新型インフルエンザ治療薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)の使用について

安倍晋三首相は28日午後6時からの首相官邸での記者会見で、新型コロナウイルスに感染した患者に対し、臨床研究(観察研究)として使い始めている新型インフルエンザ治療薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)を、治験プロセスを経て薬事承認を目指す考えを示した。ただし、万能薬ではないようで、➀胎児を奇形化する恐れがあることから妊婦に対しては使用禁止②発症7日以内の比較的早期の軽症患者が対象という制約がある-などの問題が確認されている。やはり、早期にPCR検査も含め信頼性の高い検査法で実際の検査を行うことが肝要だ。

「アビガン」(一般名ファビピラビル)の使用を推奨している日本医事新報社のサイト(筆者は神奈川県けいゆう病院小児科医師・日本感染症学会評議員)によると、「アビガン」(一般名ファビピラビル)は新型コロナウイルス(正式名称はSARS-Coronavirus-2=Sars-CoV-2=)による新型肺炎(Coronavirus disease 2019=COVID-19=)の治療薬として有効のようだ。Wikipediaによると、ファビピラビルは、富山大学医学部教授の白木公康と富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業が共同研究で開発した核酸アナログでRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤である。

抗新型肺炎薬として注目されている「アビガン」(一般名ファビピラビル)

詳細は上記リンク記事を参照していただきたい。ただし、催奇性(胎児に奇形をもたらす)が確認されているため、妊娠している(妊婦)には使用禁止であり、上記サイトでは「①動物実験において、本剤は初期胚の致死および催奇形性(胎児に奇形をもたらすこと)が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。②妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性を確認した上で投与を開始すること。③本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中および投与終了後7日間、性交渉を行う場合はきわめて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと等、妊婦での使用禁止と、男性でも性交渉での厳しい注意が記載されている」とある。

また、新型肺炎の症状が確認された場合はもちろん、感染判明後発症した場合のどの症状の時点まで投与可能か、また投与可能年齢も確認しておくべきだ。なお、このサイトでも、次のように指摘している。
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マスコミでは時折、COVID-19のPCR検査感度が低いことが問題視され、感度(陽性・陰性判定の正確度)が70%程度という意見も報じられた。
https://www.asahi.com/articles/ASN3S4J20N3CULBJ005.html?iref=pc_ss_date

日本でPCR検査の感度を調査したデータは発表されていないのに、感度が低いという報道は何を根拠としているのであろうか。検査の感度が低いことを理由に、PCR検査を実施していない国はない。

世界では、COVID-19のPCR検査を広く実施することが感染制圧の第一歩であることがコンセンサスであるが、政府の専門家会議も含めて、日本のみ検査の重要性を無視しているのは残念である。検査が広く実施されないために、多くの家族内感染や院内感染が生じ、死亡者も出ている。PCR検査を、少しでも疑いのある入院患者に実施しなければ、院内感染を防ぐことはできるわけがない。
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なお、開催時期が来年春、夏、秋と諸説相乱れた東京オリンピックの開催時期については来年夏ということが有力になっているとの最近のマスコミの報道だが、安倍首相は官邸での記者会見で長期戦の覚悟が必要と語っている。開催に必要な期間も考慮すると今年末から来年の春にかけて新型コロナウイルス感染拡大が終息していなければならないだろうが、長期戦とはその程度の期間なのか。官邸での記者会見では、安倍首相に対してこの点を質すべきだ。

1918年から2000年にパンデミックを引き起こし、多大な人命を奪ったスペイン風邪

上記論文では、新型コロナウイルス感染により引き起こされた新型肺炎について、第一次世界大戦中にパンデミックとなり、世界全体で少なくとも3000万人から5000万人の死者(1億人と推計する専門家もいる)を出したスペイン風邪(1918年1月~1920年12月、スペイン風邪で第1次世界大戦は終戦を余儀なくされたとされる)と同程度の被害をもたらす可能性を指摘している。下記に引用させていただく。

「Sars-CoV-2感染症は、インフルエンザに比べ、はるかに重い疾患であることは間違いなく〔「COVID-19はSARSに類似(2)」(No.5001〕参照)、治療薬、ワクチンがないことや、3.6%という日本の死亡率の高さには(42人/1176人、3月24日時点)、多くの国民が不安になるのは当然である。1918年のスペインかぜの日本の死亡率1.6%と比較しても、その重症度は実感される」

政府=安倍政権の新型コロナウイルス感染症対策は、緊急経済対策を含めて場当たり的、支離滅裂、オリンピック開催を勝ち取ることを目標とする以外は一貫性がない。

その報いは政府=安倍政権、特に安倍首相に跳ね返ってくるだろう。

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