口県下関市彦島から福岡県北九州市小倉北区に至る約6 km(陸上部:約4 km、海上部:約2 km)となる地域高規格道路候補路線(俗に「下関北九州道路」、「第二関門橋」と呼ばれる)建設承認の経緯である。。総工費は1千億円。自由民主党所属の元参議院議員で、第4次安倍改造内閣で内閣府副大臣・国土交通副大臣・復興副大臣(地震・津波災害からの復興に関する事項を担当)を務めた塚田一郎参院議員(当時)が、建設承認に向けて暗躍した。建設計画は承認され、ボーリングなどの調査を行っている。

しかし、2019年4月1日夜、福岡県北九州市で行われた集会で「下関北九州道路」について、「総理(安倍晋三、山口県第4区)とか副総理(麻生太郎、福岡県第8区)が言えないので、私が忖度した」と問題発言したことから、安倍首相や麻生財務大臣、菅内閣官房長官(いずれも当時)から怒りを買い、野党からも追及されて、辞任した。本当のことを言ったため、辞めさせられたのだ(Wikipedia参照)。なお、「下関北九州道路」は「忖度道路」として名高い。

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佐藤氏によると、検察側は、総事業費用が1千億円と巨額のため、「忖度道路」について捜査しているという。第二が、広島県呉市の洋上風力発電の総合エンジニアリング企業・グローカル(https://g-local.co.jp/service/)が北九州沖(響中)に建設している洋上風力発電所だ。グローカルの奥原征一郎氏は、呉市の商工会議所会頭を務め、各種の補助金を受けながら会社が倒産して、8億円の補助金(血税)が無駄になった。しかし、麻生財務相に政治資金管理団体の素淮会を通して少なくとも2017年に2千万円、2018年に1千万円献金しており、「破産した麻生副総理の盟友が風力発電で復活」と報じられている(https://news-hunter.org/?p=3593)。

破産した経済人側から政治献金を受け取っていた麻生太郎副総理兼財務相。長年にわたり麻生氏に政治資金を提供してきたのは、広島県呉市の呉商工会議所元会頭・奥原征一郎氏である。

奥原氏が経営に携わっていた「寿工業」(呉市)や「アジア特殊製鋼」(福岡県北九州市)は、多額の負債を抱えて2012年に倒産。奥原氏自身も、自己破産していた。

ところが、その4年後の2016年、広島の地元紙「中国新聞」の元日号に、大きく『浮体式風力発電 実用化へ着々 グローカル・奥原征一郎氏新春トップインタビュー』という見出しが躍り、同氏のインタビュー記事が掲載される。(以下、略)

響中風力発電所
響中風力発電所

グローカルはまた洋上風力発電所も国立研究開発法人・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、https://www.nedo.go.jp/)から補助金の交付を受けながら、「最新鋭の洋上風力発電所」を開発している。つまり、グローカルは政治家(政治屋)への献金(と票)→公共事業受注と補助金→献金の穴埋めを行っており、政治家(政治屋)は浄財であるはずの政治献金を指摘に着服しているという構図が浮かび上がってくる。麻生財務大臣の場合は政治献金の飲食費への支出(東京都港区虎ノ門の高級ホテルなど)が、どの政治家よりも多い(https://www.tokyo-np.co.jp/article/18117)。いずれも、公金(国民の血税)が原資だ。

佐藤氏によると、林検事総長は、官房機密費や忖度道路、グロコルへの補助金を大型案件として冷静に捜査しており、「リーク」などによる公表には数カ月から半年かかると見ている。いずれにしても、明治維新以降の政治家(政治)による権力(税金)の私物化こそ、日本政治の宿痾だ。仮に公職選挙法違反などの疑いが出てくれば、菅・二階・安倍・麻生氏ら「四人組」は壊滅的な打撃を被ることになる。自民党ひいては公明党が決定的な打撃を被ることは必至だ。

死刑執行命令発動で有名な上川春子法務相の指揮権発動がかかるほか、検察側の裁量権も格段に大きい。また、東京地検特捜部の前身が、米国(GHQ)の占領下時代に創設された「隠匿退蔵物資事件捜査部」であることから、米国のディープステートの干渉も考えられる(事実、立憲の小沢一郎衆院議員の陸山会事案は全くの冤罪というのは確かで、当時のカート・キャンベル国務次官補(鳩山由紀夫首相ー小沢一郎幹事長の民主党第一代政権を反米的と危険視、対日交渉相手を切り替えるようオバマ政権に連絡したことがウイキリークスで明らかにされた。現在、バイデン政権の国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官)の指示によるとの疑いもある)。ただし、検察庁にも「巨悪を質す」ことを誇りにする検察官も存在すると思われる。佐藤氏はこのことを、検察としても「金・銀・銅メダル」を獲得することを誇りに思っているとの表現で指摘している。

国民主権とは、「国民が自分自身で税金(国債の発行も含む)の使途(国費の使い道)」を決定するということでもある。日本が国民主権を確保し、真の民主主義国家になることができるようにしなければならない。



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