2015年1月末の日経平均は1万8797円94銭で引け、2万円を伺う勢いという威勢の良い声も聞こえる。しかし、中央銀行が市中の長期国債を大規模に購入するという異常な量的金融緩和による金融バブル相場に過ぎない。アベノミクスの結果は惨憺たるものであるから、企業の業績、日本経済のパフォーマンスの好転といった本来の株式相場上昇の要因によるものではない。民間の機関投資家やプロの株式相場師は3月決算を前に、高値売りぬけの姿勢だ。

今回の株価急騰は2月24日、米国の連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャネット・イエレン女史が上院外交委員会で、もって回った言い方ながら3,4月の利上げは難しいと証言したことがきっかけ。これで、買い安心感が広がり、ニューヨーク株を起点に連れて東京株など世界の株式市場の株価が上昇している。日本の場合はこれに、円安で海外諸国の自国の通貨から見た日本株が安くなっているということが加わる。要するに、日本の株式が海外勢に購入されているわけで、長期保有となれば日本の企業の経営権が海外勢に支配されることになる。

イエレン議長が利上げを拒んだのは、利上げを示唆すると一挙に金融マグマが吹き出し、長期金利の急上昇ないし急騰(株式相場の急落ないし暴落)に火がつくからである。米国のQE(量的金融緩和)で景気が回復したなどと判断するのは、愚か者でしかない。米国の景気は長期金利の持ち直しにも耐えられない脆弱な状況でしかない。これは、日本のアベノミクスも同じ。第二次世界大戦後の修正資本主義=福祉国家路線が解体させられ、新自由主義=掠奪主義が経済政策の根幹に置かれたのが脆弱化した世界経済の真の原因である。

ということで、2015年度を迎える4月以降、株式相場は金融相場に官製腕力相場が加わったバブル相場が崩壊する。民間の機関投資家、プロの投資家はいつでも高値で売り抜けられるが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)やゆうちょ・かんぱ資金など政府系の公的資金はそういうわけにはいかない。高値のババをつかまされ、大規模な評価損を抱えるるだけになる。

アベノミクスの悲惨な結果を図表化した面白い絵がある。

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アベノミクスが成功しているなどというダマスゴミは、どうしようもない。こんな悲惨な状態で国民の生活、経済のパフォーマンスが向上するはずがない。従って、株式相場の上昇は単なるバブル相場でしかなく、バブルは破裂するからバブルという。

これに加えて、安倍晋三政権はまれにみる金権汚職内閣。こうした情報が次から次へとウジ虫が湧くように出てくるのは、日本の支配層が安倍政権を見限ってきた証拠だろう。加えて、安倍似非首相の精神状況がおかしくなってきている。予算委員会の答弁でも、野党の攻勢的質問に対しまともに答えられない。「アー、ウー、本人には違法性を認識していたわけではなく、返金もしているので問題はありませんが、政権に対する不信が増長してきたことは確かでしょう。これに対しては、結果責任を果たすことを通じて政権に対する信頼を回復します」とテープレコーダーを回しているだけだ。

総理大臣を含む閣僚に限り、政治資金規正法における違法性を認識しておらず、不正が発覚した時点で返金すれば何ら問題は何らないのか。こういう政治的腐敗も株式相場の急落に拍車をかける。経済のパフォーマンスから見て異常な株高は、暴落の前兆と見ておいたほうが良い。

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