トランプ前大統領の弾劾裁判評決、ディープステートの思う壺(追記:緊急事態宣言解除延長)

米国の次期大統領(現地時間20日、日本時間21日)を確定する今年1月6日の米議会に不法乱入し、一時議会を占拠したトランプ大統領(当時)を煽動ないし教唆したとしてトランプ氏を弾劾する裁判の審理が米国時間9日午後、日本時間の10日午前3時ごろから開始された。上院の3分の2以上(67人)が賛成すれば弾劾は可決される。ただし、上院共和党議員50人のうち17人が弾劾賛成を支持しなければならないから、弾劾可決は成立しないとの見方が強い。仮に弾劾が可決(評決)されれば、米国では、暗殺されたケネディ大統領(当時)とともにディープステート(米国を支配する闇の国家=軍産複合体と多国籍金融資本・企業=、東部エスタブリッシュメントなどと呼ばれる)に与しない大統領だったから、可決されればディープステートの思惑通りになるが、米国の分断は急激に深まる。急速に台頭する中国に追いつき、追い越されるだろう。

2月10日コロナ感染状況
本日2月10日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の2月3日水曜日の676人から185人減少して491人、500人以下は4日連続。重症者は前日から1人減って103人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。ただし、死亡者数は25人にのぼっている。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者は1886人、死亡者は過去最多の121人。重症患者は前日からは23人減って736人になっている。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は508.7人、PCR検査人数は7640.1人だから、瞬間陽性率は6.65%。東京都独自の計算方式では5.2%。感染者のうち感染経路不明率は49.56%だった。
全国では、午後18時40分の時点で新規感染者は1569人、死亡者は94人。重症患者は前日から14人減少して759人になっている。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、2月9日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01i人増の0.73人、東京都は前日比0.02人増加の0.78人となっている。簡易実効再生産数はこのところ下げ止まりから反転の兆しが出ているが、注視する必要がある。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

※複数のメディアによると、政府=菅義偉政権は3月7日で解除予定の限定的な「緊急事態宣言」を12日にも解除する方針だったが、解除をさらに延長する見込みだという。10都府県では新規感染者数の減少傾向が続いているが、Go To トラベルなどGo To キャンペーンの悪影響で新規感染者数が激増し、入院待ちや自宅内感染が避けられない自宅療養者がなお少なくないことがある。ただし、バイデン大統領が東京オリンピック/パラリンピックの開催は「安全(な開催)に必要な科学的根拠」がなければならないと言明したことが影響しているとも考えられる。

※なお、アップル社による人口移動指数(https://covid19.apple.com/mobility)は下図のようになっている。国民にとって安全な方法で無症状感染者を発見・保護・隔離・治療できるコロナ下の医療体制の抜本改革を行わない限りは、➀大きな感染波の要因としての「季節的要因」②中規模な感染の波の要因として人口移動による「飛沫感染要因」ーの2つが感染拡大の波を起こす。今年に入ってからの人口移動指数は下図のようになっている。基本的には1月末から人の移動指数は傾向として上昇しており、2月21日日曜日の第3週頃からその影響が表面化する可能性がある。

アップル社による人の移動指数
アップル社による人の移動指数

本題に戻して、米国での大統領弾劾裁判は、大統領職在任中の現職大統領に対して「反逆罪、収賄罪もしくはその他の犯罪と非行」があった場合に行われる。任期を終えた前職の大統領に対して弾劾裁判を行うのは極めて異例だ。トランプ氏の弾劾を求めた民主党側の言い分は詰まるところ「トランプ氏を弾劾しなければ、次期大統領を確定する重要な事案を審議する議会が不法に選挙された悪しき前例を作ることになる」ということだ。

ただし、トランプ政権下にあったとは言え、議会選挙の動きはCIAやFBIが事前に察知していなければおかしい。また、トランプ氏支持者の不穏な動きは、昨年2020年11月3日の大統領選以降、常識になっていたはずだ。こうしたことからすれば、今年1月6日の米議会での審議は、現地時間20日のバイデン大統領就任時と同様に、厳戒態勢を取って行うべきだった。そうすれば、女性1人を含む4人が射殺されるなどの痛ましい悲劇も起こらなかっただろう。「世界で最も民主主義が確立された国家」であるはずの米国で起きた惨劇というには、不可解なところだ。

米国の大統領弾劾裁判制度について、日経新聞から引用させていただきたい(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1262I0S1A110C2000000/)。

米憲法は弾劾の対象を「大統領、副大統領と全ての文官」とし「反逆罪、収賄罪もしくはその他の犯罪と非行」で「有罪」になれば罷免できると定める。一般の司法手続きとは異なり政治的な判断が大きく影響する。(これまで弾劾裁判が行われた現職大統領は次の通り。なお、ニクソン氏は辞任後も米国の対中関与外交政策の推進に尽力した)。

弾劾裁判が行われた現職の米大統領(ニクソン氏は辞任した)
弾劾裁判が行われた現職の米大統領(ニクソン氏は辞任した)

