消費税大増税が実施された今年第2・四半期の実質経済成長率が本日午前9時50分発表され、速報値の前期比-1.7%、年率-6.8%からそれぞれ-1.8%、-7.1%へと悪化した。この落ち込み事態異常であるが、大増税による民間需要の落ち込みで在庫の山が積み上がっていることと、輸入が激減したという見かけ上、実質経済成長率を良くする特殊要因を除くと、在庫の寄与度が速報値の1.0%から1.5%へと上方修正(売れ行き不振による在庫の山が実際は速報値よりも多かった、という意味)されたことから、第二・四半期の日本経済の実質成長率は前期比-4.5%、年率換算-16.8%という空前の落ち込みになった。
国内総生産(GDP)統計のカラクリを調べてみる。国内総生産(GDP、三面等価の法則から国内総支出=国内総需要ともなる)の需要項目は大きく分類して次の項目からなる。
- 民間最終消費支出
- 民間住宅投資
- 民間企業設備投資
- 民間在庫品増加(民間が保有している在庫ストックの増加または減少分)
- 政府最終消費支出
- 公的固定資本形成(公共投資)
- 公的在庫品増加(公共部門=一般政府部門=が保有している在庫ストックの増加または減少分)
- 輸出
- 輸入(国内への供給となる。国内総生産+輸入=総供給=総需要)
これらの各需要項目の実質経済成長率への寄与度とは、
(今期の需要項目-前期の需要項目)/前期の実質GDP☓100
である。分子は合計すると今期のGDP-前期のGDPとなるから、すべての需要項目の寄与度の合計は今期の実質経済成長率になる。
次に、今期の経済成長率を年率換算するための式は、今期の成長が一年間=4四半期続いた場合を仮定するものであるから、
((1+今期の経済成長率)の4乗 – 1)☓100
となる。コンピューター言語では、掛け算を*、べき乗を^または**などで表現するから、この式は
((1+今期の経済成長率)^4 – 1)* 100
とも表すことができる。
さて、今年2014年の4月から消費税率が5%から8%へと引き上げられる大増税(1%ポイントの引き上げで3兆円程度の増税となるから、約9兆円が国民=大半は、庶民=から巻き上げられる)が強行されたから、庶民を中心とした国民の財布の紐がきつくなるのは当然である。この結果、国内総需要の柱である民間の消費、住宅投資、設備投資が大幅に落ち込んだ。その結果として、国内では深刻な売れ行き不振が生じ、在庫の山ができている。
このため、民間在庫品増加(在庫投資)は意図せざるものとなり、速報値では、実質経済成長率が前期比1.7%も減少する(-1.7%)中、民間在庫品増加の実質経済成長率の寄与度は、+1.0%もの大幅な寄与度になった。
また、輸入の規模は民間需要を柱とした国内総需要に大きく依存するから、国内需要が大幅に落ち込んだことで、輸入が減少し、経済成長率には見かけ上プラスの寄与をした。速報値では+1.2%の「大幅な寄与」をしている。在庫の山や輸入の激減という実質経済成長率を見かけ上、引き上げる要因を除去して考えると、事実上の実質経済成長率は下記のようになる。
-1.7-(1.0+1.2)=-3.9%
これを年率換算すると、((1-0.039)^4-1)*100=-14.7%となる。撹乱要因を除いた今年第二・四半期の実質経済成長率は14.7%もの大幅な減少を喫したことになる。なお、(1+r)^nは、rが小さい時1+nrとなるから、簡易計算では4*(-3.9)=-15.9%になる。要するに、速報値では、実質経済が15%も縮小したわけである。
さて、今年第二・四半期の法人企業統計が確定したことから、2014年9月8日午前8時50分にGDP統計の確報値が発表された。実質経済成長率は前期比-1.8%、年率換算-7.2%へ下方修正された。ただし、輸入の寄与度は+1.2%と変わらなかったが、民間在庫品増加の寄与度が速報値の1.0%から1.4%へ上方修正されたから、撹乱要因を除いた実質経済成長率は、前期比1.8+1.4+1.2=4.5の減少、年率換算で16.8%の大幅減少になった。
これを、消費税増税前の駆け込み需要の反動減と切り捨てるわけには行かない。これを見るには、季節調整前の実質現系列の前年同期比を見れば良い。2013年の第1・四半期から列挙すると、前年同期比+0.1%、+1.2%、+2.3%、+2.5%、+3.0%と順調に増加していたが、今年2014年第2・四半期には一転して同-0.1%と減少に転換した。日経新聞を始めとしてダマスゴミが政府広報紙として「報道」してきた「消費税増税の影響は警備」という大本営発表は真っ赤なウソであり、消費税大増税の日本で景気は既に腰折れし、後退局面に入っている公算が大きい。