「平和と共生オールジャパン運動」が本格始動ー日本共産党・小池晃副委員長も登壇【追記】

冤罪にもめげず、「絶望の山に分け入ってダイヤモンドを探し当てている」日本きっての政治経済アナリストの植草一秀氏らが中心になって安倍晋三政権を打倒するために結成した「平和と共生オールジャパン」運動が8日夕刻、衆参両院議員近くの憲政記念会館で開かれた。ジャーナリストの高橋清隆氏の好意により、同氏のニュースサイト「高橋清隆の文書館」から転載させていたただく。

−−転載開始−−

「主権者が日本を取り戻す!」連帯運動「オールジャパン:平和と共生」の総決起集会が8日、東京都千代田区の憲政記念館大ホールで開かれた。政治経済学者の植草一秀氏や鳩山友紀夫(注:由紀夫改め友紀夫)元首相、憲法学者の小林節氏ら18人の著名人が「戦争と弱肉強食」路線を突き進む安倍政権の打倒を訴えるとともに、日本共産党の小池晃副委員長も登壇し、選挙協力を視野に入れた連帯を確認した。最高顧問を務める鳩山氏。「戦争と弱肉強食の政策の背後には米国がいる。米国と闘う覚悟を持つこと」と訴えた(2015.10.8高橋清隆氏撮影)

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各組織で下からの抵抗運動が
インターネットを中心に参加を呼び掛けたこの集会には、(注:憲政記念館大ホール定員の500人を大幅に上回る)700人を超える市民が詰め掛けた。現職政治家では小池氏のほか、篠原孝・鈴木克昌両衆院議員(いずれも民主)が登壇した。また、登壇はしなかったが、小宮山泰子衆議院議員、たしろかおる参院議員、さらに多数の元国会議員が駆け付けた。

政治学者の白井聡氏は、先の安保法制整備への抗議デモを念頭に「今まで目にしたことのない政治の高まりが起きている。敵は政官、メディアの権力中枢部で自己の既得権益を確保したい人たちで、この国の有形無形の富を最後の一片まで多国籍資本に売り渡そうとしている」と分析。「われわれがやることは非常に簡単。抵抗しなければ」と訴えた。

「国会前行動に参加して、特に印象的だったのが菅直人元首相。うれしげに歩き回っているのを見て、怒りが沸々と沸いてきた」と告白。「安倍政権の主要政策の幾つかが菅・野田ラインでレールが敷かれた。責任は重大だが、自己の責任に思い当たる様子がなく、自民党が大衆にたたかれているのが気持ちいいらしい。自分が何と闘っているのか、分かっていない」と無思慮さを批判した。

白井氏は共産党の志位和夫委員長の言及した「国民連合政府」に触れ、「重大な提案があった。共産党が本当に変わったのか、変わってきていてほしい。党の上だけが唯我独尊で野党のままでは、いずれ党員が怒り出す。労組や協同組合など、あらゆる団体で下から抵抗の動きが起こらなければならない」と期待感を示した。

植草氏は「今、日本の主権者は怒りに打ち震えている。安倍首相はヒトラーが『我が闘争』に書いた『国民は理解力に乏しく、忘却力に富んでいる』との言葉をうのみにしていると言われるが、この言葉があてはまるのは、ポツダム宣言を知らず、立憲主義も理解できず、総理の職を無責任に投げ出したことまで忘れている安倍首相自身ではないか」と批判した。

植草氏は昨年12月の総選挙の比例区で自民党は17.4%の得票率(注:有権者全体に占める自民比例票の得票率で絶対得票率の意味)しかなかったことを示し、「議席数は多いが、主権者から支持されていない」と指摘。「勝利の秘訣(ひけつ)は自公の結託にある」として、1選挙区に1人の対立候補を主権者主導で立てる運動を提唱した。

万年野党脱し、大きな流れを
鳩山氏は「小沢さんは『普通の国』を求めていた。今の安倍さんも同じことを言うが、質が全然違う。どうも(注:安倍さんは)、戦争ができる『普通の国』にしたいようだ。そんな国になるくらいなら、戦争ができない『珍しい国』であり続けるべき」と安全保障政策の転換を批判。

「武力で平和を創るのは不可能。憎悪の連鎖を生む。最低限守るための防衛力は否定しないが、それ以上のもの、すなわち積極的平和主義と言っているような、武力を積極的に使って中東を平和に導くために自衛隊をいろんな所に派遣するのは大きな誤り」と主張した。

その上で、「私たちは5つの大きな政策をまとめ、それらを実追記現する政治の流れをつくっていこうとしている。共産党さんもそれに協力するとおっしゃっているわけだから、大きな流れができると信じている」と会場にいた小池氏に向けた。

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登壇した小池氏は「史上最悪の安倍政権を前にして、やるべきことははっきりしている。戦争法では軍事的に米国の属国となる。TPPで経済的な属国の道にまっしぐら。何が『1億総活躍社会』だ。政治家が『1億』などと言うときはろくなことがない。『1億総火の玉』に『1億総ざんげ』。まさに上から目線の全体主義」とやゆした。

「憲法の上に自分を置く、個人の上に国家を置く。民主主義の否定であり、独裁政治以外の何者でもない。安倍政権は打倒するしかない」と参加者を鼓舞。「あの国会を取り巻く数万人の闘いの中で、日本共産党も脱皮させていただいた。この声に応えるのは、政党政治家の責任。個人の尊厳が最も尊重される当たり前の国を創ろうではないか」と応じると、万雷の拍手が起きた。

