非常事態宣言と生活保障はセット-ペテンの「総事業規模108兆円」緊急対策

政府=安倍晋三政権は本日4月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に改正新型コロナ等特別措置法に基づいて緊急事態宣言を発出する。都府県知事に強力な権限が与えられる事実上の休業命令を含む私権制限であり、都府県民の生命と生活を守るため、大規模な生活支援金給付と一体でなければならない。この観点から見ると、「総事業規模108兆円」と予告されても信頼できる内容にはほど遠いことが予想できる。

らたせす東京オリンピックの来夏への延長が決まった途端、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に加え、愛知県など日本の三大工業地帯中核都市圏で新型コロナ感染者の増加が加速した。特に、➀感染経路の不明な感染確認者が急増していること②感染しても症状が無症状か軽いと言われていた若者にまで感染確認者が広がってきた。

今にいたるも、感染確認のための公式検査方法であるPCR検査の実施は、直接的には地方自治体、間接的には政府=安倍政権が管轄する保健所に設けられた「帰国・接触者相談センター」の許認可事項になっている。

追記:現時点でのPCR検査手続きは次の図のようになっている(東京都福祉保健局のサイトより)。➀保健所に設けられた「帰国者・接触者相談センター」(平日・日中)②新型コロナ受診相談窓口(24時間対応、ただし土日・夜間の曜日・時間帯に主に対応)③かかりつけ医-のいずれかに電話で相談し、その指示に従う。図表を掲載すると以下のようになります。クリックすると、画像が拡大します。

ただし、最終的には帰国者・接触者外来(新型コロナ外来)を持つ医療機関でしかPCR検査を受けられないことには変わりはありません。東洋経済オンラインの調べによると、3月4日から4月6日正午までの34日間の検査実施人数は40,481人であり、1日当たり1187人と、安倍首相が公言していた1日当たり9000人の検査能力と比べて、著しく少ないというのが実情である。現在の段階になると、一般の医療機関と新型コロナウイルス陽性者用の医療施設を分け、後者は院内感染を防止する防疫体制を整えたうえで無症状者または軽症者用の医療施設(ホテルやオリンピック村を援用)と重症者者用の医療機関とに分けて医療処置を施す必要があろう。

要するに、政府=安倍政権はPCR検査抑制体制を貫いてきた。その結果として、日本の感染確認者は米国や欧米諸国など世界の他の国々と比べて異常に少なかった。横軸に期間、縦軸にPCR検査による感染確認者を対数目盛りでプロットした線を比較してみると如実に分かる。

縦軸に対数目盛りを採用すると、感染確認者の加速傾向がよく分かる。この図は朝日デジタルに2020年4月7日 5時00分に掲載されたもので、米国ニューヨーク州とイタリア、日本、東京都、大阪府しか描かれていないが、海外諸国はニューヨーク州、イタリアと同じような曲線を描いている。ところが、日本だけが直線に近い。これは、それだけ感染確認者の増加が緩やかであることを示している。

その理由は、➀日本だけが東京オリンピックの開催(オリンピック利権の獲得)を国民の生命・生活より優先させ、PCR検査抑制方針を貫き、感染者数の実態を過少に見せかけてきた②3月6日にPCR検査に保険を適用し、自己負担分も公費で賄うことにしたため、公費負担を抑制する必要がある-などのためである。しかし、それでも改正インフル特措法による緊急事態宣言発出を余儀なくされた。これは第一に、日本の経済を支える京浜、中京、阪神の三大工業地帯で新型コロナ確認者の増加が加速してきたこと、第二に感染経路が判明できない感染確認者が全体の感染確認者の相当割合を占めてきたこと、第三に若者の感染確認者が増えてきたこと、第四に「帰国・接触者相談センター」の設置されている都会・地方の保健所職員の疲弊が激しく、保健所崩壊の現象が顕著になってきたこと-などが挙げられる。

分かりきったことだが、新型コロナウイルスは日本だけを特別扱いしてくれるわけではない。だから、対数目盛りで測った感染確認者のプロット姿が直線になるような、実態よりも感染者を少く見せかけることもいつかは限界にくる。今が、その段階なのであろう。

もっとも、この期に及んでも昨夜に行われた記者会見でも安倍首相は「検査能力を(これまでの1日9000件)から2万件に増強する」とは言っても、実際の検査数を増加させるか否か、そのために不可欠の「帰国・接触者相談センター」や全国に860程度しかない「帰国・接触者外来」を持つ医療機関だけでの検査体制を廃止するとは言わない。よほどの無知か特権の維持に腐心しているかのどちらかでしかない。

この状態で行けば、感染者の額初的拡大(オーバーシュート)は必至だし、それに伴って日本国内の医療崩壊も加速する。そうなれば、改正インフル特措法による「緊急事態宣言」も延長に次ぐ延長を余儀なくされるだろう。新型コロナウイルス感染対策については、医療機関の立て直しを前提に、PCR検査(またはそれ以上の高機能・高精度・検査時間の短縮が可能で、実用化された検査方法)を積極的に推進する体制に抜本転換する以外に道はない。これらの内容を対談形式で詳細に論じたニュース番組の動画がYoutubeにアップされている。

昨夜の記者会見で安倍首相は「専門家の試算では、私たち全員が努力を重ねれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」との考えを示したが、上記の対談番組では東京が米国・ニューヨーク州のような状態になることを説得力を持って論じている。安倍首相の「期待」が実現する可能性は皆無だ。安倍首相を対策本部長とする新型コロナ感染症対策本部とその諮問機関である専門家会議は責任をとって辞めなければならない時期が来るだろう。ただし、記者会見で期待が実現なかった場合に「責任は取るのか」との質問に答えなかった。自分の発言に責任を取らないつもりだ。

