政府=安倍政権、菅政権による学問の自由・基本的人権弾圧、ますます鮮明に

10月7日に開かれた国会閉会中審査の一環として開かれた衆院内閣委員会での日本共産党の塩川鉄也議員の質疑に対し、内閣府は1983年の同会議法改定の際、「(首相の)任命は形式的なもの」などとした一連の国会答弁は認識しているとし、内閣法制局も「推薦に基づき全員を任命する」とした文書の存在を明らかにした。しかし、1996年以来安倍晋三政権(当時)は朝日新聞社が独自取材で報道した記事でも、2018年に欠員が出た際の1人の補充人事で日本会議側が推薦した人物の形式的任命を拒否したため、補充をすることができなかった事実が明らかになっている。官邸側幹部は、法解釈は変更していないとの答弁を繰り返しながら、「学術会議は実績や能力で判断している。こちらはそれ以外で判断している。両方が納得する理由なんてない。人事の理由を説明しても仕方ない」と学問の自由への弾圧を行ってきたことに対して、開き直っている。

◎10月9日の金曜日の新型コロナ新規感染者数は、東京都では午後15時点の速報値で203人。1周間前の9月29日の196人よりやや増加した。下げ止まりの傾向が観察される状態。東京都のモニタリング指標(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均の感染者数は164.4人、PCR検査検査人数4176.3人で、推測陽性率は3.9%だが、東京都の計算方式では3.3%。感染経路不明率は60.5%。7日間移動平均でみても、新規感染者の減少傾向に歯止めがかかりつつあるのが伺える。東洋経済オンラインのhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/によると、最新日の10月8日の実効再生産数は前日比0.01減の0.9。全国では午後23時59分現在で603人が感染、6人の死亡者が確認されている。最新日の10月8日の実効再生産数は前日比0.03減の0.94.

Youtubeで公開された塩川議員の質疑に対する内閣委員会側の答弁、しんぶん赤旗10月8日付からすると、管轄官庁の内閣府でも日本学樹会議会員の選定を公選制から任命制に切り替えた1983年当時、1年間かけた内閣委員会での討論を通して、任命制といっても形式的任命制に過ぎないことを十分に認識していた。

国会閉会中審査として7日開かれた内閣委員会で質問する日本共産党の塩川鉄也議員

国会閉会中審査として7日開かれた内閣委員会で質問する日本共産党の塩川鉄也議員

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(塩川議員は)会員の公選制から推薦制に改めた83年の法改定の際、推薦と任命の関係が1年かけて徹底的に議論されていると指摘。「(推薦は)210名ぴったりを出していただく。それを形式的に任命行為を行う」(1983年5月12日、総理大臣官房総務審議官)、「(推薦を)その通り内閣総理大臣が形式的な(任命)発令行為を行うというように(日本学術会議法の)条文を解釈している。内閣法制局における法律案の審査の時に十分詰めた」(同日、総理大臣官房参事官)
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しかし、2013年に第二次安倍内閣が本活的に活動を開始して以降、従来からの憲法解釈、法律解釈を内閣法制局などに対して圧力を加え、内閣で勝手に変更する日本国憲法違反の行為を繰り返し、集団的自衛権容認の安全保障関連法案(安保法案)を9月19日を国会で強行可決するなど、安倍政権は法治制度の根幹を揺るがし、その独裁的性格を強めてきた。

多くの学者の反対を押し切り安倍政権が成立させた法律

多くの学者の反対を押し切り安倍政権が成立させた法律

2016年以降の日本学術会議会員の選定も、水面下で公選制から内閣総理大臣(首相)による実質的な任命制に切り替えてきた。朝日新聞社が続報として独自取材した内容を朝日デジタルで2020年10月9日05時00分に公開した「任命拒否の1人、2年前にも官邸難色 説明なく欠員に」(https://digital.asahi.com/articles/ASNB87H66NB8UTIL032.html?iref=comtop_7_02)と題する報道によると、
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複数の会議元幹部によると、会議は会員1人の定年退職を間近に控えた18年夏、同年10月の総会での推薦決定をめざす補充人事案を事務局を通じて官邸に伝えた。順位をつけて候補2人の名簿を示したところ、官邸は会議側が上位に推したこの研究者に難色を示した。会議は複数回、説明を求めたが回答はなく、「理由の説明もなく希望を曲げられない」(元幹部の一人)と考え、推薦決定を見送った。
(中略。注:そのうえ)
(首相)官邸幹部は「学術会議は実績や能力で判断している。こちらはそれ以外で判断している。両方が納得する理由なんてない。人事の理由を説明しても仕方ない」と話した。
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と、憲法15条1項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」、2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」の規定を無視して、国会の承認を得ることなく、実質的に法解釈を続けてきたと言える。

