2021年01月24日時点の11都府県のステージ状況とコロナ禍抜本対策

NHKがまとめた2021年1月24日時点の限定的緊急事態宣言発令11都府県のコロナステージ状況を表にまとめてみた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210125/k10012832991000.html)。ステージ4がまだまだ多い。ステージ3になっても油断できない。コロナ禍抜本対策を実行に移す時だ。

1月26日コロナ感染状況

本日1月26日火曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月19日火曜日の1240人から148人減少したが、再び1000人台の1026人になり、死亡者も13人。重症者は前日と同じ158人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1088.6人、PCR検査人数は9543.3人だから、瞬間陽性率は11.41%。東京都独自の計算方式では8.9%。感染者のうち感染経路不明率は54.25%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は38623853人、死亡者数は104人が確認されている。重症者は前日比21人減の996人。死亡者の大半は重症者の方が死亡されたケースであると見られる。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月25日時点の実効再生産数は全国が前日比0.04人減の0.85人、東京都は前日比0.04人減の0.81人となっている。このところ、簡易実効再生産数は低下傾向が続いている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

サイト管理者(筆者)が表敬式にまとめてみた。セルの背景色の赤はステージ4、橙(だいだい)色はステージ3、黄色はステージ4/3に近いところを示している。特に、日本の二大都市である小池百合子都知事率いる東京都、維新の吉村洋文知事率いる大阪府のステージ段階が悪い。ニ大都市の東京都、大阪府のコロナ禍状況は全国に波及する。

11都府県のコロナステージ
11都府県のコロナステージ

確かにこのところ、新規感染者数や陽性率、実効再生産数は減少ないし低下しているが、その一方で、死亡者数や重症者数は25日時点でそれぞれ5213人、1017人と急増し、医療崩壊が進行している。政府=菅義偉政権は11都府県が6つの指標のうち、ある程度ステージ3の段階になれば緊急事態宣言は解除するだろう。しかし、数理感染症学が専門の西浦博京都大学が指摘しているように、飲食店をターゲットにした限定的な緊急事態宣言では人と人との接触率が再上昇し、つれて低下していた有効再生産指数も再び上昇するから、新規感染者数も増加に転じるだろう。

西浦博京大教授のシミュレーション
西浦博京大教授のシミュレーション

その結果として、医療崩壊の進行は続く。既に言及させていただいてように、入院・療養先を調整中のコロナ感染者は11都府県で19日の時点では、少なくとも1万5058人にのぼる。自宅療養感染者もこれに劣らず多い。両者とも、満足な医療を受けられず、次第に症状が悪化して亡くなられるケースや突然症状が悪化して亡くなられる方もあとを絶たない。

政府=菅政権を忖度しない専門家も指摘しており、本サイトでも何度も述べさせていただいているが、東京オリンピック/パラリンピックを「国体護持」のように最優先するべきではない。そうではなく、➀新型コロナウイルス感染症を指定Ⅱ類相当感染症の分類から外し、保健所が感染経路の追跡調査をしなくても済むようにして、保健所の能力を回復する(パンク状態を回避する)②地方の状況に応じて医療機関をコロナ対応と非対応の病院に再編する③生活と営業を補償し、医療体制を再建する大規模な財政措置を講じる➃大規模社会的検査の実施による無症状感染者の発見➃無症状者も含めた感染患者の隔離・保護・適切な医療施設での治療を行える体制を整備するーことなどが原則だ。

その際、オリンピック選手村やオリンピック関連のホテルを借り上げるとか、簡易施設を自衛隊の力を借りて設営することも考えられる。「ウイズ・コロナ」は幻想であり、感染拡大と経済悪化の悪循環をもたらす。上述の「ノー・コロナ」でこそ、経済を再建できる。台湾、中国がその成功例であり、韓国が続いている。

なお、コロナ感染拡大に伴って、財政支援措置地が十分んでないことから、多くの国民が生活苦にあえぎ、自死される国民も例年の2倍以上になっている。東京都医師会の尾崎治夫会長が今月中旬、無観客の東京オリンピック/パラリンピック開催を提言した(https://digital.asahi.com/articles/ASP1P51FPP1NUTIL04V.html)。しかし、無観客のオリ/パラを開催しても何の意味がない。ましてや、「人類が新型コロナに打ち勝った証としての東京オリンピック/パラリンピック」(菅首相所信表明演説)にはとてもならない。

さらに、自民党の支持基盤である日本医師会の中川俊男会長は22日、東京オリンピック・パラリンピックを開催しても、(入国が可能になったとしても)外国選手団や外国からの観光客に医療資源を割く余裕はないと、婉曲的に中止を求めている(https://mainichi.jp/articles/20210122/k00/00m/050/286000c)。

米紙ニューヨーク・タイムズ、英紙タイムズに続いて、米国の有力紙であるワシントン・ポストも開催に懸念を示している(ヤフーニュースがスポーツ日本から転載==。日本の大手メディアは伝えていないようだ)。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止の可能性が報じられている東京五輪に関し、米紙ワシントン・ポストは「開催まで6カ月に迫る中、東京五輪は疑念の潮流に逆らって泳いでいる」と題した記事で懸念を伝えた。

