ベン・バーナンキ率いる米連邦準備制度理事会(FRB)が政策決定会合である連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて、量的金融緩和(QE3、月間850億ドル=約8兆3400億円=の債券購入)の縮小を取りやめた。それまでは、QE3の縮小を公言し長期金利が上昇していたのだから、ハッキリ言ってジグザグである。これは、米国の経済が何を行なっても効かない「病膏肓に入る」の段階に達したことを物語る。

バーナンキ議長がQE3の縮小を見送った直接の原因は、9月6日に発表された8月の雇用統計が芳しくなかったからだ。非農業部門雇用者数は前月比16万9000人増で市場予想より小幅な伸びにとどまった。これに対して失業率は7.4%から7.3%に低下し、2008年12月以来4年半ぶりの低水準となったが、これは、職探しをしても職を見つけられない米国民が労働市場から去ったのが原因である。失業率は、非自発的失業者÷(就業者+非自発的失業者)で求められるが、非自発的失業者が労働市場から去れば、非自発的失業者は減る。その結果として、就業者数がさほど変わらなければ見かけ上、失業率は低下(改善)する。このため、雇用が改善したように見えただけだ。

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米国はリーマン・ショック以降、大規模な財政出動(7000億ドル+4500億ドル)と量的金融緩和政策を打ち出したが、経済政策の最終目標が「完全雇用の達成」にあることを考慮すれば、上記のように結果ははかばかしくない。こういう状況で長期金利を中心に金利が上昇すれば、米国経済は重大なショックを被る。

米国経済の病とはすなわち、①巨額の財政赤字②大幅な経常赤字③世界最大の体外純債務国―の三点セットである。ドルを大量に刷ってニューヨーク連銀始め各地区連銀が引き受け米国内外にハイパーインフレを引き起こして、債務をチャラにするという手もあるが、これは暴挙以外の何物でもない。ただし、QE1/2/3はそれに近いことを行なっている。新発米国債を市中金融機関経由で地区連銀が買い上げれば、事実上の中央銀行による国債の引き受けになるからだ。また、FRBは世界最大の不良債権を保有する中央銀行システムになっていると推察される。

一刻も早く、米国を債権国の管理下に置き、新しい国際通貨システムを構築する必要がある。