上記内容を、

の経過表に追記しておく。

1946年 日本学術会議は日本学術会議法に基づいて、科学が戦争に動員された反省から、内閣総理大臣の「所轄」で経費は国庫負担としながらも、政府から独立して職務(研究・提言、世論への啓発など)を行う「特別の」機関として規定された。定員は210人で任期は6年、3年毎に半数(105人)が改選される。当初は国内のほぼすべての研究者による選挙で選ばれ「学者の国会」と呼ばれた。
1983年5月12日 会員の公選制から推薦制に改めた83年の法改定の際、推薦と任命の関係が1年かけて徹底的に議論されていると指摘。「(推薦は)210名ぴったりを出していただく。それを形式的に任命行為を行う」(総理大臣官房総務審議官)、「(推薦を)その通り内閣総理大臣が形式的な発令行為を行うというように条文を解釈している。内閣法制局における法律案の審査の時に十分詰めた」(同日、総理大臣官房参事官)など
1983年5月12日 各種の学会が創設され、立候補する科学者(学者)が減ったことから、会員の選出方法を選挙から日本学術会議の推薦に基づく内閣総理大臣による任命とする方向が示されるようになりこの時期、時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命に過ぎない。学問の自由、独立はあくまで保証される」と延べ、学術会議の推薦を尊重する考えを示した。
1983年11月24日 参院文教委員会で日本共産党の吉川春子参院議員の質問に対し丹羽兵助総理府総務長官(当時)が「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけ の任命をしていく」>
1983年11月28日 日本学術会議法改正・施行。各種学会の方針を基にして学術会議が候補者を推薦し、内閣総理大臣がその推薦を基に「形式的」に任命するようになった。憲法第6条の「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」と同じ意味合い。
2005年 現会員が次の会員を推薦する方式が導入され、日本学術会議はこの推薦に基づいて105人の被推薦人を選出するようになり、70歳定年制も導入された。
2016年 欠員補充人事の正式な推薦決定前に、日本学術会議が推薦した候補者案の一部に首相官邸が難色。同会議は欠員補充を見送り。安倍晋三(当時)政権が内閣調査室の情報に基づいて、所管官庁の内閣府を通じて政府批判の学者を拒否した可能性がある。
2017年 日本学術会員半数(105人)の交代にあたり、首相官邸(内閣官房)が同会議に対して105人の推薦候補者に数人を加えることを要請。会議は大西隆会長(東大名誉教授)が計110人超の名簿を提示、強く交渉したが結果的に、会議が優先的に推薦した105人が任命される結果になった。ただし、2016年、2017年とともに表沙汰にならなかった。
2018年夏 10月の総会での推薦決定をめざす補充人事案を事務局を通じて官邸に伝えた。順位をつけて候補2人の名簿を示したところ、官邸は会議側が上位に推したこの研究者に難色を示した。会議は複数回、説明を求めたが回答はなく、「理由の説明もなく希望を曲げられない」(元幹部の一人)と考え、推薦決定を見送った。
2018年9月 定年のために生じる欠員3人の補充のため、日本学術会議は補充のため3人の新会員を推薦したが、首相官邸(内閣官房)は内閣府を通じて拒否。2人の欠員が生じたままになった。
2018年11月 日本学術会議を所管する内閣府が、内閣法制局に同法の解釈を照会し、表向き「必ず任命する義務はない」ことを確認。今年2020年9月にも再び照会していたが、昨日10月5日の記者会見で加藤官房長官は解釈変更はしていないと強弁。
2020年10月1日 8月末に日本学術会議が内閣府に2017年とは異なり、105人を超える推薦人名簿を提出することなく。105人ちょうどの推薦人名簿を提出。9月末、政府が6人を除く99人を任命する文書を決裁。10月1日、しんぶん赤旗(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-10-01/2020100100_00_0.html)が日本学術会議の会員の「形式的任命」が「実質的任命」に変更されたこと、つまり、同会議会員の人事に対して政治介入を行い、菅政権が日本国減法第23条「学問の自由は、これを保障する」を破ったことを報道した。マスコミ各社が独自にフォローして一斉に伝え、菅政権が学問の自由はもとより、言論・思想・結社・集会の自由を弾圧する事実上の警察・ファッショ政権である疑惑を報道するという展開になった。
2020年10月3日 日本学術会議が「第25期新規会員に対する要望書」(http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo301-youbou.pdf)を菅首相に提出。内容は、①任命拒否の理由②任命拒否の撤回ーの2点。
2020年10月6日 首相官邸が2018年11月11日、内閣総理大臣(首相)による日本学術会議会員の任命権は実質的であるとする2018年11月11日付の内部文書を公開。
2020年10月8日 首相官邸幹部は「学術会議は実績や能力で判断している。こちらはそれ以外で判断している。両方が納得する理由なんてない。人事の理由を説明しても仕方ない」と話した。政治的理由で任命を拒否したことを公言する内容