日本のスポーツ界が新型コロナの影響を受けていることなど問題点を指摘。国際的アスリート団体「グローバル・アスリート」のロブ・ケーラー事務局長が「社会が自宅待機を求められている中、どう選手が競技することを正当化できるのか?」と国際オリンピック委員会(IOC)にコロナ禍でのロードマップや対策を示すことを求めたことなどを紹介。(以下、略)

ワシントン・ポスト紙は、聖火リレー開始の3月25日までの60日間に安全性を確保できるかは疑問だとして、開催強行は不可能だと示唆している。全国紙や共同通信、時事通信は突っ込んだ取材が出来る立場なのに、スポンサーになっているか電通の大株主であるため、国民に真実を伝えないでいる。日本国民の生命と東京オリンピック/パラリンピックのどちらが大切なのか、社説などでその判断を下さない異常な事態になっている。

第二次緊急事態宣言の発令
第二次緊急事態宣言の発令

米国バイデン政権のジェン・サキ女性広報官は、東京オリンピック/パラリンピック開催に対して明確な言及はしていない(https://www.tokyo-np.co.jp/article/81550/)。バイデン大統領がコロナ禍から国民を守ることは、自国を守るための防衛戦争を行うことと同じと位置づけ当面、コロナ禍対策を最優先しいてるためだ。米国、英国が不参加になる可能性もあるが、その場合は中止は決定的になる。それでも無観客で強行開催ということになれば、「金メダルは全員、日本選手」という「ブラック・ジョーク」になる。

米国のサキ大統領報道官は22日の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大で開催の可否が注目される東京五輪について「五輪の大ファンとして楽しみにしている」とした上で、「まだバイデン大統領や安全保障チームと協議していない」と述べ、新政権として立場が固まっていないことを明らかにした。

米国では有力紙ニューヨーク・タイムズが15日、国際オリンピック委員会(IOC)などから安全な開催は不可能との声が出始めたとし、第2次大戦後初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。

世界の誰でも、オリ/パラ強行開催よりも自国民の生命、生業(なりわい)を守ることを優先することを当然だと思うだろう。東京商工リサーチによると、コロナ禍で中小零細企業の倒産や廃業、解散(東京都では2020年は前年比22%増の1万2357件)が相次いでおり「感染拡大を防止するための難しい舵取りが続く一方で、消費関連を中心とした事業環境の悪化が長引いており、企業体力の剥落が懸念される。雇用調整助成金の特例措置は3月まで期限延長される見込みだが、一層の資金支援がなければ、新型コロナ破たんはさらに増加する可能性が強まっている」https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210125_02.html)としている。

2月には国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が来日する。その時が、「中止公式発表」の好機でもある。再延期はバッハ会長や森喜郎大会組織委員会委員長の発言、延期にかかる費用、大会でのコロナ禍対策に可能かどうかの疑問が付きまとうこと、さらにはなお、コロナ収束の目処が立たないことなどから、あり得ない話だ。

なお、コロナ禍で生活困窮者になった国民には生活保護=生活保障を求める権利がある。日本国憲法は第第13条で「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」、第25条1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。

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この憲法上の規定に基づいて「生活保護法」が成立したが、コロナ禍による生活困窮者が同法を申請する際に、行政側(基礎地方自治体)が「扶養照会」をするとの一種の「脅し」を行うことが、申請する上での最大の壁になっている。行政側(基礎地方自治体)が生活困窮者の親族に対して生活支援を行うことが出来るかどうか尋ねる制度のため、親族に生活支援のための犠牲を求めることになるので、コロナ禍による生活困窮者が申請を嫌がる。基本的人権の侵害制度だ。このため、NPO法人(非営利法人)がコロナ禍による生活困窮者のために活動を行っている(参考Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=_QJXeDkWCZw)。

「扶養照会」は、生活保護法第4条1項「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」、第2項「民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」に基づいている。

しかし、第3項では「前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない」と定められている。これは、上述の憲法第13条、第25条を踏まえて設けられたものだ。コロナ禍はどう考えても、「急迫した事由」に相当する。政府=菅政権や地方自治体はこの条項を全く無視している。真正野党はこの第3項目を使い、「扶養照会」なくして生活保護=生活保障を受けられるように、本通常国会で「体をはって」(れいわ新選組の山本太郎代表)でも、東京オリンピック/パラリンピック強行開催のために無為無策・支離滅裂の「コロナ禍対策」なるものを行い続ける菅政権に攻勢をかける必要がある。

なお、現在の生活保護法は「生活保障法」に名称変更し、憲法違反の疑いのある第4条1項、2項はもちろん、第4条は削除して、平時にもコロナ禍のような有事にも遅滞なく生活保障を受けられるよう抜本改正すべきだ。


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