「東京都議選、自公圧勝」は虚構に過ぎない

昨日24日行われた東京都議選で自公圧勝がマスゴミで伝えられているが、43・5%の低投票率が象徴しているように、有権者に選択肢がなく危険せざるを得なかったことがその最大の原因である。だから、「自公圧勝」が虚構でしかないことは言うまでもない。ただし、有権者の選挙離れは政治への不信の結果である。主権者国民がその権利を放棄しているわけで、このままの状況が続けば、民主主義は失われ、全体主義的統制経済体制へと移行するだろう。

各党の獲得議席数は、次のとおりだ。

獲得議席数 現議席数 増減
自民党 59 39 +20
公明党 23 23 0
共産党 17 8 +9
民主党 15 43 -28
みんな 7 1 +6
ネット 3 3 +1
維新 2 3 -1
生活 0 0  0
社民党 0 0  0
みどり 0 0  0
諸派・無所属 1 6 -5

「ゆ党」の民主党の惨敗は自業自得でしかない。「ゆ党」という政党は政党足り得ないので、存在していること自体が自己矛盾している。矛盾しているものはいかなるものであっても、存在を続けることはできない。共産党が伸びたのは、①自公と同様、組織票がある②反TPP、反原発、「国民の生命と暮らしを守る」、「憲法改悪反対」を掲げ、自公に対して明確な対立軸を打ち出した―からである。しかし、同党は未だに市場経済体制(資本主義)を否定していることから国政選挙では、こうはいかない。

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今回の都議選が示しているのは、マネーゲーム資本主義ではない21世紀型の資本主義市場経済体制を構築することを大前提に、①日本を標的にしている「三本の矢」を放ったアベクロノミクスに対峙でき、財政出動、金融フォローのポリシーミックスで恐慌型デフレ大不況を克服し、国民の生活を守る②脱原発・新エネルギー開発を強力に推進し、国民の生命を守るとともに経済成長戦略の要とする③社会的共通資本の充実を進め、国土の強靭化を進める④日本の歴史的伝統を踏まえながら農業を再生し、戦略的輸出産業に育てる(米国のバイオ産業に対抗する)―などを柱として、野党が選挙協力を強力に推進することである。

そのためには、第一に、生活、みどり、社民が徹底的に基本理念、外交・安保を含む基本政策で一致し、共闘体制を組むべきである。第二に、民主党はもはや存在意義を失っていることが示されたのだから、真の改革派と偽装野党の勢力と分党する必要がある。政党助成金は原則的に議員単位で配分し、完全に解党するまでの「精算会社」ならぬ「精算党」に一定の割合で拠出すれば良い。第三に、共産党は2004年に改定された現在の日本共産党綱領で、現在の日本を「わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカに握られた事実上の従属国となっている」と現状認識しているが、認識がまだまだ甘いし、結果的には対米従属勢力となっている。そのうえ、二段階革命を標榜しているものの肝心の「高度に発達した資本主義国での社会主義革命」の具体的な展望を持っていない。

既に共産主義は崩壊したという歴史的現実を直視し、共産主義を克服して、市場経済体制を守る「日本社会党」とでも名称を変えない限り、真の国民政党には成り得ない。そのうえで、「民主連合政府」の一翼を担えば、国民も安心し、同党の目的も達成の方向に向かう。ただし、その意思とハラはないだろうから、結果的には米国、自公政権に協力することになり、憲法改悪のうえで、「新治安維持法」で弾圧されるのがオチだ。

夏の参議院選挙の争点は、参院で自公、偽装野党のみんな・維新が「憲法改正」という名の憲法改悪動議を発議できる三分の二を制するか否かにある。もし、制することができなければ、「Something Great(平野貞夫氏が小沢一郎代表の守護神としている存在)」は日本にまだ機会を与えていることになる。そのためには、野党が与党に対する明確な対立軸を提起して政権を奪取する意思と能力を持つ本物の野党に脱皮するとともに、支持する政党がない国民に対して真実を知っていただき、その受け皿となることによって、投票率が上がるようにしなければならない。

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