(憲法学者の第一人者である)小林氏は、「幾つかの政党の偉い方が『基本政策の違う党とは一緒にやれない』と言っていた。実にばかばかしい。万年野党の一つでいる方が政策と言って何をするの」と挑発した。

さらに「連合の幹部が『共産党とやると乗っ取られるから嫌だ』と言う。私は『乗っ取られたらいいじゃないの。強さを学ぶためにも』と返した。『運動論・組織論からすれば、弱いから負けるんだろう』と。目の前の憎き共産党より、国を乗っ取っている安倍ちゃんの方が問題では」と投げ掛けた。

司会の伊東章弁護士は、「共産党の小池さんと小林さんが一堂に会したのは奇跡。まさに安倍総理の功績」と皮肉った。

SNSも駆使し、25%運動に勝利を
元外務官の孫崎亨氏は「今のわが国の状況は待ったなし。まさに崖っぷちにある」と切り出した。その原因として①リベラル層が結集できていない②重要な役割を担うマスコミの問題、の2つを挙げた。

「植草さんの言われたように1人区で候補者を1人にする。その中で、共産党の役割は外せない」と強調した。同時に「マスコミに対し、どう闘っていくか。この対策をしない限り、反対勢力がまとまることはできない」と提起。

米国では大統領選に向け共和党のドナルド・トランプ氏や民主党最左派のバーニー・サンダース氏の躍進にツイッターが寄与していることを指摘。「われわれも毎日、ツイッターやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をやるといい」と促した。

元衆院議員の辻惠弁護士が、安保法案の早期廃止や原発再稼働を認めないなどの内容を盛り込んだ集会宣言案を読み上げると、満場の拍手で承認された。参加者全員で「憲法破壊を許さないぞ」などとシュプレヒコールを上げ、閉会した。

「オールジャパン」は「戦争と弱肉強食」の政策を推進する新自由主義政策を排して、「平和と共生」=「友愛」の政治を実現するために、植草氏が6月に個人の行動と負担で立ち上げたウェブサイト「オールジャパン:平和と共生=AJPaC」をプラットフォームとする主権者運動である。この運動に、本年2月と6月に開催された、植草氏も関わる「日本政治の行方を考える国家議員と市民の勉強会」が賛同して参画する方針を決めた。その延長上に9月にTPPと戦争法案を考える勉強会を開催。その上で、今回の総決起集会開催を実現した。

基本方針として①集団的自衛権の行使容認しない②原発再稼働を許さない③TPPに参加しない④辺野古に米軍基地を造らせない⑤格差縮小を目指す、の5つを掲げる。有権者の25%が結束すれば政権奪還が可能であるとして、今後の国政選挙では政策基軸、超党派、主権者主導の三原則を貫いた候補者調整を図りたい考えだ。

−−転載終わり−−

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なお、登壇した元農水相の山田正彦氏は米国のアトランタの会合を視察してきた経験をもとに、「環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意」について、ダマスゴミの誤誘導世論操作であることを指摘した。実際は協定書など法的に重要かつ必要な文書はなにも作成されておらず、今後に先送りされたとし、事実上の棚上げであることを指摘した。日本はどの国にもまして、米国の走狗となって動きまわったが、すでに動き出している来年秋の米大統領線では民主党のヒラリー・クリントン候補がTPP反対を掲げ支持を広げるバーニー・サンダースに対抗するため、「TPP反対」を打ち出した。また、共和党候補のトップを走るドナルド・トランプ氏もTPPに反対している。

TPP発効には正式な協定案への署名や各国議会での批准、さらに「参加6カ国以上で国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占めること」が条件とされる。日米のどちらかが参加できなくなれば、TPPは成立の陽の目を見ることができないが、図々しくも日本を名実ともの植民地にしようと割り込んできた米国自身に赤信号が灯ってきた。

なお、自民党の有力な支持基盤は大企業と地方の農村部、宗教票であるが、TPPについては2012年師走選挙で「反対」の公約を掲げ、農家をだまして票を獲得、政権に返り咲いた経緯がある。日本国憲法の規定により、衆参いずれかの総議員定数の4分の1以上の要請があれば臨時国会は開けるから、非常識にもダンマリを決め込んで臨時国会を開こうとしない自公政権に対し、野党は早急に臨時国会を開会させ、今回の「大筋合意」の内容を国民の前に明らかにさせることで、農家を始めとする主権者国民を騙したことを追及するのは当然の責務である。

※戦争法、TPP、原発は全て日本国憲法違反に当たる

  1. 安保法制=戦争法
    ・集団的自衛権は日本国憲法第9条および歴代内閣の解釈によって否定されてきた
    ・「限定的集団的自衛権」の根拠となる「新3要件」も法律要件・法的事実に欠く
  2. 環太平洋連携協定(TPP)
    ・投資家対国家紛争処理機構(ISDS)は主権者国民から構成される国家の主権を剥奪
    ・条約より憲法のほうが上位の法規であり、憲法違反の条約は許されない
  3. 原子力発電(原発)
    ・原発の放射性廃棄物➤フランスで再処理➤プルトニウム➤中東、テロリスト等核兵器製造
    ・日本の原発は核拡散に間接的に寄与しており、「国際紛争解決の手段としての戦争」を禁じた日本国憲法第9条違反
    ・原発と核兵器(原爆)は「双子の悪魔」(原発・核兵器の専門家・広瀬隆氏)

 

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