政府のいわゆる「内部文書」でも、日本学術会議法の解釈を変更していない限り、首相には実質的な任命権はない。10月9日、野党の会合に出席した元日本学術会議の3年前の2017年(平成29)年まで6年間「日本学術会議」の会長を務めた東京大学の大西隆名誉教授と、大西氏の前に会長を務めた東京大学の広渡清吾名誉教授は「選考基準と違う基準を適用し任命拒否したとなれば日本学術会議法違反になる」」(大西東大名誉教授)、「今回の判断は明らかに日本学術会議法に反する判断」(広渡東大名誉教授)などと違法行為だと指摘した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201009/k10012655541000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_005)が、当然の結論だ。

解消されない政府の主張と過去の国会答弁の矛盾

解消されない政府の主張と過去の国会答弁の矛盾

安倍、菅政権は戦前に復帰する反動内閣であるから、政権交代して日本国憲法を尊守す政権を奪還する以外に憲法破壊行為の爆進をストップさせることは不可能だ。また、20年以上もの長期デフレ不況をもたらしてきた「財政再建」という名の緊縮財政、2度にわたる消費税強行、超少子・超高齢化社会への抜本的対策をしてこなかったことに加えて、コロナ禍が重大な追い打ちをかけ、日本の経済社会の先行きは見通しが立たない。

さらに、菅義偉首相は、政商の筆頭格であり慶応大学教授も務めたことのある竹中平蔵パソナ会長やゴールドマン・サックスを勤務し、過激な新自由主義者のデービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長を実質的なブレーンとし、全国の企業の99.7%を占める中小企業の整理淘汰を目指す「中小企業改革法案」の成立や低金利で収益が悪化している地方銀行の整理・統合を目論み、全国民の個人情報をマイナンバーカードと連携させて管理する「デジタル庁」の設置を目指すなど、安倍前政権よりさらに過激な政策を推し進める意向だ。加えて、首相官邸による独裁国家の樹立に向けて驀進してきた。

これに加えて、トランプ大統領が新型コロナウイルスにかかり、11月3日の大統領選挙で接戦州や「米国ファースト」政策が根本的に間違っているため、前回の大統領選でトランプ氏を支持してきた白人層が離反するなど、極めて厳しい状況に立たされている。しかし、空席になっている連邦最高裁判事に共和党系の判事を任命することが予想され、最高裁判事は共和党系6人、民主党系3人になる可能性が強い。このため、郵便投票に不正があるとして敗北宣言をせず、選挙の結果が連邦最高裁判所の判断によるという異常な事態を招く恐れも出てきている。

その場合、米国の国力は大きく低下する恐れがあり、日本の対米隷属外交も「米中新冷戦」のはざまで「股裂き」状態になる。河井克行元法相衆院議員・河井案里参院議員(ともに自民党離党)で、親中派の筆頭格とされる二階俊博幹事長に不利な検察側証人発言(県議が現金を「幹事長から預かった」と証言)が出てきたのも、大局的に見れば、米国側が菅政権、自民党内部の親中派を失脚させる狙いがあると見るのも、的外れとは言えないだろう。

野党側は、①立憲政治の再確立②思い切った新発国債発行による異次元積極財政への転換と消費税率の5%〜0%への引き下げを含む税制の抜本改革を柱とした経済政策の充実③原発ゼロ社会の実現④超少子化を食い止めるための「奨学金徳政令」の実施ーなど、明確な理念・政策をかかげ、野党連合政権構想を分かりやすく国民に提示し、難局を乗り越えるための体制を早急に構築する必要がある。立憲民主党の枝野幸男代表は、「消費税2年凍結、年収一千万円以下の所得税減税、低所得層への生活支援金の給付」という「エダノミクス」を提唱しているが、財政再建至上主義を否定するなどもっと踏み込んだ提言と明確な政権構想が必要だ。



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