「アベノミクスの是非を問う総選挙」とは「弱肉強食」VS「共生共栄」の戦い意【補論】

12月14日の衆院議員総選挙の意味について、ダマスゴミは「アベノミクスの推進か否定かを問う総選挙」と故意に抽象的な表現にしている。庶民を中心とする国民は安倍晋三政権の経済政策について熟知しているわけではないから、安倍政権以降、生活が良くなったか悪くなったかで判断するというのが投票の基本姿勢になるだろう。アベノミクスは橋本龍太郎政権以降、自民党中心の連立政権が採ってきた日本版新自由主義=新自由放任主義=掠奪主義=弱肉強食主義でしかないが、そのことを熟知されている国民の方々は多くはないだろう。その結果、国民の戸惑いで投票率は上がらず、組織票を持っている自公が過半数を確保する可能性が極めて強い。

サイト管理者は今回の総選挙には多くを期待できないと思う。「ハルマゲドンの戦い」は2016年の参院議員選挙で、衆参ねじれ現象を引き起こせるかにかかっていると思う。ただし、だからといって手をこまねいているわけには行かない。今回の総選挙を、主権者国民が真に国政を任せるに足る政治勢力結集の足がかりにしなければならない。アベノミクスの本質は、一億総中流社会を崩壊させ、貧富の差を拡大させた低所得者層から高所得者層への所得の「逆再配分」にある。

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その端的な象徴が、今年4月から強行された消費税大増税である。「財政危機」「少子高齢化による社会保障危機」を煽った結果だが、その一方で法人税減税を行っている。安倍首相は雇用が増えたとか自慢するが、正規社員が厚生年金、社保など経済社会のセーフティネットから外されて非正規社員になり、本来なら正規社員になるべき新卒者が就職浪人から非正規社員にならざるを得なかった結果に過ぎない。この傾向を破壊的に推進したのが、消費税大増税であり、庶民からカネを巻き上げる大衆増税を行う一方、株主を中心とする高所得者にそのカネを渡したわけである。

安倍首相ははっきりと2017年4月からの消費税の再増税を謳っているから、野党側は「シロアリ退治なき消費税再増税か、シロアリを退治しながらの消費税増税の廃止を含む凍結か」で対峙すべきである。そうすれば、国民に訴えやすいだろう。ただし、①デフレないしスタグフレーションからの脱却②強靭な国土再建と社会保障・未来の日本を支える教育の充実など「社会的共通資本の拡充」③脱原発・新エネルギー開発④特別会計の解体的改革による財源の捻出ーなど対案を出す必要がある。

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今回の総選挙は安倍首相の解散権の乱用(本来、日本国憲法第七条三項に規定された天皇の国事行為としての解散と第六十九条に規定された内閣不信任案の可決または内閣信認案の否決がなされた場合に内閣が行える解散とは連動しているはずである。国民の血税で支えられた国会議員の任期は四年間であるから、四年間は国民の安寧のために政務に精励しなければならない)でしかなく、日本国憲法違反である。さらに、一票の格差是正が行われないままの総選挙になるから、なおさらである。

今回の総選挙は、政権を奪取して、国民の幸せのために精励努力しようとしている野党議員の分り易い選挙民に対する訴えと、そのための新自由主義を超克する理念・政策の樹立、政治勢力結集の起点としなければならない。

【補論】日本人に必要な「個の確立」

中世を経て近代・現代社会に至る歴史家庭の中で、①基本的人権の尊重②民主主義(国民主権)③国際連合を中心とした世界平和の確立=平和主義ーの三つの理念が、歴史の勝ち得た成果である。アベノミクスとはこの三大理念を根本から抹殺しようとするものであるが、歴史の成果を尊重する立場からはこの三大理念を創造的に発展させなければならない。下図は「永遠世界平和のために」を著し、後の国際連盟・国際連合の理念の基礎を構築したドイツの哲学者イマヌエル・カント。

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その場合に問題になるのは日本人が明治維新、敗戦の痛手を被りながらもなお、正しい意味での「個の確立」がなされていないことである。日本人の行動様式(マックス・ウェーバーの言う「エートス」)は概ね、①集団主義(「寄らば大樹の影」、「それは確かにそうだけれども、みんながこうしているから、自分もこうする」)②情緒主義(理屈ではそうだが、その場の雰囲気に従わなければならない)ーと見られる。

アベノミクスの本質である、①対米隷属主義(進んで植民地国家たらんと欲する)②米英から簡単に新自由主義を受け売りする事態ーもそういう日本人の行動様式から来ている。ということで、日本人には真の意味での「個の確立」が必要と思われる。その定義は取り敢えず、①真善美の価値観を明確に持ち、確固たる価値観に基づいて行動様式、生活様式を律する②「温かい心」と冷静な「理性」に従い、情況を創造的に打開していく意思と能力を有すること③思想(価値観)と行動の首尾一貫性(Integrity)を貫けることーであることとしておきたい。この、真の意味での「個の確立」を実現しつつ、「共生共栄友愛社会」を建設していくことこそが、21世紀の日本の課題であろう。

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