総事業規模108兆円のからくりをれいわ新選組の山本太郎代表が分かりやすく説明

さて、「総事業規模108兆円」が謳い文句の第三弾の経済対策にも疑問が残る。2018年10月に景気後退入りしたさなかの昨年10月の消費税強行が景気後退に拍車をかけ、これに新型コロナウイルス大不況が追い打ちをかけたのだから、➀消費税率をゼロ%にする②迅速・簡潔・直接な対応が必要であるからまずは国民一人あたりに10万円給付する③非常事態宣言が長引けば現金給付を追加する-の三点が柱にならなければなら策定・ない。真水=国費=赤字国債発行額は、最も少なくても30兆円以上は必要である。恐らく、その倍は必要になるだろう。赤字国債は間接的に企業が溜め込んでいる内部留保(2018年度で463兆円)が引受原資になる。インフレを抑えるためには、防疫体制の強化を前提として輸入で国内への供給量を確保すれば良い。

ところが、全容はまだ明らかになっていないものの、朝日デジタルによると現金給付対策は、①2~6月のうち任意の月の収入が減り、年間ベースで住民税非課税の水準になる低所得世帯②収入が半減し、年間計算で住民税非課税の水準の2倍以下まで落ち込む世帯-とした。簡単な手続きとするため、自己申告制による電子申請を原則とし、5月中に給付する方針だ。日本全国5700万世帯のうち高々、1300万〜1400万世帯でしかなく、金額(真水=財政資金)にして高々4兆円程度。低所得層の場合、電子申告にも慣れていないだろうから、実務を司る地方自治体、社会福祉協議会などでは大混雑は避けられず、濃厚接触による新型コロナ感染が相次ぐ恐れが非常に高い。

フリーランスを含む個人事業主や中小企業に最大100万~200万円を現金給付する対策では、売り上げが50%以上落ち、事業継続が困難なケースが対象だが、これも手続きが煩雑だ。国費で2兆〜3兆円しかないという観測もある。税金や社会保険料は納税・納付猶予だが、猶予であって免税・免除ではない。これも、真水(国費=赤字国債発行)を少なくするための策でしかない。いずれは納税・納付しなければならないから、場合によっては一時的に納税・納付額が増える可能性もある。

※追記(2020年4月8日午前7時)
4月7日夜の安倍首相の記者会見はやはり、子ども騙しだった。総事業規模108兆円というのは税金の納税・社会保険料の納付猶予併せて26兆円分など、単なる先送りの税金・社会保険料も含む。いずれは納税・納付しなければならないもので、国民に外出禁止(休業による収入の大幅な減少を伴う)などの負担を押し付けておいて、負担を補うためのあるべき財政支出からほど遠い。

真水である赤字国債発行による財政支出は16.7兆円に過ぎない。その「目玉」は、➀収入が減った低所得世帯1300万〜1400万世帯に対する生活支援金30万円の総額4兆円②売上が半分以上減ったフリーランスを含む個人業主、中小企業に対する生活・事業支援金(最大200万円)の2兆円-の合計6兆円だが、受給するためには手続きが複雑で、諦める国民を想定している。しかし本来なら、最低でも、➀消費税率ゼロ%による減収分22兆円②国民1人あたりの給付金10万円分の10兆円(首相自身が長期化すると言っているので当然、追加が必要になる)-に加えて、無症状や軽症者をケアするための診療施設の確保に必要な財政資金が必要なはずで、60兆円は下らないはず。なお、各国が食糧の輸出制限を行っているから、国民の食料は確保しなければならない。食糧安保政策は策定・発動しておく必要がある。

その一方で、観光や飲食業界、イベント業界を政権につないでおくため、早々と「チケット購入割引」や「割引クーポン券」なども盛り込む予定だという。そういうことを盛り込んだとしても、消費税強行増税やコロナ大不況終息の見通しがつかないため、「絵に書いた餅」に終わる可能性が高い。

いずれにしても、108兆円の事業規模と謳い、真水39兆円と言っても、➀真水(国費=赤字国債発行額など)の実際の規模②国民の期待する迅速・簡易・直接-の要望に応えられなければ、かえって国民の失望感を買うだけになるだろう。

話はそれるが、週明け6日のニューヨーク株式市場では、主要企業で構成するダウ工業株30種平均が急反発し、前週末比1627・46ドル(7・73%)高い2万2679・99ドルで終えた。これは、➀米国では新型ウイルスによる死者が1万人を超えて増加し続けており、感染者も35万人に迫っているが、感染者が集中するニューヨーク州では5日以降、1日あたりの死者数が頭打ちになりつつあること②米トランプ政権は史上最大の2兆ドル(約220兆円)超の経済対策を決め、追加策も検討されていること③米連邦準備制度理事会(FRB)も前例のない規模の金融緩和で経済(企業の資金繰りなど)を支える-などの感染状況の少しばかりの好転、財政・金融経済政策に対する期待などのためだ。

しかし、朝日デジタルによると、「イエレン前FRB議長は6日、米失業率がすでに12~13%に達しており、4~6月期の実質経済成長率が(年率換算で)30%以上の大幅なマイナスになりうるとの見方を米テレビに語った」とあり、なんらかのきっかけでまた暴落する可能性もある。国際金融市場は、新型コロナウイルス感染に確固とした終息の状態が見えてこない限り、価格面で暴騰・暴落の極めて不安定な状況が続くだろう(この記事続く)。