まず下院の委員会が調査を実施し、弾劾の対象となるかを判断する。その後下院本会議に大統領の訴追を勧告する。刑事裁判の起訴にあたる弾劾訴追を下院の過半数の賛成で決議すれば、上院が弾劾裁判を開いて罷免するかどうか評決を下す。上院の弾劾裁判では出席議員の3分の2以上が賛成すれば、大統領は有罪となり失職し、副大統領が大統領に昇格する。

さて、米国議会では下院で民主党議員はもちろん、共和党議員10人も上院での弾劾裁判勧告案に賛成して、米上院で弾劾裁判を行うことになった。NHKが本日10日午前7時31分にWebサイトで公開した報道を一部引用させていただきたい(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210210/k10012858761000.html)。

初日の審理では、弾劾裁判の合憲性をめぐって討論が行われました。この中で、弾劾裁判の検察官役を務める民主党のラスキン下院議員は、「トランプ氏側の主張が通れば、1月6日におきたことを将来、また起こすことになる」と述べたうえで、トランプ氏の支持者らが先月、議会に乱入した際の映像を見せました。そのうえで、「大統領を弾劾する憲法上の権利は、選挙結果が攻撃の対象になる、政権の最終盤にこそ必要とされるものだ」と述べ、トランプ前大統領は、憲法に基づいて罪に問われるべきだと訴えました。

これに対し、トランプ前大統領の弁護団のキャスター弁護士は、アメリカの憲法は公職に就いていない人物を弾劾することを想定しておらず、弾劾裁判は憲法違反だと主張しました。そのうえで、「アメリカの国民は、選挙で新しい大統領を選び、民主主義の仕組みが機能していることを証明した」と述べ、今回の弾劾裁判は民主主義への挑戦だとして、双方の主張は真っ向から対立しました。(中略)

ただ、共和党のあいだでは、トランプ氏の弾劾に慎重な議員が多いことからトランプ氏に無罪の評決が下される見通しです。また、議会上院では、弾劾裁判の長期化が新政権が重視する、新型コロナウイルスの経済対策法案の審議などに及ぼす影響を懸念する声も出ていることから、トランプ前大統領が有罪か無罪かを決める評決は来週中にも出されるという見方が広がっています。

共和党内で反トランプ氏批判の動きが強まっていると言っても、上院の共和党議員が17人も弾劾決議に賛成することはないだろうというのが、常識的な見方だ。また、今回の大統領選挙でトランプ氏が敗退したのは新型コロナ感染症対策を謬り、郵便投票が激増したことにある。日本では郵便投票という制度はないが、郵便投票では本人確認が難しいだろう。ただし、全米各州の裁判所では選挙での不正はなかったと判断しているから、それに従うしかない。それでも、米国の大統領選挙では全米各州に与えられた選挙人を、得票率に従ってではなく、総取りする方式になっているから、バイデン氏圧勝という結果になったが、トランプ候補がバイデン候補の8100万票に対して7400万票を獲得したことはあなどれない。

ブルームバーグ日本版サイト:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-20/QN8ZNVDWRGG201よる。

ホワイトハウスをさるトランプ前大統領とメラニア夫人
ホワイトハウスをさるトランプ前大統領とメラニア夫人

さる1月20日、地元のフロリダ州に向かうホワイトハウスを去るトランプ前大統領とメラニア夫人

サイト管理者(筆者)はトランプ氏が大統領時代に掲げた「米国ファースト」という理念には与しない。トランプ氏が現職大統領中にさまざまな疑惑にまみれ、側近をことごとく罷免したことも大きな問題だと思っている。ただし、トランプ前職大統領は戦争は起こさなかった。

このことからすると、米国という国家の裏で政府を操り、国民皆保険制度がないことに象徴されるように同国を大格差社会に陥らせており、日本の対米隷属外交をも操っているディープステートの存在は、日本の国民が広く知ることが必要だと思う。日本の自衛隊を傘下に置き、在日米軍の指揮下に置くことで、超大国に向けて政治・経済・科学技術・外交・軍事の各面で超大国に向けて爆進しつつある中国を包囲すること(従来の関与政策の否定と米中冷戦で勝利すること)が、ディープステートの狙いだろう。ただ、その狙いが実現するかどうかは余談を許さない。最初の試金石は、2月1日に起こったミャンマーでの軍事クーデターだろう。

また、バイデン政権がコロナ禍対策に本腰を入れ始めていることは評価するか、バーニー・サンダーズ上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員ら、本来は民主党の中核になるべき上下両院議員らを蚊帳の外に置いているのも問題だ。仮に、トランプ氏が上院での大統領選で敗北すれば、米国の分断・亀裂は深刻化するが、そうでなくても、ディープステートを背後に抱えたバイデン政権に、米国社会の分断を解消できるか疑問なしとしない。人類史は800年周期で文明が交代するとも言われる。日本・日本国民としては、コロナ禍対策を抜本転換してできるだけ早期に収束させるとともに、文明の転換期に相応しい外交を推進する必要がある。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう